家を売却しようと考えたとき、意外と迷いやすいのが「売れるまで今の家に住み続けるのか、それとも先に引っ越して空き家にしてから売るのか」という問題です。
「住んでいる状態でも内覧してもらえるの?」
「家具や生活用品があると、空き家より安く見られない?」
「先に新居へ引っ越した方が早く売れる?」
「売れるまで半年かかったら、住宅ローンを二重に払うことになる?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
結論からいうと、現在住んでいる家でも売却できます。実際、マイホームの買い替えでは、今の住宅に住みながら売却活動を始め、買主が決まってから新居へ引っ越す方法も一般的です。
一方で、転勤や相続、離婚、すでに新居を購入した場合などでは、先に引っ越して空き家にしてから販売することもあります。
どちらが正解というわけではありません。
住みながら売却すれば、売れるまで現在の家で生活できるため、先に新居を用意する必要がありません。二重の住宅費を抑えやすいことも大きなメリットです。
反対に空き家にしてから売却すると、内覧の日程を調整しやすく、家具や荷物がない状態なら室内全体を確認してもらいやすくなります。
重要なのは、「空き家の方が売れそうだから」というイメージだけで先に引っ越さないことです。
不動産は販売を開始してすぐ買主が決まるとは限りません。仮に売却まで6か月かかれば、その期間の住宅ローンや固定資産税、新居の住宅費などを負担する必要があります。
逆に、住みながら売却することにこだわりすぎると、内覧できる日時が限られたり、室内に荷物が多く本来の広さが伝わらなかったりして、売却期間が長くなる可能性もあります。
そのため、「住みながら売るか、空き家にして売るか」は、売却価格だけではなく、住宅ローン残高、新居の予定、売却期限、室内の状態、家族構成、資金的な余裕まで含めて判断することが大切です。
この記事では、大阪市や北摂エリアでマンション・戸建ての売却を検討している方に向けて、住みながら売却する場合と空き家にしてから売却する場合の違いを、実際の売却の流れや費用まで含めて詳しく解説します。
住んでいる家でもそのまま売却できる
現在生活している住宅だからといって、引っ越しを済ませなければ売りに出せないわけではありません。
不動産会社による査定を受け、媒介契約を締結し、インターネットなどで販売を開始した後も、そのまま生活を続けることができます。
購入希望者から内覧希望が入ったときだけ日程を調整し、室内を見てもらいます。
そして買主が決まり、売買契約を締結した後、物件を引き渡す日までに引っ越しを完了させるという流れです。
特に現在の住宅を売却して、その売却代金を新居購入の資金に充てたい場合には、住みながら売却する方法が現実的です。
今の家が売れる前に新居を購入すると、現在の住宅ローンと新居の住宅ローンが一時的に重なる可能性があります。
資金に余裕がある場合は問題ありませんが、毎月の住宅費が大きくなる家庭では負担になります。
「売ってから買う」という順番なら、現在の家に住みながら買主を探し、売却価格が確定してから新居の予算を決められるため、資金計画を立てやすくなります。
「居住中だから売れにくい」とは限らない
住みながら売却すると、「生活感がある家は購入者から嫌われるのでは」と心配になるかもしれません。
確かに、荷物が多く室内が狭く見えたり、掃除が十分でなかったりすると、物件の印象へ影響することがあります。
しかし、居住中であること自体が売れない理由になるわけではありません。
むしろ家具が配置されていることで、購入希望者が生活をイメージしやすくなる場合もあります。
何もないリビングを見ても「この部屋にダイニングテーブルとソファを置けるのだろうか」と分かりにくいことがありますが、実際に家具が置かれていれば広さをイメージできます。
子ども部屋として使っている部屋なら、ベッドや学習机を置いた状態でどの程度余裕があるかも分かります。
つまり、居住中の住宅では「生活していること」が問題なのではなく、購入希望者が自分たちの生活を想像できる状態になっているかが重要です。
住みながら売る場合と空き家にして売る場合を比較
両者の違いを簡単に整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 住みながら売る | 空き家にして売る |
|---|---|---|
| 売却中の住居 | 現在の家で生活できる | 別の住居が必要 |
| 新居の費用 | 売却後まで抑えやすい | 売れる前から発生しやすい |
| 内覧対応 | 売主との日程調整が必要 | 比較的調整しやすい |
| 室内の見え方 | 家具・荷物の影響を受ける | 部屋全体を確認しやすい |
| 生活イメージ | 家具があるため伝わりやすい | 購入者が自分で想像する必要がある |
| 掃除 | 内覧のたびに必要 | 最初に整えれば維持しやすい |
| プライバシー | 他人が生活空間へ入る | 気になりにくい |
| 売却期間中の負担 | 内覧対応が必要 | 空き家管理が必要 |
| 二重住宅費 | 発生しにくい | 発生する可能性がある |
| 引っ越し時期 | 売買契約後に調整 | 売却前に完了 |
この表だけを見ると、空き家の方が販売しやすそうに感じるかもしれません。
しかし売主にとって重要なのは、「内覧しやすいか」だけではありません。
売却期間中にいくら費用が発生するのか、新居をいつ確保する必要があるのか、住宅ローンを二重に負担できるのかまで考える必要があります。
住みながら家を売る最大のメリットは二重住宅費を抑えやすいこと
住みながら売却する大きなメリットは、買主が決まるまで現在の住宅で生活できることです。
仮に現在の住宅ローン返済が月10万円、新居の住宅費が月12万円だったとします。
先に新居へ引っ越し、今の家が売れるまで6か月かかった場合、新居分だけでも、
12万円×6か月=72万円
の住宅費が先行して発生します。
現在の住宅ローン返済も続くため、単純な毎月のキャッシュアウトはさらに大きくなります。
一方、今の家に住みながら売却すれば、新居の住宅費が発生する時期を後ろへずらせる可能性があります。
もちろん引っ越しのタイミングによって一時的に費用が重なることはありますが、売却期間が長引いたときの負担を抑えやすい点は大きな違いです。
売却価格が決まってから新居の予算を考えられる
住みながら売る方法には、もう一つ大きなメリットがあります。
それは、現在の家が実際にいくらで売れるか分かってから、新居購入の資金計画を立てやすいことです。
査定価格が4,500万円だったとしても、必ず4,500万円で成約するとは限りません。
最終的に4,300万円になることもあれば、条件が良ければ4,600万円で買主が見つかる可能性もあります。
住宅ローンが2,000万円残っている場合、売却価格が200万円変われば、売却後に手元へ残る資金も大きく変わります。
売却前に新居を購入してしまうと、「今の家はこのくらいで売れるだろう」という予想を基に予算を決めることになります。
住みながら先に売却を進める方法なら、成約価格を確認してから新居の予算を決められるため、資金計画に余裕を持たせやすくなります。
スタッフ植松「住みながら売るか空き家にするかを考えるとき、私は『どちらの方が高く売れそうか』だけで決めない方がいいと考えています。先に引っ越せば新居の住宅費が発生するため、売却価格が少し上がっても、売れるまでの費用を含めると手取りが増えていないことがあるからです。」
住みながら売るデメリットは内覧対応
住みながら売却する場合、最も負担になりやすいのが内覧です。
購入希望者は、実際に住宅の中を確認してから購入を判断することが一般的です。
内覧希望は土日だけとは限りません。
「今週の水曜日の午後に見たい」
「明日の夕方に見られませんか」
という希望が入ることもあります。
売主が仕事をしていたり、小さな子どもがいたりすると、毎回希望どおり対応するのは難しいでしょう。
空き家なら鍵を不動産会社へ預けておき、担当者が購入希望者を案内できます。
居住中の場合は売主の生活がありますので、内覧できる日時が限られます。
この違いが販売機会へ影響することがあります。
内覧希望を断り続けると購入機会を逃すことがある
住宅購入者は一つの物件だけを見ているとは限りません。
大阪市内や豊中市、吹田市、箕面市などで複数の中古住宅を比較し、同じ日に3件、4件と内覧する人もいます。
その中で自宅だけ「その日は都合が悪いので来週にしてください」となれば、購入希望者が先に別の物件を気に入り、申込みをしてしまう可能性があります。
住みながら売却する場合でも、可能な範囲で内覧しやすい曜日や時間帯を確保しておくことが重要です。
毎週土日のどちらかは内覧対応できるようにする、平日でも夕方なら対応できるようにするなど、最初から家族でルールを決めておくと販売しやすくなります。
急な内覧に対応するため「常に完璧な家」にする必要はない
住みながら売る場合、「いつ内覧が入ってもいいように毎日モデルルームのようにしておかなければ」と考えると疲れてしまいます。
実際には、生活している住宅なので多少の生活用品があるのは当然です。
大切なのは、購入者が物件そのものを確認しにくい状態を避けることです。
床に物が大量に置かれていて部屋の広さが分からない、クローゼットの前に荷物が積まれて扉を開けられない、水回りが汚れていて設備の状態より汚れが気になるという状態は避けたいところです。
反対に、ソファやダイニングテーブル、ベッドなど、通常の家具が置かれていること自体は問題ありません。
売却開始前に荷物を減らしておけば、日常の掃除だけでも内覧に対応しやすくなります。
住みながら売るなら売却前の「荷物整理」が重要
居住中の住宅で特に差が出やすいのが、荷物の量です。
同じ20畳のリビングでも、家具や荷物が少ない部屋と、収納からあふれた物が置かれている部屋では広さの印象が変わります。
売却を始めるなら、引っ越し後も使わない物から整理しておくとよいでしょう。
たとえば何年も着ていない衣類、使っていない家電、子どもが小さい頃のおもちゃ、不要な家具などは先に処分できます。
すぐ捨てられない物は、トランクルームなどへ一時的に移動させる方法もあります。
どうせ引っ越すときには荷物を整理することになるため、売却開始時に少し前倒しして整理しておけば、内覧時の見え方が良くなるだけでなく、引っ越し作業も楽になります。
購入希望者が特に見る場所を優先して整える
家全体を大規模にリフォームする必要はありませんが、内覧時に印象へ影響しやすい場所はあります。
まず玄関です。
購入希望者が最初に入る場所なので、靴が大量に出ていたり、物が積まれていたりすると、住宅全体が狭い印象になりやすくなります。
次にリビングです。家族が長い時間を過ごす場所なので、広さや明るさを感じてもらえるよう、不要な家具を減らしておくとよいでしょう。
キッチン、洗面室、浴室、トイレなどの水回りも清潔感が重視されます。
寝室や子ども部屋は多少生活感があっても問題ありませんが、収納や部屋の大きさが確認できる状態にはしておきたいところです。
数百万円のリフォームより、こうした基本的な整理や清掃の方が費用対効果の高いケースもあります。
売主が内覧中にずっと説明する必要はない
住みながら売る場合、購入希望者と売主が室内で顔を合わせることがあります。
そこで良かれと思って、売主がずっと購入希望者へ説明してしまうことがあります。
「このキッチンはすごく使いやすいですよ」
「この辺りは本当に住みやすいですよ」
「この部屋は日当たりがいいでしょう」
と説明したくなる気持ちは分かります。
しかし購入希望者は、自分たちだけで話したいこともあります。
「この家具を置けるかな」
「ここはリフォームしたいね」
「予算より少し高いね」
といった会話を売主の前ではしにくい人もいます。
基本的な案内は不動産会社へ任せ、売主は必要な質問へ答える程度にした方が、購入希望者が落ち着いて見学しやすくなります。
居住中だからこそ伝えられる情報もある
一方、実際に住んでいる売主にしか分からない情報は購入希望者にとって参考になります。
朝はどの部屋に日が入るのか、冬場の室温はどうか、近くのスーパーを普段どのように使っているのか、通勤や通学でどの駅を利用しているのかといった情報です。
戸建てなら駐車のしやすさやゴミ出し、庭の管理について質問されることもあります。
マンションなら管理状況、エレベーターの混雑、駐車場、共用部分の使い勝手などを聞かれるかもしれません。
こうした生活情報は広告だけでは分からないため、居住中売却のメリットにもなります。
ただし、購入者から聞かれていないことまで過度にアピールするのではなく、事実を分かりやすく伝えることが大切です。
空き家にしてから売る最大のメリットは内覧のしやすさ
空き家にして販売する場合、売主が現地にいなくても不動産会社が案内できる状態にしておけば、内覧日時を調整しやすくなります。
購入希望者から「今日の夕方に見たい」と連絡があった場合でも、担当者の予定が合えば案内できる可能性があります。
不動産を探している人の中には、転勤や入学などの事情で短期間に住宅を決めたい人もいます。
そのような人にとって、「見たいときに見られる」という条件は意外と重要です。
特に競合物件が多いエリアでは、内覧機会を逃さないことが早期売却につながる可能性があります。
家具がなくなることで部屋全体を確認しやすくなる
空き家では家具や家電を撤去しているため、床や壁、収納などを確認しやすくなります。
大きな家具が置かれていると分かりにくかった床の状態や、家具の裏側の壁なども確認できます。
購入後にリフォームを考えている人にとっては、何もない状態の方が採寸しやすく、工事後をイメージしやすいこともあります。
ただし、家具がないことが必ずプラスになるとは限りません。
空室になると想像以上に部屋が小さく感じたり、家具がないため「この部屋にダブルベッドが置けるのか」とイメージしにくくなったりすることがあります。
居住中と空き家には、それぞれ異なる見せ方があります。
空き家にすることで細かな傷が目立つ場合もある
家具を撤去すると、それまで隠れていた床の傷や壁紙の日焼け、家具跡などが見えるようになります。
生活していたときにはあまり気にならなかった部分が、何もない空室では目立つことがあります。
そのため、「家具をなくせば必ずきれいに見える」とは限りません。
先に引っ越す場合には、荷物を搬出した後に室内を一度確認し、必要であればハウスクリーニングや最低限の補修を検討します。
ここでも、売却価格を上げるために数百万円のリフォームをするのではなく、印象を下げている部分だけを整えるという考え方が重要です。
空き家だから高く売れるとは限らない
「空き家にすれば内覧しやすいのだから、売却価格も高くなる」と考えるかもしれません。
しかし、居住中か空き家かだけで不動産価格が大きく変わるわけではありません。
マンションなら立地、駅距離、階数、方角、専有面積、築年数、管理状態などが価格へ影響します。
戸建てなら土地面積、道路、駐車場、建物状態、築年数なども重要です。
空き家にすることで販売しやすくなる可能性はありますが、それだけで物件そのものの市場価値が数百万円上がるとは限りません。
だからこそ、空き家にするために発生する費用と、販売上のメリットを比較する必要があります。
先に引っ越す場合は「売れるまでの費用」を計算する
空き家にして売る場合に見落としやすいのが、売却期間中の費用です。
たとえば現在の住宅ローンが月10万円、新居の住宅費が月13万円だったとします。
現在の住宅ローンは売却してローンを完済するまで続くため、先に新居へ引っ越すと毎月23万円の住宅費を負担する期間が発生する可能性があります。
仮に売却まで6か月なら、
23万円×6か月=138万円
です。
もちろん現在の家に住んでいても10万円のローンは支払うため、先に引っ越したことによって追加される新居分は78万円です。
このほか引っ越し費用、空き家の電気・水道、管理費、固定資産税なども考える必要があります。
「空き家の方が100万円高く売れそう」という予想だけで先に引っ越しても、追加費用が100万円を超えるなら手取りが増えていない可能性があります。
マンションを空き家にしても管理費・修繕積立金は続く
マンションの場合、引っ越して誰も住んでいなくても管理費や修繕積立金の支払いがなくなるわけではありません。
仮に管理費が月1万5,000円、修繕積立金が月2万円なら、合計3万5,000円です。
6か月なら21万円、1年間なら42万円になります。
さらに住宅ローンが残っていれば返済も続きます。
新居を購入していれば、新居側の管理費や修繕積立金、住宅ローンなども発生するでしょう。
大阪市内のマンションを売却するときに「先に引っ越した方が内覧しやすい」という理由だけで空き家にするなら、こうした毎月の固定費を必ず計算しておきたいところです。
戸建ての空き家では管理そのものが必要になる
戸建ての場合、マンションとは異なる空き家管理の問題があります。
庭木や雑草の手入れ、郵便物の確認、換気、通水、雨漏りなどの確認が必要です。
特に夏場は短期間で雑草が伸びることがあり、外観が荒れていると内覧時の印象が悪くなります。
台風や大雨の後には建物に問題がないか確認した方がよい場合もあります。
新居が近ければ自分で管理できますが、遠方へ転居する場合には簡単ではありません。
空き家にしてから売る場合には、「人が住んでいないから何もしなくてよい」のではなく、売れるまで商品として良い状態を保つ必要があります。
スタッフ植松「空き家にすれば売却活動はしやすくなりますが、私は『先に引っ越せば早く売れるだろう』という予想だけで判断しない方がいいと思います。半年売れなかった場合に追加でいくら必要になるのかまで計算して、それでも空き家にするメリットが大きいかを比較することが大切です。」
住みながら売る方が向いているケース
住みながら売却する方法は、現在の住宅を売った代金を新居購入へ使いたい方に向いています。
住宅ローン残高が大きく、現在の家がいくらで売れるか確定しないと新居予算を決めにくい場合も、先に売却を進める方が安全です。
また、売却を急いでおらず、半年程度かかっても問題ない場合には、現在の家で生活しながらじっくり購入者を探す方法もあります。
毎週ある程度内覧対応ができ、室内も整理しやすい家庭なら、居住中であることによるデメリットを抑えられます。
特に大阪市内や北摂の人気エリアなど、一定の購入需要が見込める住宅なら、空き家にしなくても十分販売できる可能性があります。
空き家にしてから売る方が向いているケース
すでに新居が決まっている場合や、転勤などで引っ越し時期を動かせない場合には、空き家にしてから販売することになります。
また、現在の家に荷物が非常に多く、居住したままでは室内を見せにくい場合にも空き家販売を検討できます。
小さな子どもやペットがいて頻繁な内覧対応が難しい家庭も、先に引っ越した方が負担を減らせることがあります。
住宅ローンがすでに完済しており、新居費用を含めても資金に十分余裕があるなら、二重住宅費の問題も小さくなります。
つまり空き家販売が向いているのは、単に「売りやすそうだから」ではなく、先に引っ越すことで得られる販売上のメリットが、追加費用や管理負担を上回る場合です。
子どもがいる家庭では内覧対応の負担も考える
小さな子どもがいる家庭では、住みながらの売却が想像以上に負担になることがあります。
土曜日の午前に内覧が入り、家族で外出して帰宅した後、午後にも別の内覧が入ることがあります。
そのたびにおもちゃや生活用品を片づけ、室内を掃除するのは大変です。
受験期や学校行事が重なる家庭では、内覧対応がストレスになることもあります。
この場合は、住宅費だけでなく家族の負担も判断材料にして構いません。
多少費用が増えても先に引っ越した方が生活しやすいのであれば、それも合理的な選択です。
ペットがいる場合も内覧方法を考える
犬や猫などのペットがいる住宅では、内覧時の対応をあらかじめ決めておくと安心です。
購入希望者の中には動物が苦手な人やアレルギーがある人もいます。
内覧中だけ別の部屋へ移動させたり、可能なら散歩へ連れて行ったりする方法があります。
また、飼い主自身は慣れていて気づきにくい臭いが室内に残っていることもあります。
売却活動を始める前に第三者へ室内を確認してもらい、必要に応じて清掃や換気を行うとよいでしょう。
住みながら売るなら「引渡しまでの期間」も重要
買主が決まったからといって、翌日に家を出る必要はありません。
売買契約を締結するときに、物件の引渡し日を決めます。
住みながら売却している場合には、売主が新居を探して引っ越すための時間も必要です。
たとえば契約から引渡しまで1か月半程度確保するなど、買主と調整することになります。
ただし、売主が「半年後でないと引き渡せない」という条件を出せば、その期間を待てない購入者からは選ばれにくくなります。
売却開始時点で、新居が決まった場合にどの程度の期間で引っ越せるのかを考えておくことが重要です。
住み替えでは「売り先行」と「買い先行」がある
現在の家を売却して新居へ移る住み替えでは、大きく分けて二つの方法があります。
一つは、今の家を先に売る「売り先行」です。
売却価格が確定してから新居を探せるため資金計画を立てやすい一方、売却後すぐ希望する新居が見つからなければ、仮住まいが必要になる可能性があります。
もう一つは、新居を先に購入する「買い先行」です。
希望する住宅をじっくり選びやすく、先に引っ越せば現在の家を空き家として販売できます。
ただし現在の家が予定どおり売れなければ、住宅ローンや住居費が重なる期間が長くなるリスクがあります。
どちらを選ぶかは、資金余力と現在の住宅の売れやすさ、新居探しの難しさによって変わります。
住宅ローンが残っているなら売却前に残高を確認する
住みながら売る場合でも空き家にする場合でも、住宅ローンが残っているなら最初に残高を確認します。
たとえば住宅ローン残高が3,500万円あるのに、現在の査定価格が3,200万円なら、売却代金だけではローンを完済できない可能性があります。
一方、ローン残高2,000万円で査定価格4,000万円なら、売却費用を考慮しても一定の資金が残る可能性があります。
新居を先に購入できるかどうかは、この差によっても変わります。
「家は4,000万円くらいで売れそう」という査定額だけではなく、
査定価格-住宅ローン残高-売却費用
まで計算して、売却後の資金を把握することが大切です。
査定価格と実際に使えるお金は同じではない
査定価格4,000万円と聞くと、「売れば4,000万円使える」と考えてしまいがちです。
しかし、住宅ローンが残っていれば返済が必要ですし、仲介で売却する場合には仲介手数料などの費用も発生します。
引っ越し費用や、新居購入に伴う費用も必要になります。
そのため住み替えを考える際には、査定価格そのものではなく、売却後に手元へ残る金額を確認します。
この手取り額を把握せずに買い先行で新居を購入すると、想定より現在の家が安く売れたときに資金計画が苦しくなる可能性があります。
空き家にしたからといって焦って値下げしない
先に引っ越した場合、毎月新居の住宅費と旧居の費用が発生します。
そのため売却開始から2か月、3か月と経つにつれて、「早く売らなければ」という心理が強くなります。
そこで必要以上に価格を下げてしまうケースがあります。
たとえば4,000万円前後で成約できる可能性がある住宅を、二重住宅費が苦しくなったため3,700万円へ値下げすれば、300万円の差になります。
毎月10万円の追加費用を避けるために300万円値下げするのであれば、本当に合理的なのか計算する必要があります。
もちろん市場反応が悪く適正価格自体が3,700万円なら価格変更は必要ですが、売主側の資金事情だけで焦って値下げすることは避けたいところです。
売れない原因が「居住中だから」とは限らない
住みながら3か月販売しても売れないと、「空き家にした方がいいのでは」と考えるかもしれません。
しかし、売れない理由を確認せずに引っ越すのはおすすめできません。
問い合わせ自体が少ないなら、価格が周辺相場より高い可能性があります。
問い合わせはあるものの内覧にならないなら、広告写真や物件情報の見せ方に問題があるかもしれません。
内覧は多いのに申込みが入らないなら、現地で分かる建物状態や眺望、騒音、道路などと価格のバランスが原因かもしれません。
内覧希望が多いのに売主の都合でほとんど断っているなら、居住中であることが販売機会を減らしている可能性があります。
原因によって対策は変わります。
空き家にする前に販売データを見る
売却開始後は、「問い合わせ件数」「内覧件数」「購入者の反応」を確認します。
例えば1か月で広告閲覧が多いのに問い合わせがゼロなら、空き家にしても大きく状況が変わらない可能性があります。
購入者は内覧する前の段階で候補から外しているからです。
反対に内覧希望は毎週入るのに、売主の予定が合わず半分以上断っているのであれば、空き家にするメリットは大きくなります。
感覚だけで「居住中だから売れない」と判断せず、どの段階で購入者が離脱しているのかを見ることが大切です。
空き家にした後のリフォームは慎重に判断する
先に引っ越して室内が空になると、壁紙の汚れや床の傷などが目立ち、「全部きれいにした方が売れるのでは」と考えやすくなります。
しかし、売却前に数百万円をかけてリフォームする場合は、工事費を回収できるか確認する必要があります。
現状3,500万円で売れる住宅へ400万円をかけて、3,750万円で売れたとしても、
3,750万円-400万円=3,350万円
です。
リフォームしない方が単純な比較では150万円多く残ります。
空き家になったからといって、必ず全面リフォームが必要になるわけではありません。
ハウスクリーニングだけで十分なのか、壁紙の一部補修だけでよいのか、現状販売した方がよいのかを査定価格と合わせて判断します。
売却前に引っ越しても3,000万円特別控除がすぐ使えなくなるわけではない
税金についても、「住みながら売らないとマイホームの特例が使えないのでは」と心配する方がいます。
一定の要件を満たすマイホームを売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
この特例は、現に住んでいる住宅だけではなく、以前住んでいた住宅でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件を満たせば対象になる可能性があります。
そのため、先に引っ越した瞬間に特例が使えなくなるわけではありません。
ただし、実際に適用できるかどうかは売却時期や所有関係、過去に利用した税制など複数の要件によって決まるため、個別に確認する必要があります。
税金だけを理由に居住中・空き家を決めない
3,000万円特別控除は重要な制度ですが、「税金が心配だから売れるまで絶対に住み続ける」という判断をする必要はありません。
反対に、「引っ越しても数年間大丈夫だから急いで売らなくてもよい」と単純に考えることにも注意が必要です。
特例には期限がありますし、売却が長期化すれば住宅の保有費も増えます。
税制上の期限と、実際の不動産市場で売却するタイミングは分けて考えることが重要です。
住みながら売る場合の手取りを計算してみる
ここで具体的な例を考えてみましょう。
現在の住宅を4,000万円で売却できるとします。
住宅ローン返済は月10万円で、売却まで4か月かかりました。
この場合、4か月間は現在の住宅で生活しているため、新居の住宅費はまだ発生していないとします。
売却後に新居へ引っ越すのであれば、売却期間中に新たに発生する住居費は限定的です。
もちろん内覧対応や片づけなどの負担はありますが、資金面では比較的安全に進められます。
空き家にしてから売る場合の手取りを計算してみる
同じ住宅について、先に新居へ引っ越したことで内覧しやすくなり、4,100万円で売れたとします。
居住中より100万円高く売れたことになります。
しかし新居の住宅費が月13万円で、売却まで6か月かかったなら、
13万円×6か月=78万円
の追加負担です。
さらに引っ越し後の旧居の電気・水道や管理費などが20万円発生したなら、追加負担は98万円です。
4,100万円-98万円=4,002万円。
単純化した例では、居住中4,000万円とほぼ変わりません。
このように「空き家にして100万円高く売れた」という結果だけを見ても、本当に得だったかどうかは分かりません。
スタッフ植松「家の売却では、私は『4,000万円で売れた』『4,100万円で売れた』という成約価格だけを比較しないことが大切だと思います。先に引っ越した場合の新居費用や空き家管理費まで差し引き、最終的にいくら残ったのかを見ると、本当に有利だった売り方が分かります。」
住みながら売るか空き家にするか迷ったときの判断基準
どちらにするか迷った場合は、まず住宅ローン残高と現在の査定価格を確認します。
次に、新居がすでに決まっているのか、これから探すのかを整理します。
さらに、現在の住宅で内覧へ対応できるかを考えます。
毎週土日のどちらかを空けられる家庭と、仕事の都合で月に1回しか対応できない家庭では、居住中販売のしやすさが違います。
室内の荷物量も重要です。
少し整理すれば内覧できる状態なのか、家財が多く、空き家にしないと物件の状態を確認しにくいのかによっても判断が変わります。
最後に、先に引っ越した場合の費用を計算します。
売却に6か月、1年かかっても二重住宅費を問題なく負担できるなら空き家販売を選びやすくなります。
反対に数か月でも家計が苦しくなるなら、住みながら売却した方が安全です。
「空き家の方が売れる」というイメージだけで先に引っ越さない
住みながら家を売ることは十分可能です。
空き家にしてからでなければ販売できないわけではありません。
居住中には、売却期間中も現在の家で生活でき、新居の住宅費が先行しにくく、売却価格を確認してから住み替え計画を立てやすいというメリットがあります。
一方で、内覧日時を調整する必要があり、掃除や片づけの負担が続くというデメリットがあります。
空き家販売では、購入希望者が内覧しやすく、室内全体を確認してもらいやすくなります。
その反面、先に新居へ引っ越せば、売却が完了するまで新旧両方の住宅に関する費用を負担する可能性があります。
どちらが得になるかは、物件によって異なります。
だからこそ、最初に現在の住宅価値と住宅ローン残高を確認し、居住中で販売した場合と、空き家にした場合の費用を数字で比較することが重要です。
仮に空き家にすることで100万円高く売れる可能性があっても、そのために150万円の追加費用が必要なら、売主の手取りは増えていません。
反対に、先に引っ越すことで内覧機会が大幅に増え、販売期間を短縮できる住宅なら、空き家にする意味があります。
売却で考えるべきなのは、
「住んでいる家は売りにくいのか」
という単純な問題ではありません。
現在の家に住みながら売った場合と、先に引っ越して売った場合のどちらが、自分の家族にとって負担が少なく、最終的な手取りを確保できるのか。
この視点で比較することが重要です。
特に大阪市内のマンションでは、先に引っ越しても管理費や修繕積立金、住宅ローンなどが続く可能性があります。
豊中市・吹田市・箕面市などの戸建てでは、空き家にした後の庭や建物管理も考える必要があります。
現在の住宅を売ってから新居を購入するのか、新居へ引っ越してから現在の住宅を売るのかによって、資金計画も大きく変わります。
「空き家にした方がきれいに見えるから」という理由だけで決めるのではなく、売却期間が3か月、6か月、1年になった場合まで想定して費用を計算してください。
そのうえで、内覧対応のしやすさや家族の生活、新居の予定を合わせて考える。
それが、住みながら売るか空き家にしてから売るかを判断するときに、最も重要な考え方です。
