「自宅の前の道路が将来広くなると聞いたけれど、家は売れる?」
「都市計画道路の予定地に入っていると、不動産の価値は下がる?」
「道路拡張で立ち退きになるなら、今売らない方がいい?」
大阪市内で不動産を所有している方の中には、このような疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
不動産の売却を考えて調査を進めたところ、初めて自宅の敷地が都市計画道路の予定地に含まれていると知るケースもあります。
都市計画道路とは、都市計画法に基づいて位置や幅員などが定められた道路です。
交通の円滑化や防災機能の向上、都市環境の改善などを目的として計画されます。
大阪市では、幹線道路をはじめ、多くの都市計画道路が定められています。
大阪市の公表資料によると、2026年4月1日時点で、190路線・約514kmの都市計画道路が計画決定されており、整備率は約81%となっています。
ただし、都市計画道路として指定されているからといって、すぐに道路工事が始まるわけではありません。
計画決定から長期間が経過している路線もあり、実際の事業化の時期は路線によって異なります。
一方、都市計画道路の予定地に含まれる不動産には、建築制限などが関係するため、通常の土地や戸建てとは売却時の評価が異なる場合があります。
結論からいうと、都市計画道路予定地にある家や土地でも売却は可能です。
ただし、計画の進捗状況や敷地への影響、将来の建て替え条件などによって、売却価格や購入希望者の判断が変わります。
この記事では、大阪市内で都市計画道路予定地にある不動産を売却したい方に向けて、道路拡張計画の仕組み、建築制限、売却価格への影響、用地買収や補償、売却前の確認事項、高値売却を目指すポイントまで詳しく解説します。
都市計画道路とは?大阪市の道路拡張計画の仕組み
都市計画道路とは、将来の都市づくりを見据えて、都市計画法に基づき位置や規模などが定められた道路です。
既存の道路を広げる計画だけでなく、新しい道路を整備する計画も含まれます。
都市計画道路が整備される目的
都市計画道路には、主に次のような役割があります。
- 自動車や歩行者の交通環境の改善
- 交通渋滞の緩和
- 災害時の避難・緊急輸送経路の確保
- 防災空間の形成
- 周辺地域の利便性向上
- 都市の景観や環境の改善
ただし、道路が整備されることで、すべての不動産の価値が上がるわけではありません。
道路の位置や幅員、交通量、周辺環境などによって影響は異なります。
道路拡張計画と都市計画道路の違い
一般に「道路拡張計画」と呼ばれるものには、都市計画道路の整備だけでなく、既存道路の改良工事などもあります。
都市計画道路の場合は、都市計画法に基づく決定が行われています。
一方、通常の道路改良事業などでは、別の制度や手続きが関係する場合があります。
そのため、自宅前の道路が広くなると聞いた場合には、どのような事業なのかを確認することが重要です。
大阪市の都市計画道路の整備状況
大阪市では、都市計画道路の整備が進められています。
2026年4月1日時点の公表資料では、計画決定された約514kmのうち、約414kmが整備済みで、約43kmが事業中とされています。
ただし、これらは大阪市全体の数値です。
個別の土地がいつ道路事業の対象になるかを示すものではありません。
都市計画道路予定地にある家は売却できる?
都市計画道路の予定地に含まれる家や土地でも、原則として売買することは可能です。
ただし、計画の進捗状況によって、建築や土地利用に関する制限が異なります。
計画決定だけの段階なら売却できる
都市計画道路として計画決定されていても、事業認可が行われていない段階では、一般の購入希望者へ売却することが可能です。
ただし、都市計画道路の区域内で建物を新築・増改築する場合には、都市計画法第53条に基づく許可が必要になることがあります。
そのため、購入希望者が将来の建て替えを考えている場合には、建築制限が重要な判断材料になります。
事業認可後でも売却が絶対に禁止されるわけではない
都市計画道路の事業認可が行われた後でも、不動産の売買が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、建築行為や土地の形質変更などに関する制限が強くなります。
また、事業地内の土地建物等の有償譲渡には、都市計画法第67条による届出などが必要になる場合があります。
そのため、事業認可後の売却では、事業施行者との関係や必要な手続きを確認することが重要です。
売却価格は通常の不動産と異なる場合がある
都市計画道路予定地に含まれる不動産では、将来の建築制限や道路整備による影響が考慮される場合があります。
例えば、建て替え時に建物の構造や階数に制限が生じる場合、購入希望者が希望する住宅を建築できない可能性があります。
そのため、同じ地域の一般的な住宅と比べて、売却価格に差が生じることがあります。
ただし、都市計画道路予定地だからといって、必ず安くなるわけではありません。
都市計画道路の「計画決定」と「事業認可」の違い
都市計画道路予定地にある不動産を売却する際、最も重要なのが計画の進捗状況です。
特に、計画決定と事業認可では、土地や建物に関する制限が異なります。
計画決定とは
計画決定とは、将来整備する道路の位置や幅員などを都市計画として定めることです。
この段階では、実際の道路工事が始まっていない場合があります。
また、計画決定から事業化までに長い期間がかかることもあります。
そのため、都市計画道路の予定地に含まれているという理由だけで、近いうちに立ち退きになるとは限りません。
事業認可とは
事業認可とは、都市計画道路を実際に整備するための事業について、法令に基づく認可が行われることです。
事業認可の告示後は、事業地内の建築や土地利用などについて、より厳しい制限が関係します。
また、用地取得や補償に向けた手続きが進められる場合があります。
計画段階による違い
| 項目 | 計画決定のみ | 事業認可後 |
|---|---|---|
| 道路の計画 | 決定済み | 事業として具体化 |
| 工事の時期 | 未定の場合がある | 事業計画による |
| 建築制限 | 都市計画法第53条など | 都市計画法第65条など |
| 売却 | 可能 | 可能だが届出等に注意 |
| 用地取得 | 具体化していない場合がある | 手続きが進む場合がある |
| 売却価格への影響 | 建築制限・将来の不確実性 | 事業内容・取得予定範囲など |
※実際の制限は、路線や土地の位置、事業内容などによって異なります。
事業化されていない計画もある
都市計画道路の中には、計画決定後、長期間事業化されていない路線もあります。
そのため、予定地に含まれているからといって、すぐに道路拡張が行われるとは限りません。
売却時には、計画の有無だけでなく、現在の事業進捗を確認することが重要です。
都市計画道路予定地では建て替えに制限がある?
都市計画道路予定地にある不動産では、将来の建て替え条件が売却価格に影響する場合があります。
特に、購入希望者が建て替えを前提としている場合には、建築制限の内容が重要です。
都市計画法第53条の建築許可
都市計画道路の計画区域内で建物を建築する場合には、原則として都市計画法第53条の許可が必要です。
大阪市では、許可対象となる建築物について、原則として次のような基準を示しています。
- 階数が2以下であること
- 地階を設けないこと
- 木造・鉄骨造・コンクリートブロック造などの構造であること
- 容易に移転または除却できること
ただし、大阪市では一部の都市計画施設区域について階数制限の緩和があります。
また、個別の計画や建築内容によって判断が異なります。
そのため、すべての都市計画道路予定地で一律に2階建てまでしか建築できないというわけではありません。
現在3階建てでも建て替えられるとは限らない
例えば、現在3階建て住宅が建っている場合でも、建て替え時に同じ3階建てを建築できるとは限りません。
建築当時の条件と、現在の法令上の条件が異なる場合があるためです。
そのため、3階建て住宅を売却する際には、将来の建て替え条件を確認することが重要です。
事業認可後は制限が厳しくなる
都市計画道路の事業認可の告示後は、都市計画法第65条による制限が関係します。
大阪市では、事業地内での建築や土地の形質変更などは原則として認められず、事業の施行に支障がない場合には許可されることがあると案内しています。
そのため、事業認可後の土地では、建物の建築や改修について慎重な確認が必要です。
敷地の一部だけが都市計画道路にかかる場合
都市計画道路予定地にある不動産でも、敷地全体が計画区域に含まれるとは限りません。
道路予定線が敷地の一部だけにかかっているケースもあります。
敷地の前面部分だけが対象になる場合
例えば、土地面積120㎡のうち、道路側の20㎡が都市計画道路の予定区域に含まれる場合を考えてみましょう。
この場合、将来の道路整備によって、土地の一部が取得対象になる可能性があります。
ただし、実際に取得される範囲は事業計画や測量などによって決まります。
建物に計画線がかかっている場合
道路予定線が建物の一部にかかっている場合には、将来の道路整備によって建物の移転や撤去などが必要になる可能性があります。
そのため、建物の位置と計画線の関係を確認することが重要です。
残った土地の利用価値も重要
道路整備によって土地の一部が取得される場合、残った土地の形状や面積によって利用価値が変わることがあります。
例えば、敷地が狭くなり、駐車スペースを確保できなくなる場合などが考えられます。
また、建築基準法上の接道条件や建ぺい率・容積率なども確認する必要があります。
敷地への影響を比較する例
| 項目 | 道路整備前 | 道路整備後の仮定 |
|---|---|---|
| 土地面積 | 120㎡ | 100㎡ |
| 道路予定区域 | 20㎡ | 道路用地として取得 |
| 建物 | 現況建物あり | 移転・改修等の可能性 |
| 駐車スペース | あり | 配置変更が必要な場合 |
| 土地の利用 | 現況による | 残地の条件による |
※架空の例です。実際の取得範囲や補償内容を示すものではありません。
スタッフ植松「私は、都市計画道路予定地の不動産を売却するとき、最初に確認してほしいのが敷地のどこまで計画線がかかっているかという点です。道路予定地に含まれる面積や建物への影響によって、売却条件は大きく変わります。計画があるという情報だけで判断せず、具体的な範囲を確認することが大切だと考えています。」
都市計画道路予定地の不動産は売却価格が下がる?
都市計画道路予定地に含まれる不動産では、売却価格が通常の物件と異なる場合があります。
ただし、必ず値下がりするとは限りません。
建築制限が価格に影響する
購入希望者が建て替えを考えている場合、建築制限があることは重要な判断材料です。
例えば、希望する建物を建築できない場合には、購入を見送る可能性があります。
そのため、建築制限の内容によっては、売却価格に影響することがあります。
将来の道路整備が不確実な場合
計画決定から長期間が経過していても、事業化の時期が未定の場合があります。
購入希望者にとっては、将来の土地利用がどのように変わるか分からないことが不安材料になる可能性があります。
一方、現在の建物をそのまま利用する予定の方にとっては、影響が比較的小さい場合もあります。
道路拡張によって利便性が向上する可能性
道路が拡張されることで、交通アクセスや歩行環境が改善する可能性があります。
また、周辺地域の利便性が向上する場合もあります。
ただし、交通量や騒音が増える可能性もあるため、必ずしも不動産価値が上昇するわけではありません。
売却価格は複数の条件で決まる
都市計画道路予定地の不動産では、次のような項目が価格に影響します。
- 所在地と最寄り駅
- 土地面積と形状
- 道路予定区域に含まれる範囲
- 建物への影響
- 計画決定・事業認可の状況
- 建築制限の内容
- 現在の建物の状態
- 将来の土地利用の可能性
そのため、都市計画道路予定地という理由だけで、一律に何%安くなると判断することはできません。
都市計画道路予定地の売却価格を比較するシミュレーション
都市計画道路予定地にある土地と、通常の土地を比較する場合を考えてみましょう。
同じ立地の土地を比較する
例えば、大阪市内の同じエリアにある土地を想定します。
| 比較項目 | 土地A | 土地B |
|---|---|---|
| 所在地 | 同一エリア | 同一エリア |
| 土地面積 | 100㎡ | 100㎡ |
| 駅距離 | 徒歩10分 | 徒歩10分 |
| 都市計画道路 | 対象外 | 一部が予定区域 |
| 建築制限 | 通常の制限 | 第53条許可等が関係 |
| 建て替え | 法令条件による | 計画線・許可条件を確認 |
| 売却価格 | 個別査定 | 個別査定 |
この場合、土地Bには都市計画道路に関する制限があります。
しかし、計画線が敷地のどの部分にかかるかによって、利用可能性は異なります。
そのため、単純に土地Bの方が安くなると決めつけることはできません。
事業認可の有無によっても評価が変わる
同じ都市計画道路予定地でも、計画決定のみの段階と事業認可後では、状況が異なります。
特に、事業認可後は用地取得の対象範囲や事業スケジュールなどが重要になります。
そのため、売却価格を考える際には、現在の計画段階を確認する必要があります。
将来の補償金をそのまま売却価格に上乗せできるわけではない
道路事業による用地買収では、土地や建物の状況に応じた補償が行われる場合があります。
しかし、将来受け取れる可能性がある補償金を、現在の売却価格にそのまま上乗せできるわけではありません。
補償の対象や金額、時期などは個別の事情によって異なるためです。
道路拡張で立ち退きになる場合の補償とは?
都市計画道路の事業が進むと、土地や建物が用地取得の対象になる場合があります。
その際には、土地所有者などに対して補償が行われることがあります。
土地の取得に対する補償
道路整備に必要な土地を取得する場合には、土地の正常な取引価格などを基準として補償額が算定されます。
ただし、具体的な補償額は、土地の位置や形状、利用状況などによって異なります。
建物の移転補償
道路予定区域に建物がかかっている場合には、建物の移転や撤去などが必要になることがあります。
その場合、補償基準に基づいて建物の移転費用などが算定される場合があります。
ただし、必ず建物の新築費用全額が補償されるわけではありません。
工作物や庭木などの補償
土地の取得に伴って、塀や門扉、庭木などの移転・撤去が必要になる場合があります。
これらについても、条件に応じて補償対象になることがあります。
引越し費用などの補償
建物の移転によって引越しが必要になる場合には、一定の費用が補償対象になることがあります。
ただし、補償内容は個別の事情によって異なります。
補償内容の確認が重要
| 補償の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 土地補償 | 道路用地として取得する土地 |
| 建物移転補償 | 建物の移転・撤去等に必要な費用 |
| 工作物補償 | 塀・門扉・設備など |
| 立竹木補償 | 庭木など |
| 動産移転補償 | 家財道具などの移転 |
| その他 | 状況に応じた補償 |
※補償の有無や金額は、事業内容と個別の条件によって異なります。
都市計画道路予定地の家は今売るべき?事業化を待つべき?
都市計画道路予定地にある家を所有している方の中には、今売却するか、将来の用地買収を待つかで悩む方もいるでしょう。
しかし、どちらが有利になるかは、計画の進捗状況や所有者の事情によって異なります。
事業化の時期が未定の場合
計画決定だけで事業化の時期が未定の場合、用地買収がいつ行われるか分からないことがあります。
そのため、将来の補償を期待して長期間所有し続けることには、一定の不確実性があります。
また、所有している間は固定資産税や建物の維持管理費などが発生します。
事業認可が行われている場合
事業認可が行われている場合には、事業の進捗状況や用地取得の予定などを確認することが重要です。
ただし、事業認可後でも、すべての土地が直ちに取得されるわけではありません。
そのため、事業施行者からの説明や公表資料などを確認する必要があります。
建物が古い場合
築年数が経過した住宅では、屋根や外壁、水回りなどの修繕費が必要になる場合があります。
そのため、将来の道路整備を待つ間に、維持管理費が増える可能性があります。
一方、現在の建物を利用できる場合には、中古住宅として売却できる可能性もあります。
相続した空き家の場合
都市計画道路予定地にある家を相続し、誰も住んでいない場合には、維持管理の負担が続くことがあります。
そのため、将来の用地買収を待つか、現在の市場で売却するかを比較することが重要です。
ただし、相続空き家に関する税制上の特例を検討する場合には、適用期限や要件も確認する必要があります。
大阪市で都市計画道路予定地を調べる方法
自宅の敷地が都市計画道路の予定区域に含まれているかどうかは、大阪市の公表資料などで確認できます。
ただし、インターネット上の地図だけで正確な境界を確定できるとは限りません。
マップナビおおさかで確認する
大阪市では、「マップナビおおさか」で都市計画に関する情報を確認できます。
住所や地図から検索できるため、都市計画道路の概要を把握する際に役立ちます。
ただし、公開されている地図は参考情報です。
大阪市役所で正確な計画を確認する
大阪市では、正確な都市計画決定状況について、市役所本庁舎7階の都市計画案内コーナーに備え付けられた縦覧図書で確認するよう案内しています。
そのため、売却時には、参考図だけで判断せず、必要に応じて正式な資料を確認することが重要です。
事業中かどうかを確認する
都市計画道路の予定地に含まれている場合には、現在の事業進捗も確認する必要があります。
大阪市では、都市計画道路の整備状況や事業中の路線に関する情報を公表しています。
ただし、個別の土地がいつ取得されるかについては、事業内容などによって異なります。
計画線と敷地の位置関係を確認する
売却価格を考える際には、道路予定区域が敷地のどの部分にかかっているかが重要です。
例えば、敷地の前面部分だけにかかっている場合と、建物の中央部分にかかっている場合では、影響が異なります。
そのため、必要に応じて測量図や建物配置図なども確認することが大切です。
都市計画道路予定地の不動産を売却する3つの方法
都市計画道路予定地にある不動産でも、状況に応じて売却方法を検討できます。
1.中古住宅として売却する
現在の建物が利用できる場合には、中古住宅として売却する方法があります。
例えば、購入希望者が建て替えを予定しておらず、現在の建物を利用したいと考える場合です。
ただし、将来の道路整備や建築制限については、適切に説明する必要があります。
2.土地として売却する
建物が古い場合には、土地として売却する方法もあります。
ただし、都市計画道路予定地では、建て替え条件や計画線の位置が重要です。
また、解体費用や建築制限などによって評価が異なります。
そのため、解体前に土地の利用条件を確認することが重要です。
3.不動産買取を利用する
一般の購入希望者への売却が難しい場合には、不動産買取を検討する方法もあります。
ただし、買取価格は物件の条件や事業の進捗状況などによって異なります。
また、買取であれば必ず高く売れるというわけではありません。
そのため、売却価格と売却条件を比較することが大切です。
都市計画道路予定地の売却で注意したい契約上の問題
都市計画道路予定地にある不動産を売却する際には、契約上の説明や条件が重要です。
特に、将来の建築制限や道路事業の影響について、購入希望者が正しく理解できるようにする必要があります。
都市計画道路の存在を適切に説明する
都市計画道路予定地に含まれる不動産では、都市計画法に基づく制限が関係します。
そのため、売却時には、法令上の制限などについて適切な説明が必要です。
特に、購入希望者が建て替えを考えている場合には、建築可能な建物の条件が重要になります。
将来の事業化を断定しない
計画決定だけの段階では、事業化の時期が未定の場合があります。
そのため、「数年後には必ず道路ができる」「将来必ず補償金が支払われる」などと断定することは避ける必要があります。
また、道路計画が将来変更される可能性もあります。
売却後の土地利用を確認する
購入希望者が建物の新築や建て替えを予定している場合には、法令上の制限を確認する必要があります。
特に、都市計画道路予定区域に含まれる部分では、建築許可が必要になる場合があります。
そのため、購入後の利用方法について、実現可能かどうかを確認することが重要です。
事業認可後の売買では届出にも注意
事業認可後の事業地内では、土地建物等の有償譲渡について、都市計画法第67条に基づく届出などが必要になる場合があります。
また、事業施行者による買取りに関する制度も関係します。
そのため、通常の不動産売買と同じ手続きだけで進められるとは限りません。
都市計画道路予定地の土地売却では公拡法の届出も確認
都市計画道路予定地に含まれる土地では、公有地の拡大の推進に関する法律、いわゆる公拡法に基づく届出が必要になる場合があります。
一定面積以上の土地取引が対象
大阪市では、都市計画施設の区域を含む200㎡以上の土地を有償譲渡する場合、公拡法に基づく届出が必要になると案内しています。
ただし、実際の届出義務は土地の条件や取引内容などによって異なります。
売却前の確認が重要
公拡法の届出が必要な場合には、契約締結前の手続きが関係します。
そのため、売却を進める前に対象となるか確認する必要があります。
特に、広い土地や事業用地を売却する場合には注意が必要です。
届出が必要でも売却できないわけではない
公拡法の届出制度は、一定の土地について地方公共団体等による取得の機会を確保するためのものです。
そのため、届出対象だからといって、民間への売却が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、届出後の一定期間は譲渡制限が関係する場合があります。
スタッフ植松「私は、都市計画道路予定地の売却では、価格を考える前に法令上の制限や必要な手続きを整理することが大切だと思っています。計画決定だけなのか、事業認可が行われているのかによって、売却時の確認事項は変わります。購入希望者が安心して判断できるよう、正確な情報をそろえることが重要です。」
都市計画道路予定地の家を高く売るためのポイント
都市計画道路予定地にある不動産では、計画の存在だけで売却価格を判断するのではなく、物件の条件を整理することが重要です。
計画の進捗状況を明確にする
都市計画道路の計画決定だけなのか、事業認可が行われているのかによって、建築制限や将来の土地利用が異なります。
そのため、売却前に現在の状況を確認することが重要です。
敷地への影響を具体的に伝える
道路予定区域が敷地のどの部分にかかっているかを確認することが大切です。
特に、建物や駐車場への影響がある場合には、購入希望者の判断に関係します。
建物をそのまま利用できる価値を確認する
都市計画道路予定地でも、現在の建物を利用できる場合があります。
そのため、建て替えを前提とする購入希望者だけでなく、既存建物を利用したい方の需要も考えることが重要です。
土地としての利用可能性を確認する
建物が古い場合には、土地としての評価も重要です。
ただし、建築制限によって利用できる建物の種類や規模が異なる場合があります。
そのため、土地として売却する場合にも、法令上の条件を確認する必要があります。
将来の補償を過大評価しない
道路事業による用地買収では、補償が行われる場合があります。
しかし、補償の内容や金額、時期は個別の事情によって異なります。
そのため、将来の補償を前提に売却価格を高く設定することには注意が必要です。
道路拡張計画がある家を相続した場合の売却
都市計画道路予定地にある家を相続した場合には、通常の相続不動産と同じように、所有関係や建物の状態を確認する必要があります。
相続登記を確認する
相続した不動産を売却する場合には、登記上の所有者を確認する必要があります。
2024年4月から相続登記が義務化され、原則として相続による取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。
また、施行前の相続についても義務化の対象になるため、登記が済んでいない場合には確認が必要です。
相続人が複数いる場合
都市計画道路予定地の不動産を複数の相続人が共有している場合には、売却について意見が分かれることがあります。
例えば、一人は売却を希望していても、別の相続人は将来の用地買収を待ちたいと考える場合です。
共有不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
そのため、売却時期や価格について事前に話し合うことが重要です。
空き家として所有している場合
相続した家に誰も住んでいない場合には、固定資産税や維持管理費などが発生します。
また、建物の老朽化が進む可能性もあります。
そのため、将来の道路整備を待つ場合には、所有期間中の負担も考慮する必要があります。
道路予定地の売却と税金の関係
都市計画道路予定地にある不動産を売却した場合、通常の不動産売却と同じように、譲渡所得に対して税金がかかる可能性があります。
また、公共事業による用地取得の場合には、一定の税制上の特例が関係することがあります。
一般の購入希望者へ売却する場合
通常の不動産売買では、原則として次の計算式で譲渡所得を求めます。
譲渡所得=売却代金-取得費-譲渡費用
取得費には、土地や建物の購入代金などが含まれます。
ただし、建物については減価償却費相当額を差し引く必要があります。
マイホームの3,000万円特別控除
自分が住んでいた住宅を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、適用には居住状況や売却時期などの条件があります。
都市計画道路予定地にある住宅だからといって、自動的に適用されるわけではありません。
公共事業による用地取得の場合
公共事業のために土地や建物が取得される場合には、一定の要件を満たすことで、譲渡所得に関する特例を利用できる可能性があります。
例えば、公共事業のために資産を譲渡した場合の5,000万円特別控除などがあります。
ただし、適用には買取りの申出時期や譲渡の条件など、複数の要件があります。
また、通常の民間売買であれば、この特例を利用できるというわけではありません。
税制上の特例は個別に確認する
都市計画道路予定地の売却では、一般的な不動産売買なのか、公共事業による用地取得なのかによって、税務上の扱いが異なる場合があります。
そのため、売却方法や取引の内容に応じて、税制上の特例を確認することが重要です。
都市計画道路予定地の売却で手取り額を比較する
不動産を売却する際には、売却価格だけでなく、最終的に手元に残る金額を確認する必要があります。
例えば、大阪市内の都市計画道路予定地にある家を3,500万円で売却する場合を考えてみましょう。
| 項目 | 仮定金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 3,500万円 |
| 住宅ローン残高 | 1,000万円 |
| 仲介手数料(税込・上限額の例) | 122万1,000円 |
| その他の売却費用 | 20万円 |
| 概算手取り額 | 2,357万9,000円 |
※架空の試算です。譲渡所得税などは含んでいません。
この例では、売却価格が3,500万円でも、住宅ローン返済や諸費用を差し引くと手取り額が変わります。
また、将来の用地買収を待つ場合には、その間の固定資産税や維持管理費なども考慮する必要があります。
そのため、現在売却する場合と、将来の道路事業を待つ場合を比較する際には、売却価格だけでなく、費用や不確実性も含めて判断することが重要です。
都市計画道路予定地の不動産売却で避けたい失敗
都市計画道路予定地にある不動産では、通常の住宅と異なる確認事項があります。
そのため、計画内容を十分に調べずに売却を進めると、思わぬ問題が生じる場合があります。
計画があるだけで売れないと判断する
都市計画道路予定地に含まれていても、売却が一律に禁止されるわけではありません。
そのため、計画の存在だけで売却を諦める必要はありません。
まずは、計画の進捗状況や建築制限などを確認することが重要です。
道路予定区域の範囲を確認しない
敷地の一部だけが計画区域に含まれている場合もあります。
そのため、土地全体が道路予定地になると決めつけることは避ける必要があります。
将来の補償金を前提に価格を決める
将来の用地買収では、補償が行われる場合があります。
しかし、補償の内容や金額、時期は個別の事情によって異なります。
そのため、補償金が必ず支払われると考えて価格を設定することは適切ではありません。
建築制限を確認せずに売却する
都市計画道路予定地では、建物の新築や増改築に許可が必要になる場合があります。
そのため、購入希望者が建て替えを考えている場合には、建築制限を確認することが重要です。
解体を先に決める
古い住宅を売却する場合、解体して更地にする方法を考えることがあります。
しかし、都市計画道路予定地では、建て替え条件や事業の進捗状況などが重要です。
そのため、解体前に土地の利用可能性を確認する必要があります。
売却前に確認したい都市計画道路予定地のチェックリスト
都市計画道路予定地にある不動産を売却する際には、次の項目を整理しておくとよいでしょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪市内の区・町名 |
| 都市計画道路 | 路線名・計画幅員 |
| 計画段階 | 計画決定・事業認可 |
| 事業進捗 | 事業中かどうか |
| 道路予定区域 | 敷地にかかる範囲 |
| 建物への影響 | 建物が計画線にかかるか |
| 建築制限 | 第53条・第65条など |
| 再建築 | 建て替え条件 |
| 接道状況 | 道路幅員・接道長さ |
| 土地面積 | 登記面積・実測面積 |
| 建物の状態 | 築年数・修繕履歴 |
| 所有関係 | 単独名義・共有名義 |
| 住宅ローン | 残高・抵当権 |
| 公拡法 | 届出の要否 |
| 売却費用 | 仲介手数料・登記費用・税金など |
特に、都市計画道路の予定区域が敷地のどの部分にかかるかは重要です。
また、計画決定だけなのか、事業認可が行われているのかによって、売却時の確認事項が異なります。
道路拡張予定地の売却では購入希望者の利用目的を考える
都市計画道路予定地にある不動産では、購入希望者がどのように利用する予定なのかによって、評価が異なる場合があります。
現在の建物を利用する場合
購入希望者が現在の建物をそのまま利用する場合には、建物の状態や生活利便性などが重要になります。
ただし、将来の道路整備によって建物に影響が生じる可能性がある場合には、その内容を確認する必要があります。
建て替えを予定している場合
建て替えを予定している場合には、都市計画法に基づく建築制限が重要です。
特に、建築可能な建物の構造や階数などが、購入希望者の計画に影響する場合があります。
そのため、建て替え条件を確認することが重要です。
土地として利用する場合
土地として利用する場合には、土地の形状や面積、道路条件などが重要になります。
また、都市計画道路の予定区域が含まれる場合には、将来の土地利用に制限が生じる可能性があります。
そのため、購入後の利用目的に合った土地かどうかを確認する必要があります。
スタッフ植松「私は、都市計画道路予定地の不動産を売却する際、計画の存在だけで価値を判断しないことが大切だと思っています。購入希望者が現在の建物を利用するのか、建て替えを考えているのかによって評価は異なります。制限を正確に伝えたうえで、その土地や建物の魅力を整理することが重要です。」
都市計画道路予定地の不動産は売却前の調査が重要
大阪市内の都市計画道路予定地にある家や土地でも、売却できる可能性があります。
ただし、通常の不動産と比べて、都市計画法に基づく建築制限や事業の進捗状況など、確認すべき事項が増える場合があります。
特に、計画決定だけの段階なのか、事業認可が行われているのかによって、建築や土地利用に関する制限が異なります。
また、道路予定区域が敷地のどの部分にかかるかによって、建物や駐車場への影響も変わります。
そのため、売却価格を考える際には、現在の建物の状態や土地の立地だけでなく、将来の利用条件も確認することが重要です。
都市計画道路予定地に含まれているという理由だけで売却を諦めず、計画の内容と物件の条件を整理することが大切です。
