大阪市内でワンルームマンションを所有している方の中には、「今のうちに売った方がいいのだろうか」「家賃収入が入っているなら、そのまま持ち続けた方が得なのでは」と迷っている方もいるでしょう。
投資用ワンルームマンションは、自宅として使うマンションとは売却を考える基準が異なります。
自宅なら、転勤、結婚、離婚、家族構成の変化、住み替えなどが売却のきっかけになります。一方、投資用マンションでは、毎月の家賃収入、管理費・修繕積立金、賃貸管理費、固定資産税、ローン返済、空室リスク、将来の修繕負担などを含めて判断しなければなりません。
さらに、購入希望者の多くも「自分が住みたいか」だけではなく、投資対象として利益を期待できるかを見ています。
そのため、駅徒歩5分、築15年、20㎡という条件だけで価格が決まるわけではありません。現在の家賃はいくらなのか、入居者はいるのか、年間でどれだけ収入が得られるのか、管理費などの支出はいくらなのかといった収益性も価格判断に影響します。
特に注意したいのは、「価格が上がったら売ろう」という考え方だけでは、適切なタイミングを判断しにくいことです。
売却価格が100万円上がるまで待ったとしても、その間に空室が発生したり、修繕積立金が増額されたり、大きな設備交換が必要になったりすれば、結果として手元に残る利益が減る可能性があります。
反対に、現在の家賃収入が安定し、ローン残高も順調に減っているのであれば、すぐ売却するより保有を続けた方が自分の投資目的に合うケースもあります。
大切なのは「大阪市のマンション価格が高いから売る」「築20年になる前に売る」と一つの条件だけで決めるのではなく、売却した場合の手取りと、保有を続けた場合に期待できる収益を比較することです。
この記事では、大阪市の投資用ワンルームマンションを売却したい方に向けて、売り時を判断するポイント、オーナーチェンジ物件の価格の考え方、空室時の売却、ローン、税金、減価償却、サブリースなど、売却前に確認しておきたい内容を詳しく解説します。
投資用ワンルームマンションの売却は「自宅の売却」と何が違う?
投資用ワンルームマンションと居住用マンションでは、購入する人の目的が異なります。
自宅を購入する人なら、日当たり、間取り、眺望、収納、周辺環境など、実際の暮らしやすさを重視します。
もちろん投資用マンションでも立地や室内状態は重要ですが、投資家はそれに加えて「この物件を購入したら、どのくらいの収益が期待できるのか」を考えます。
たとえば月額家賃が7万円なら、年間家賃収入は単純計算で84万円です。
物件価格が1,500万円なら、年間家賃収入84万円を物件価格1,500万円で割った表面利回りは約5.6%になります。
同じ84万円の年間家賃でも、物件価格が1,800万円なら表面利回りは約4.7%です。
つまり売主が「できるだけ高く売りたい」と考えて売出価格を上げるほど、購入者から見た利回りは低くなります。
投資用ワンルームマンションでは、売主の希望価格だけではなく、家賃と売却価格のバランスが非常に重要なのです。
表面利回りだけで売却価格を決めない
投資用不動産では表面利回りがよく使われます。
計算式はシンプルです。
年間家賃収入÷物件価格×100
たとえば年間家賃84万円、物件価格1,500万円なら表面利回りは約5.6%です。
しかし、84万円すべてがオーナーの利益になるわけではありません。
マンションなら管理費や修繕積立金がかかります。
賃貸管理会社へ管理を委託していれば管理手数料が必要です。
固定資産税・都市計画税、設備故障時の修理費、入居者退去時の原状回復費なども考えなければなりません。
空室期間が発生すれば、その間の家賃収入はなくなります。
したがって、売却価格を検討するときも「表面利回り5%だから○万円」と機械的に決めるのではなく、現在の賃料と支出、周辺の成約事例、築年数、立地などを総合的に確認する必要があります。
大阪市のワンルームマンション相場は「大阪市平均」だけで判断しない
大阪市で投資用ワンルームマンションを売るときに、「大阪市の中古マンション価格が上がっている」という情報だけで売却価格を決めるのは注意が必要です。
大阪市は24区あり、エリアごとに賃貸需要や物件価格が異なります。
さらに同じ区でも、最寄り駅や駅からの距離によって評価が変わります。
梅田・本町・心斎橋など都心部へのアクセス、最寄り駅からの徒歩分数、複数路線を利用できるかどうかなどは、賃貸需要にも購入者の評価にも影響する可能性があります。
そのため相場を調べる場合には、大阪市全体の平均価格から入り、区、駅、築年数、専有面積などを絞り込んで比較します。
さらに可能であれば、同じマンション内の売出事例や成約事例を確認します。
同じ建物なら立地、築年数、管理状態など多くの条件が共通するため、売却価格を考えるうえで重要な材料になります。
売るタイミング① 購入時より価格が上がっているとき
投資用ワンルームマンションを売却するタイミングとして考えやすいのが、市場価格が購入時より上昇しているときです。
たとえば1,500万円で購入したマンションが現在1,900万円程度で売れる可能性があるなら、売却を検討するきっかけになります。
ただし、
「1,500万円で買ったものを1,900万円で売れば400万円の利益」
と単純に考えることはできません。
購入時には仲介手数料や登記費用などが発生している場合がありますし、売却時にも仲介手数料などの費用が必要になります。
さらに税務上の譲渡所得を計算する際には、建物の取得費から所有期間中の減価償却費を差し引いて考える必要があります。
投資用マンションは賃貸という事業に使っているため、売却時の税金を考える際には減価償却の影響を無視できません。
売却価格が購入価格を少し上回っただけで、「かなり利益が出る」と判断しないことが大切です。
スタッフ植松「投資用ワンルームマンションでは、私は『購入価格より高く売れるか』だけで売り時を判断しない方がよいと考えています。売却費用、ローン残高、減価償却後の取得費、税金まで計算すると、売却価格が上がっていても想像したほど手元に残らないことがあります。まずは“売値”ではなく“売却後の手取り”まで計算することが重要です。」
売るタイミング② ローン残高より売却価格が高くなったとき
投資用マンションをローンで購入している場合、現在のローン残高も売却判断に影響します。
たとえば、
想定売却価格 1,800万円
ローン残高 1,300万円
なら、単純な差額は500万円です。
一方、
想定売却価格 1,800万円
ローン残高 1,900万円
なら、売却代金だけではローンを完済できない可能性があります。
一般的には、売却時にローンを完済して金融機関の抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
売却代金だけでは不足する場合、自己資金で不足額を補えるかなどを確認しなければなりません。
そのため「マンション価格が上がった」という情報だけでなく、ローン残高との関係も確認します。
長期間保有してローン残高が減ったことで、以前は売却すると自己資金が必要だった物件でも、現在なら売却代金で完済できる状態になっていることがあります。
売るタイミング③ 家賃と売却価格のバランスが良いとき
入居者がいる投資用ワンルームマンションでは、現在の家賃が売却価格に影響します。
購入する投資家にとって、購入直後から家賃収入が見込めることは重要な情報だからです。
たとえば同じマンションに同じ広さの住戸が二つあり、一方の家賃が月7万円、もう一方が月6万円なら、条件が同じであれば収益性に差が出ます。
ただし、高い家賃で入居しているから必ず高く売れるとは限りません。
現在の家賃が周辺相場より極端に高い場合、現在の入居者が退去した後も同じ家賃で新しい入居者を確保できるのか、購入者は慎重に考えるでしょう。
反対に、長期間家賃を変更しておらず、周辺相場よりかなり低い賃料で貸している場合には、現在の利回りが低く見えることがあります。
投資用物件では「現在の賃料」と「現在の賃貸市場で期待できる賃料」の両方を見ることが重要です。
売るタイミング④ 大きな修繕負担が発生する前
ワンルームマンションを保有している間は、管理費や修繕積立金を支払います。
築年数が経過すると、大規模修繕や設備更新などの問題が出てくる可能性があります。
もちろん大規模修繕が予定されているから必ず売った方がよいわけではありません。
適切な修繕が行われることで、マンションの資産価値維持につながる面もあります。
一方で、修繕積立金の増額や一時金など、オーナーの負担が増える可能性があるなら、今後の収支に影響します。
現在、
家賃 7万円
管理費・修繕積立金 1万5,000円
賃貸管理費 3,500円
だったものが、修繕積立金の増額によって管理費・修繕積立金の合計が2万円になれば、毎月の手残りは減ります。
投資用マンションは家賃だけではなく、保有コストの変化も見ながら売却時期を判断する必要があります。
売るタイミング⑤ 空室になったとき
入居者が退去して空室になったときも、売却を考えるタイミングの一つです。
空室なら次の入居者を募集することもできますが、そのまま売却する選択肢もあります。
空室状態のメリットは、購入者の幅を広げられる可能性があることです。
入居者がいる状態では、基本的には投資用として検討する購入者が中心になります。
一方、空室になれば物件条件によっては、自分で住む目的の購入者も検討できる可能性があります。
ただし、ワンルームマンションの場合は専有面積や間取り、金融機関の融資条件などによって購入者層が限定されることもあります。
「空室になれば必ず高く売れる」とは限りません。
また、空室期間中は家賃収入がありません。
毎月のローン返済、管理費、修繕積立金などは続くため、長期間空室のまま高値で販売すると保有コストが増えていきます。
次の入居者を募集するのか、空室のまま売却するのかは、募集した場合の想定家賃と売却価格の両方を比較して決めましょう。
入居中のワンルームマンションでも売却できる
「入居者がいるので退去するまで売れない」と思っている方もいますが、賃貸中の投資用マンションでも売却できます。
一般に「オーナーチェンジ」と呼ばれる方法です。
所有者が変わっても賃貸借関係は継続し、購入者が新しい賃貸人となります。
そのため購入者は、物件だけではなく賃貸条件も確認します。
現在の家賃、敷金などの承継、契約期間、更新条件、管理会社、滞納の有無など、投資判断に必要な情報を整理しておくことが大切です。
入居者が安定して家賃を支払っている物件なら、購入直後から収益を見込めることが投資家にとってメリットになる可能性があります。
一方で、入居者がいるため室内を自由に確認できないケースでは、購入者が室内状態を把握しにくいという面もあります。
オーナーチェンジで売る場合には、賃貸借契約書や管理状況などの資料を早めに整理しておきましょう。
空室と入居中、どちらが高く売れる?
これは物件によって異なります。
投資用として魅力のあるワンルームで、適正な家賃で安定した入居者がいるなら、オーナーチェンジ物件として評価される可能性があります。
購入後すぐに家賃収入が発生するためです。
一方、実需としても需要が見込める広さや立地であれば、空室にすることで自宅購入者まで対象を広げられる場合があります。
ただし、投資目的で購入したワンルームの入居者に対して、売却したいからという理由だけで簡単に退去してもらえるとは限りません。
入居中なら、現在の賃貸借契約を前提として売却方法を考えることが基本になります。
売却するためだけに無理に空室化しようとするのではなく、現在の状態でどの程度の価格が見込めるのかを確認することが大切です。
サブリース契約がある場合は契約内容を確認する
投資用ワンルームマンションでは、購入時からサブリース契約を利用しているケースがあります。
国土交通省は、サブリースについて、サブリース会社などがオーナーから物件を借り上げ、それを第三者へ転貸する仕組みとして案内しています。
サブリース契約がある物件を売却する場合には、契約内容を事前に確認しておくことが重要です。
契約をそのまま購入者へ承継するのか、売却に伴ってどのような手続きが必要なのか、契約解除に関する条件はどうなっているのかなどを確認します。
また、サブリース会社からオーナーへ支払われる賃料と、実際の入居者が支払っている賃料が同じとは限りません。
投資家は購入後に得られる収益を基準に価格を考えるため、サブリース賃料が売却価格へ影響する可能性があります。
「家賃保証だから売却にも有利」と決めつけず、契約条件を整理したうえで査定する必要があります。
スタッフ植松「投資用マンションでは、私は売却査定の前に賃貸借契約書やサブリース契約書を確認しておくことが重要だと思っています。同じ部屋でも、月7万円で直接賃貸している場合と、サブリースによってオーナーの受取額がそれより低い場合では、購入者から見た収益性が違います。建物だけでなく“どのような契約が付いている物件なのか”まで含めて売却価格を考える必要があります。」
売るタイミング⑥ 所有期間が5年前後なら税金も確認する
投資用マンションの売却タイミングを考えるとき、所有期間は重要なポイントです。
土地や建物の譲渡所得は、売却した年の1月1日時点における所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分されます。
所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。
ここで注意したいのは、「購入から5年経過した日」がそのまま基準ではないことです。
たとえば2021年10月に購入したマンションを2026年11月に売却すると、実際の保有期間は5年を超えています。
しかし、2026年1月1日時点では5年を超えていないため、税務上は短期譲渡所得に該当します。
この物件の場合、2027年に売却すれば、2027年1月1日時点で所有期間が5年を超えているため、長期譲渡所得になるという考え方です。
売却益が大きく出る物件では、この違いによって税負担が大きく変わる可能性があります。
そのため所有期間が5年前後なら、査定価格だけではなく税引き後の手取りまで比較することが重要です。
投資用マンションの売却益はどう計算する?
土地や建物を売却した場合の譲渡所得は、基本的に次の考え方で計算します。
売却代金-取得費-譲渡費用
ここで注意したいのが取得費です。
投資用マンションを2,000万円で購入し、2,200万円で売却したからといって、譲渡益が必ず200万円になるわけではありません。
投資用として使用していた建物部分については、購入してから売却するまでの減価償却費を考慮して取得費を計算します。
国税庁も、事業に使用していた建物については、取得から売却までの毎年の減価償却費の合計を建物取得費から差し引くとしています。
そのため長期間保有した投資用マンションでは、売却時の税務上の取得費が購入時より低くなっている可能性があります。
「購入価格より安く売ったから利益は出ていないだろう」と自己判断するのは注意が必要です。
減価償却をしていなかったら取得費は減らない?
ここも投資用不動産で誤解されやすい部分です。
「確定申告で減価償却を経費にしていなかったから、売却時には購入時の建物価格をそのまま取得費として使える」と考える方がいるかもしれません。
しかし国税庁は、事業に使われていた建物について、仮に毎年の減価償却費を必要経費に算入していない部分があったとしても、売却時の建物取得費を計算するときには毎年の減価償却費の合計額を考慮すると案内しています。
つまり、申告で減価償却を計上しなかったことによって、売却時の取得費がそのまま高く残るとは限りません。
購入時の土地・建物価格の内訳や、これまでの減価償却について資料を整理しておくことが重要です。
具体的な税額計算は個別条件で変わるため、売却益が見込まれる場合は税理士や税務署へ確認しましょう。
投資用ワンルームでは3,000万円特別控除を前提にしない
自宅マンションを売却した場合には、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
しかし、この制度は居住用財産を対象とするものです。
最初から投資目的で購入し、第三者へ賃貸しているワンルームマンションについて、自宅売却と同じ感覚で3,000万円特別控除を利用できると考えないようにしましょう。
投資用マンションの売却では、居住用不動産とは税制上の扱いが異なる部分があります。
特に「購入価格より少し高く売れるだけだから税金は大したことがない」と考えている場合は、減価償却後の取得費を使って譲渡所得を試算してみることが大切です。
売るタイミング⑦ 毎月のキャッシュフローが悪化してきたとき
投資用マンションを持ち続けるか判断するときには、毎月のキャッシュフローを確認します。
たとえば、
家賃収入 70,000円
管理費・修繕積立金 15,000円
賃貸管理費 3,500円
ローン返済 55,000円
なら、この項目だけを単純計算すると毎月3,500円のマイナスです。
さらに固定資産税や設備修理、空室、原状回復などもあります。
もちろんローン返済額には元本返済が含まれるため、毎月の現金収支がマイナスだから直ちに投資として損をしているとは限りません。
ローン元本が減ることで純資産が増えている面もあります。
それでも、毎月の持ち出しが大きくなり、今後も家賃上昇が期待しにくいのであれば、保有を続ける意味を改めて確認する必要があります。
「せっかく買ったから持ち続ける」ではなく、現在の投資条件を基準に考えることが重要です。
家賃が下がってきたら売却を考えるべき?
購入時は月8万円で貸せていたのに、現在の募集相場が7万円程度になっている場合、収益力は低下しています。
年間では12万円の差です。
さらに管理費や修繕積立金が上昇していれば、実際の収益性はより低下します。
ただし、家賃が下がったからすぐ売るという単純な判断もおすすめできません。
周辺で新築ワンルームの供給が一時的に増えているだけなのか、エリア全体の賃貸需要が変化しているのかを確認します。
駅周辺の開発や大学・企業の移転などによって将来の需要が変わる可能性もあります。
一時的な家賃低下なのか、長期的な収益性低下なのかを見極めたうえで判断しましょう。
築年数が古くなる前に売った方がいい?
「築10年まで」「築20年になる前」など、築年数を売却の目安にする考え方があります。
確かに築年数は売却価格や賃貸需要に影響する要素の一つです。
しかし、築20年になった瞬間に価格が急落するわけではありません。
投資用マンションでは、立地、家賃、管理状態、修繕状況、毎月の維持費なども評価されます。
築25年でも駅に近く、賃貸需要が安定し、適切に管理されている物件なら投資対象として検討される可能性があります。
反対に築浅でも、家賃に対して売却価格が高すぎれば、投資家から見た利回りが低くなります。
築年数だけを理由に売却するのではなく、「築年数が進んだことで何が変化するのか」を確認することが大切です。
修繕積立金の増額は売却価格にも影響する?
修繕積立金が上がれば、毎月のオーナー負担は増えます。
投資家が購入するときには、家賃だけではなく管理費・修繕積立金などの支出も確認します。
たとえば月7万円の家賃に対し、管理費・修繕積立金が月1万円の物件と2万円の物件では、同じ売却価格でも実質的な収益性は異なります。
だからといって、修繕積立金が安ければ必ず良いとも限りません。
必要な修繕に対して積立額が不足していれば、将来的に増額や一時金が必要になる可能性があります。
購入者にとって重要なのは、単純な金額の安さだけではなく、マンションの修繕計画と資金状況です。
売却前には長期修繕計画や総会資料など、確認できる資料を整理しておくとよいでしょう。
入居者が退去するまで待つべきか
入居中のワンルームを売却しようとしたとき、「空室になった方が高く売れそうだから退去まで待とう」と考えることがあります。
しかし、退去時期は売主が自由に決められるとは限りません。
さらに、退去を待っている間に市場価格が変化する可能性もあります。
入居者が2年間住み続け、その間にローン残高が減るというメリットがある一方、設備故障や修繕積立金増額などが発生する可能性もあります。
現在のオーナーチェンジ価格と、将来空室になった場合の想定価格の差を確認し、その差が待つリスクに見合うか考えましょう。
入居者がいるから売れないのではなく、「入居中なら誰が買うのか」「空室なら誰が買うのか」という購入者層の違いを理解することが重要です。
売却前に家賃を上げれば高く売れる?
投資用マンションは収益性が価格に影響するため、「売却前に家賃を上げれば高く売れるのでは」と考えるかもしれません。
しかし、既存の賃貸借契約がある状態で、売却したいという理由だけで自由に家賃を変更できるわけではありません。
また、空室時に相場を大きく上回る家賃で募集し、たまたま高い賃料で入居者が決まったとしても、購入者がその家賃の継続性を疑えば、期待した価格評価につながらない可能性があります。
投資家は現在の家賃だけではなく、周辺の募集賃料や同じマンションの賃貸事例なども確認します。
売却価格を高くするためだけに無理な賃料設定をするのではなく、継続可能な賃料水準を把握することが重要です。
大阪市中心部のワンルームでも「立地が良いから売れる」とは限らない
大阪市内の駅近ワンルームなら、どの物件でも簡単に売れるわけではありません。
購入者は複数の投資用マンションを比較しています。
同じ2,000万円なら、どちらの家賃が高いのか、管理費はどちらが安いのか、築年数はどうか、駅から何分なのか、空室期間はどの程度見込まれるのかといった条件を比較します。
さらに、同じマンション内で複数の住戸が売りに出ていることもあります。
自分の住戸が2,000万円で販売されているとき、同じ間取り・同程度の家賃の部屋が1,850万円で販売されていれば、購入者は当然比較します。
投資用物件では「自分はいくらで買ったか」ではなく、購入者から見て現在どの程度の投資価値があるのかを基準に価格を考える必要があります。
売却価格はローン残高から逆算しない
2,000万円のローンが残っているから2,200万円で売りたいという気持ちは理解できます。
しかし、ローン残高は購入者にとって物件価値を決める要素ではありません。
購入者が見るのは立地、築年数、家賃、管理費、修繕積立金、管理状態、将来性などです。
市場価格が1,800万円程度なのに、ローンを完済するためだけに2,200万円で売り出せば、長期間売れない可能性があります。
販売期間中にもローン返済や管理費などの負担は続きます。
まず市場価格を確認し、その価格で売却した場合にローンを完済できるのかを計算する順番が重要です。
売却査定では「空室価格」と「オーナーチェンジ価格」を分けて考える
入居中の投資用ワンルームを査定する場合には、現在の賃貸条件を前提に価格を考えます。
一方、将来空室になった場合には、別の購入者層が検討できる可能性があります。
そのため物件によっては、
現在、入居中のまま売った場合の価格
将来、空室になった場合に期待できる価格
を分けて確認すると判断しやすくなります。
ただし、空室になるまで1年、2年待つのであれば、その期間に発生する収入と支出も計算しなければなりません。
将来の売却価格が100万円高くなる可能性があっても、待つ間に市場価格が下がる可能性もあります。
将来価格だけでなく、時間まで含めて比較しましょう。
スタッフ植松「ワンルームマンションの売却相談では、私は『今売ったらいくら』だけでなく、『あと3年持ったらどうなるか』まで数字にすることが大切だと思っています。3年間の家賃収入、ローン元本の減少、管理費、修繕積立金、固定資産税、修理費を並べれば、今売る場合と持ち続ける場合を感覚ではなく数字で比較できます。」
「今売る」と「3年間持つ」を比較してみる
たとえば大阪市内に次のワンルームマンションを所有しているとします。
現在の想定売却価格 1,800万円
ローン残高 1,200万円
月額家賃 7万円
管理費・修繕積立金 月1万5,000円
賃貸管理費 月3,500円
今売れば、売却費用や税金を考慮する前の価格とローン残高の差は600万円です。
では3年間保有すれば必ず有利なのでしょうか。
家賃収入は単純計算で、
7万円×12か月×3年=252万円
です。
しかし、管理費・修繕積立金だけでも、
1万5,000円×12か月×3年=54万円
かかります。
さらに賃貸管理費、固定資産税、設備修理、空室、原状回復などがあります。
一方でローン返済によって元本も減ります。
3年後に市場価格が1,800万円のままなら、保有継続が有利になる可能性があります。
しかし3年後に1,600万円へ下がれば、家賃収入を得ても売却価格の下落が影響します。
逆に2,000万円へ上昇すれば、保有した方が有利だったという結果になる可能性もあります。
将来価格を正確に予測することはできません。
だからこそ、「価格が上がるか下がるか」だけに賭けるのではなく、複数の価格シナリオで試算しておくことが重要です。
売却損が出れば給与所得と相殺できる?
投資用ワンルームマンションを購入価格より安く売った場合、「売却損を給与所得と相殺して税金を減らせるのでは」と考える方もいます。
しかし、個人が土地や建物を売却して生じた譲渡損失については、原則として給与所得や事業所得など他の所得との損益通算はできません。
一定の居住用財産については特例がありますが、投資用として所有していたワンルームマンションに同じ特例が当然適用されるわけではありません。
また、先ほど説明したように、購入価格より安く売ったことと、税務上の譲渡損失が出ることは必ずしも同じではありません。
建物の取得費は減価償却を反映して計算するためです。
投資用不動産を売却するときは、購入価格との単純比較ではなく、税務上の取得費を確認する必要があります。
売却前に準備しておきたい書類
投資用ワンルームマンションの売却では、通常のマンション資料に加えて、賃貸経営に関する資料を整理しておくとスムーズです。
売買契約書、重要事項説明書、登記関係書類、管理規約、管理費・修繕積立金が分かる資料に加え、入居中なら賃貸借契約書も確認します。
サブリースを利用している場合には、その契約書も必要です。
さらに、これまでの確定申告資料や減価償却の計算資料があれば、売却後の税金を計算するときに役立ちます。
購入時の土地・建物価格の内訳が分かる資料も探しておきましょう。
売却してから税金を考え始めるのではなく、査定と同時に税務資料も整理することで、税引き後の手取りを把握しやすくなります。
投資用マンション売却では「手取り」を計算する
2,000万円で売却できたとしても、2,000万円すべてが手元に残るわけではありません。
ローンが残っていれば返済が必要です。
仲介による売却なら仲介手数料が発生する場合があります。
抵当権が設定されていれば、その抹消に関係する費用なども考えます。
さらに譲渡益が発生すれば税金がかかる可能性があります。
たとえば、
売却価格 2,000万円
ローン残高 1,200万円
売却関連費用 80万円
なら、税金を考慮する前の単純計算では720万円です。
しかし、これをそのまま「投資利益720万円」と考えることはできません。
購入時の自己資金、これまでの家賃収入、保有中の支出、ローン返済、売却時の税金などもあるからです。
投資として成功したかどうかを判断するなら、購入から売却までのキャッシュフロー全体を見る必要があります。
高く売るために確認したい現在の競合物件
投資用ワンルームを売り出す前には、同じマンションや周辺で販売されている競合物件を確認します。
特に同じマンションでオーナーチェンジ物件が複数出ている場合は重要です。
購入者から見ると、立地と建物が同じなら比較しやすいからです。
たとえば自分の部屋が、
価格1,900万円
家賃7万円
で、同じマンションに、
価格1,750万円
家賃7万円
の部屋が出ていれば、条件に大きな違いがなければ後者の方が利回りは高くなります。
この状態で「自分は2,000万円で買ったから1,900万円以下では売りたくない」と考えても、購入者には関係ありません。
販売価格は取得価格ではなく、現在の競合状況と収益性から考える必要があります。
売却を急がない場合でも査定だけはしておく
「入居者もいるし、今すぐ売る予定はない」という方でも、現在の査定価格を把握しておく意味はあります。
たとえば、
現在価値 1,900万円
ローン残高 1,100万円
と分かっていれば、売却した場合の資金をある程度イメージできます。
1年後に家賃が下がったり、修繕積立金が上がったりしたときにも、現在との比較ができます。
反対に何年も価格を確認せず、「購入したとき1,800万円だったから今も同じくらいだろう」と考えていると、実際の市場とのズレに気付きにくくなります。
売却するかどうかを決めるために査定するのではなく、保有を続けるべきか判断するために査定するという考え方もあります。
大阪市のワンルームマンションは「価格・収益・税金」の3つで売り時を考える
投資用ワンルームマンションには、「築○年になったら必ず売る」「価格が○万円上がったら売る」という絶対的な売却時期があるわけではありません。
所有者によって購入価格もローン残高も違います。
現在の家賃も違えば、管理費や修繕積立金も違います。
購入時に現金を多く入れた人と、ローンを多く利用した人では売却後の手取りも変わります。
だからこそ、大阪市のワンルームマンションを売るか迷ったら、まず三つに分けて考えることをおすすめします。
一つ目は「価格」です。
今売った場合、いくらで成約できる可能性があるのかを確認します。
大阪市全体の平均だけではなく、区、駅、築年数、専有面積、同じマンションの事例などから現在価値を確認します。
二つ目は「収益」です。
現在の家賃から管理費、修繕積立金、賃貸管理費、固定資産税、修理費などを差し引き、どの程度の収益を得られているのかを確認します。
ローンがある場合には毎月の返済も含め、現金収支がどのようになっているのかを整理します。
三つ目は「税金」です。
売却益が出る場合には、取得費と譲渡費用を使って譲渡所得を計算します。
投資用マンションの建物部分では減価償却が取得費へ影響するため、「買った価格と売った価格の差」だけでは税額を判断できません。
さらに所有期間が5年前後なら、売却する年によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分が変わる可能性があります。
この三つを確認したうえで、「今売った場合」と「保有を続けた場合」を比較します。
たとえば今売れば税引き後で500万円程度の資金が残るとします。
一方、3年間保有すれば家賃収入を得ながらローン残高を減らせます。
その場合には、3年間の家賃収入だけを見るのではなく、管理費、修繕積立金、固定資産税、賃貸管理費、空室、修理費なども見込みます。
さらに3年後の売却価格を複数のケースで試算します。
価格が現在と同じ場合、10%下落した場合、10%上昇した場合というように考えれば、将来を断定しなくても判断材料を増やせます。
サブリース契約があるなら、その契約も確認します。
現在の受取賃料がいくらなのか、契約を購入者へどのように承継するのか、売却時に必要な手続きは何かを確認します。
入居中なら、オーナーチェンジ物件として現在の状態で売却できる価格を調べます。
空室なら、次の入居者を募集する場合と、そのまま売却する場合を比較します。
そして最後に見るのが手取りです。
投資用不動産では、売却価格が高かったというだけでは投資結果を判断できません。
売却価格からローン残高と売却費用を差し引き、さらに必要に応じて税金を考えます。
そこまで計算して初めて、「今売ることでいくらの資金を確保できるのか」が見えてきます。
また、売らずに保有する場合にも理由を明確にしておくことが大切です。
「なんとなく値上がりしそうだから持っておく」ではなく、「現在の収益性なら保有を続ける意味がある」「ローン元本の減少を考えるとあと3年保有したい」「修繕積立金の増額を考えると今のうちに売却を検討したい」というように数字を根拠に判断します。
投資用マンションでは、売却も投資判断の一部です。
買ったときの価格にこだわりすぎる必要もありませんし、価格が上がっているという理由だけで慌てて売る必要もありません。
現在の売却価格、今後得られる収益、ローン残高、保有コスト、税金を並べて、どちらが自分の資産形成に合っているかを比較することが重要です。
大阪市のワンルームマンションを売却するか迷っているなら、まず現在の査定価格とローン残高を確認してください。
そのうえで現在の年間収支を計算し、売却した場合の手取りを試算します。
「今売る」と「あと数年保有する」の二つを数字で比較できれば、感覚だけで売却時期を決めるより、自分に合った判断をしやすくなります。
