マンションを売却するとき、「同じマンションなら、どの部屋も広さが同じなら価格もほぼ同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし実際には、同じマンション、同じ間取り、ほぼ同じ専有面積であっても、階数・方角・眺望・日当たり・角部屋かどうかなどによって売却価格に差が出ることがあります。
特にタワーマンションや高層マンションでは、その違いが大きくなるケースがあります。
たとえば同じ70㎡の3LDKでも、5階と25階では眺望や開放感が違います。さらに同じ25階でも、南向きで大阪市内を見渡せる住戸と、前方に別のマンションが建っている住戸では、買主からの評価が同じとは限りません。
一方で、「高層階なら必ず高く売れる」「南向きなら必ず数百万円高くなる」という単純な話でもありません。
マンション価格は、立地、築年数、駅距離、専有面積、管理状態、修繕計画、室内状態など、さまざまな条件を組み合わせて決まるからです。
国土交通省のマンション標準管理規約に関する資料でも、高層階と低層階では眺望などの違いによって住戸価値に差が生じる場合があり、階数や方角、日照などによる効用の違いがあることが示されています。
つまり、マンションを売却するときには、「○階だからいくら」という見方ではなく、同じマンション内の成約事例を基準として、自分の住戸の階数・方角・眺望などがどの程度プラスまたはマイナスに評価されるのかを見ることが重要です。
この記事では、大阪市を中心にマンション売却を考えている方へ向けて、階数・方角・眺望による価格差の考え方、高層階と低層階それぞれの特徴、南向き以外の住戸の評価、角部屋の影響、査定価格を見るときの注意点などを詳しく解説します。
マンションは「何階なら高く売れる」と一律には決められない
マンション売却では、一般的に高層階の方が評価されやすい傾向があります。
高層階になるほど眺望が開けやすく、周辺建物からの視線が入りにくくなり、日当たりや開放感についても評価される可能性があるためです。
ただし、すべてのマンションで階数が高くなるほど同じ割合で価格が上昇するわけではありません。
たとえば15階建てマンションの3階と12階を比較した場合、12階から大阪市内の景色が広く見えるのであれば、階数差が価格へ反映されやすくなります。
ところが周囲にも高層建築物が多く、12階でも目の前が別のマンションという状況なら、高層階であることによるメリットは限定されます。
反対に3階でも、目の前が公園や河川などで視界が開けており、将来的にも大きな建物が建ちにくい環境なら、低層階でも十分な開放感が得られることがあります。
つまり、査定で見るべきなのは「階数」という数字だけではありません。
その階数によって、実際にどのような住環境が得られているのかを見る必要があります。
高層階が評価されやすい理由
高層階が買主から評価されやすい理由の一つが眺望です。
大阪市内のマンションでは、周囲に中高層建築物が多い地域があります。
低層階では周辺建物に視界を遮られていても、一定の高さを超えると視界が一気に開けるマンションがあります。
このような場合には、「10階から11階へ上がるから少し高い」という単純な階数差ではなく、「周辺建物を超えて眺望が開ける階」という境目が価格へ影響することがあります。
また、高層階では道路を走る車や通行人などが視界に入りにくく、外からの視線を気にせず生活しやすいこともあります。
日当たりについても、周辺建物の影響を受けにくい住戸であれば評価につながります。
ただし、高層階にも風の強さやエレベーター移動など、人によって気になるポイントがあります。
そのため「高層階である」という条件だけで、すべての買主が高い金額を支払うわけではありません。
低層階だから売却で不利とは限らない
マンション売却を考えている方から、「うちは2階だから安くなりますか?」という相談が出ることがあります。
確かに、同じ条件なら高層階より価格が低くなるケースはあります。
しかし、低層階にも独自の需要があります。
エレベーターを長時間待ちたくない人、小さな子どもがいる家庭、高い場所が苦手な人などにとっては、低層階が選択肢になることがあります。
また、専用庭が付いている1階住戸などは、一般的な中間階とは異なる価値を持つ場合があります。
戸建て感覚で庭を使いたい人にとって魅力になるからです。
さらに、目の前が公園や緑地で景色が良い場合には、「低層階だから眺望が悪い」とも限りません。
売却するときには、高層階と同じ土俵で「階数が低いから値下げする」と考えるより、その住戸だからこそ得られるメリットを整理することが大切です。
階数による価格差は何%くらい?
売主として最も気になるのは、「1階違えばいくら変わるのか」という点でしょう。
しかし、全国のマンションに共通する「1階上がるごとに○%高くなる」という公式はありません。
マンションによって階数の価値がまったく違うためです。
たとえば10階建ての一般的なマンションと50階建てのタワーマンションでは、同じ「10階」という数字でも意味が違います。
また、20階と21階で景色がほとんど変わらないマンションなら価格差は小さいかもしれません。
一方、19階までは前方の建物に視界を遮られているものの、20階から大阪市街を一望できるのであれば、その境目で評価が大きく変わる可能性があります。
したがって、売却価格を考える際には「1階につき○万円」と機械的に計算するのではなく、同じマンション内の実際の成約事例を確認することが重要です。
スタッフ植松「マンション査定では、私は『何階ですか?』だけで判断するのは危険だと考えています。重要なのは、その階から何が見えるのか、前方に何があるのか、日当たりやプライバシーがどう変わるのかです。10階と11階で景色が同じなら差は小さくても、周辺建物を超える階では評価が大きく変わる可能性があります。」
まず比較したいのは「同じマンション」の成約事例
マンションを売却するとき、最も参考にしやすいのが同じマンション内の成約事例です。
たとえば自分の住戸が15階、70㎡、南向きの3LDKだったとします。
近隣マンションの取引価格を見ることも重要ですが、同じマンションで半年以内に12階、68㎡、南向きの住戸が売れているのであれば、より有力な比較材料になります。
建物の築年数、駅距離、管理状態、共用施設などが同じだからです。
そこから、専有面積、階数、方角、室内状態、眺望などの違いを確認していきます。
同じマンションの12階が5,000万円で成約しているからといって、15階なら必ず5,300万円になるわけではありません。
しかし、周辺の別マンションだけを参考にするより、価格を考える基準として使いやすくなります。
方角で売却価格は変わる?
マンションの価格を左右するもう一つの条件が方角です。
一般的には南向きの住戸が好まれやすいといわれます。
日中の日当たりを確保しやすく、洗濯物を干す時間帯にも日差しが入りやすいことなどが理由です。
ただし、方角だけで価格を決めることはできません。
南向きでも目の前に高層マンションがあり、日差しや眺望が遮られている住戸があります。
反対に東向きでも、目の前に建物がなく、朝から明るい光が入り、開放的な景色を楽しめる住戸があります。
「南向き」という表示だけでは、実際の住環境までは分かりません。
売却査定では、方角と日当たり、眺望をセットで評価する必要があります。
南向きのマンションが評価されやすい理由
南向き住戸の代表的なメリットは、日中に日差しが入りやすいことです。
特にリビング・ダイニングが南側バルコニーに面している間取りでは、日中の明るさを重視する買主から評価されやすくなります。
ファミリー層が購入する3LDKや4LDKでは、リビングの明るさを重視する人も少なくありません。
ただし、南向きだから無条件で高評価になるわけではありません。
バルコニーの前に大きな建物がある場合や、バルコニーの奥行きが深く室内まで光が届きにくい場合など、実際の日照条件によって評価は変わります。
査定時には「南向き」という文字だけではなく、室内にどの程度光が入るのかを確認することが重要です。
東向きの住戸にも需要がある
東向きの住戸は、朝の日差しが入りやすいことが特徴です。
朝型の生活をしている人や、午前中にリビングで過ごすことが多い家庭にとってはメリットになります。
午後になると直射日光が入りにくくなるため、夏場の午後の暑さを避けたい人が東向きを好むこともあります。
特に眺望が良ければ、南向きとの価格差が小さくなる可能性があります。
大阪市内の高層マンションでは、方角よりも「どちら側に景色が開けているか」が重要になることがあります。
東向きだから一律に南向きより低く査定するのではなく、実際の景色や周辺建物との関係を確認することが大切です。
西向きは売りにくい?
西向きについては「西日が暑そう」というイメージを持つ買主がいます。
特に夏場は午後から夕方にかけて強い日差しが入りやすいため、その点を気にする人はいるでしょう。
しかし、西向きにもメリットがあります。
午後から夕方にかけて室内が明るくなりやすく、夕方に自宅で過ごすことが多い家庭には適している場合があります。
さらに、高層階で西側の眺望が開けている住戸では、夕景を楽しめることが魅力になるケースがあります。
売却広告でも、単に「西向き」と表示するだけでなく、実際の室内写真やバルコニーからの景色を見せることで印象が変わります。
北向きでも高く売れるマンションはある
一般的なファミリーマンションでは南向きを希望する人が多い一方、タワーマンションでは北向き住戸が必ずしも大きく不利になるとは限りません。
タワーマンションの高層階では、方角よりも眺望や開放感が評価されることがあるためです。
北向きでも、前方に高い建物がなく大阪市内を広く見渡せる住戸なら、その景色に価値を感じる買主がいます。
また、高層階は日射の影響を受けやすいため、強い直射日光を避けたい人が北向きを選ぶこともあります。
重要なのは「北向きだから安い」と最初から決めないことです。
同じマンション内で北向き住戸が実際にどの程度の価格で成約しているのかを確認した方が、より現実的な判断ができます。
眺望はマンション価格へどの程度影響する?
眺望は数値化が難しい一方、マンションの売却価格へ大きく影響する可能性がある要素です。
同じ階、同じ広さでも、窓の外に何が見えるかによって買主の印象は変わります。
目の前が隣のマンションの壁なのか、街並みが広がっているのかでは、内覧時に受ける印象が大きく違います。
大阪市内なら、高層ビル群、河川、公園、大阪城など、その住戸ならではの景色が見える場合があります。
ただし、「景色が良いから○万円高い」という固定の計算式があるわけではありません。
同じマンション内で眺望条件が異なる住戸の成約事例を比較し、市場がどの程度の価格差を付けているのかを見ることが重要です。
「永久眺望」だと思い込まない
現在の眺望が良いからといって、その状態が将来も必ず続くとは限りません。
前方に駐車場や古い建物がある場合、将来マンションなどへ建て替えられる可能性があります。
現在は10階から景色が抜けていても、数年後に15階建ての建物が完成すれば眺望が変わる可能性があります。
売却広告で眺望を大きな魅力として紹介する場合には、将来まで保証されているかのような表現は避ける必要があります。
買主側も周辺の用途地域や建築計画などを確認することがあります。
売主としては、「今現在の眺望がどれだけ魅力的か」と「将来的な変化の可能性」を分けて考えておくことが大切です。
角部屋は売却価格にプラスになる?
角部屋もマンション査定で評価されやすい条件の一つです。
中住戸と比べて窓を設けられる面が増えやすく、採光や通風を確保しやすいからです。
隣接する住戸が片側だけになる間取りなら、プライバシーや生活音の面で魅力を感じる買主もいます。
さらに、南東角部屋や南西角部屋など、複数方向から光を取り込める住戸は人気が高くなることがあります。
ただし、角部屋であるだけで大幅に価格が上がるわけではありません。
窓の位置や間取り、周囲の建物との距離などによって実際のメリットは変わります。
査定では「角部屋」という条件を機械的に加点するのではなく、角部屋であることでどのような居住メリットが生まれているのかを確認します。
中部屋にもメリットはある
角部屋が人気だからといって、中部屋が売れにくいわけではありません。
中部屋は両隣に住戸があるため、外気に接する壁面が少なく、住戸によっては室温が安定しやすいと感じる人もいます。
また、新築分譲時から角部屋より価格が抑えられていることが多いため、中古市場でも予算とのバランスを重視する買主に検討されやすくなります。
中古マンションを探している人全員が、「多少高くても角部屋が欲しい」と考えているわけではありません。
駅距離や広さ、価格を優先する人もいます。
売却では、自分の住戸の弱点を隠すのではなく、その価格帯でどのような買主に選ばれやすいのかを考えることが重要です。
バルコニーから何が見えるかも査定ポイントになる
眺望というと遠くの景色だけを想像しがちですが、実際の内覧ではバルコニーの目の前の状況も重要です。
隣の建物との距離が近ければ、カーテンを開けたときの圧迫感や視線を気にする買主がいます。
反対に、低層階でも目の前が広い道路や公園であれば、開放感が評価されることがあります。
そのため、同じ「5階南向き」でも評価は物件によって変わります。
階数と方角だけを不動産ポータルサイトの条件欄で比較するのではなく、現地で実際の景色を確認することが重要です。
日当たりと眺望は別々に考える
「眺望が良い=日当たりも良い」と思われがちですが、必ずしも同じではありません。
たとえば北向きの高層階なら、視界が大きく開けていて眺望は良くても、南向きほど直射日光は入りません。
反対に南向きでも、目の前に建物があれば日照時間が限られる可能性があります。
査定では、眺望、日照、採光、開放感をそれぞれ確認します。
売却広告でも「高層階」という一言だけで済ませず、「前面に高い建物がなく視界が開けている」「午前中からリビングが明るい」など、実際の特徴を伝えた方が買主に魅力が伝わりやすくなります。
同じマンションでも棟が違えば価格差が出る
大規模マンションでは、複数の棟で構成されていることがあります。
同じマンション名でも、南棟、東棟、西棟などで日当たりや眺望、駅からの距離、エントランスへのアクセスが違う場合があります。
タワーマンションでも、一つの建物の中で向きによって見える景色が大きく変わります。
そのため、「同じマンションで70㎡が5,000万円で売れた」という情報だけでは不十分です。
その住戸がどの棟の何階で、どの方角を向いていたのかまで確認します。
自分の住戸と条件が近い成約事例ほど、査定の参考価値が高くなります。
新築時の価格差が中古でもそのまま残るとは限らない
マンション購入時の価格表を持っている方なら、「新築時に高層階は低層階より500万円高かったから、中古でも500万円高いはず」と考えるかもしれません。
しかし、新築時の価格差がそのまま中古市場に残るとは限りません。
新築分譲時はデベロッパーが階数、方角、眺望などを考慮して各住戸の価格を設定します。
中古市場では、その後の周辺環境、市況、建物の築年数、競合物件、管理状態などが加わります。
さらに、前方に別の建物が建設されれば眺望条件が変わる可能性もあります。
そのため、新築時価格は参考になりますが、「購入時に○万円高かったから売却時も同額高い」と単純には考えられません。
タワーマンションは階数差が価格へ表れやすいことがある
大阪市内でもタワーマンションが多いエリアでは、階数や眺望が価格へ反映されやすいケースがあります。
タワーマンションを購入する人の中には、立地や広さだけでなく「高層階に住むこと」や「景色」を重視する層がいるからです。
また、一定階以上で仕様や間取りが異なるマンションもあります。
プレミアムフロアとして天井高や設備仕様などが異なる場合には、単純な階数差ではなく住戸仕様そのものの違いも価格へ影響します。
そのためタワーマンションを査定するときには、同じ建物だからという理由だけで低層階と高層階を直接比較するのではなく、同程度の階層・方角・専有面積の取引事例を探すことが重要です。
一般的な中高層マンションでは立地や広さの影響も大きい
タワーマンションでは階数が注目されやすい一方、10階前後の一般的なマンションでは、階数だけで大幅な価格差が生じるとは限りません。
たとえば駅徒歩3分の5階住戸と、駅徒歩12分の10階住戸なら、買主が駅距離を重視して前者を選ぶことがあります。
同じマンション内でも、70㎡の3LDKと55㎡の2LDKでは購入する層が違います。
マンション価格は複数の条件の組み合わせで決まります。
階数は重要な査定項目の一つですが、それだけを切り離して価格を判断しないことが大切です。
エレベーターの条件も高層階の評価に影響する
高層階の住戸では、エレベーター環境も生活利便性に影響します。
戸数に対してエレベーターの台数が少ないマンションでは、朝の通勤時間帯などに待ち時間が発生することがあります。
一方、大規模なタワーマンションでは低層階用と高層階用でエレベーターが分かれている場合があります。
こうした設備条件によって、高層階の生活利便性に対する評価も変わります。
単純に「30階だから高評価」ではなく、その階で実際に生活したときの利便性まで考えることが中古マンション査定では重要です。
1階住戸なら防犯やプライバシーへの印象も確認する
1階の住戸では、買主が防犯面や外からの視線を気にすることがあります。
道路や歩道から室内が見えやすい場合には、価格交渉の材料になる可能性があります。
一方、植栽やフェンスによって外部から見えにくいマンションもあります。
オートロック、防犯カメラ、セキュリティ設備などが充実していれば、1階に対する不安が軽減されることもあります。
専用庭やテラスがあるなら、それを魅力として打ち出すこともできます。
1階だから一律にマイナス何%と判断するのではなく、買主が気にする点と、その住戸ならではのメリットの両方を見ることが重要です。
最上階なら必ず高く売れる?
最上階はマンションの中でも希少性が高く、上階からの生活音がないことや眺望などを理由に評価されることがあります。
特に戸数の多いマンションで最上階住戸の売出しが少なければ、希少性を感じる買主がいるでしょう。
ただし、最上階だからどのマンションでも大幅に高く売れるとは限りません。
建物の構造、断熱性能、間取り、眺望などによって評価は変わります。
また、最上階だけ専有面積が広い場合には、価格差の原因が「最上階だから」なのか「面積が広いから」なのかを分けて考える必要があります。
査定では、条件の違いを一つずつ整理します。
階数よりも室内状態が価格へ影響することもある
同じマンションで、10階の非常にきれいな住戸と12階の傷みが大きい住戸が販売されていたら、必ず12階の方が高く売れるとは限りません。
中古マンションでは室内状態も買主の判断材料になります。
水回り設備が新しい、クロスやフローリングがきれい、丁寧に使用されているといった条件は内覧時の印象に影響します。
ただし、売却前に数百万円かけて全面リフォームすれば、その金額以上高く売れるとは限りません。
階数や眺望は売主が変更できませんが、清掃や整理整頓、照明などは比較的少ない負担で改善できます。
売却では「変えられない条件」と「改善できる条件」を分けて考えるとよいでしょう。
眺望の良い住戸ほど写真の撮り方が重要
眺望が魅力の住戸なのに、広告写真で室内しか掲載していないケースがあります。
これでは高層階を購入するメリットが買主へ十分伝わりません。
バルコニーからの景色が魅力なら、晴れた日の写真を掲載することが重要です。
リビングからどの程度景色が見えるのかも分かると、買主が生活をイメージしやすくなります。
夜景が魅力のタワーマンションなら、昼間だけでなく夕方や夜の景色が有効な場合もあります。
ただし、広告では実際より過度に良く見せる加工を避け、現況を正確に伝える必要があります。
高層階というスペックだけでなく、「この部屋から実際に見える景色」を販売材料にすることが大切です。
低層階は価格の見せ方で競争力を出せる
同じマンションで高層階と低層階が同時に販売されている場合、買主は価格差を比較します。
たとえば、
5階・70㎡ 4,780万円
15階・70㎡ 5,180万円
で販売されていたとします。
高層階との価格差が400万円あるなら、「景色より購入価格を抑えたい」という買主が5階を選ぶ可能性があります。
反対に、
5階 5,080万円
15階 5,180万円
なら、100万円の差であれば15階を選びたいと考える人が増えるかもしれません。
つまり低層階を売却するときには、高層階との競争を避けるのではなく、価格差によって魅力を作ることも重要です。
同じマンションで売出中の住戸を必ず確認する
査定時には過去の成約事例だけでなく、現在同じマンションで販売されている住戸も確認します。
買主が実際に比較する相手だからです。
自分が8階、70㎡、南向きで5,000万円を希望していても、同じマンションの12階、72㎡、南向きが5,050万円で販売されていれば、買主は当然比較します。
この場合、50万円しか違わないなら高層階を選ばれる可能性があります。
一方、12階が5,500万円なら、8階の5,000万円に割安感が出る可能性があります。
売却価格は自分の住戸だけを見て決めるものではありません。
販売開始時点の競合状況まで確認することが重要です。
スタッフ植松「マンションの売出価格を決めるときは、過去の成約価格だけでなく『今、同じマンションで何階がいくらで売られているか』を必ず確認したいところです。買主は過去の取引だけを見るのではなく、今買える住戸を横並びで比較します。階数差に対して価格差が小さすぎると、条件の良い競合住戸へ流れる可能性があります。」
方角の違いを査定するときも同じマンションを優先する
南向きと東向きの価格差を知りたい場合も、全国平均のような数字より同じマンションの取引を確認する方が実用的です。
あるマンションでは南向きの眺望が良く、東向きの前方に建物があるかもしれません。
別のマンションでは南側に別棟があり、東側が公園ということもあります。
この二つのマンションでは、「南向きと東向きの価格差」が同じになるとは考えにくいでしょう。
方角の価値は、建物配置と周辺環境によって変わります。
そのため査定では、「南向きだから5%プラス」という機械的な評価より、実際の住環境と過去の市場評価を確認することが重要です。
大阪市中心部では眺望の方向そのものが価値になることもある
大阪市北区、中央区、西区、福島区など高層マンションが多い地域では、同じ建物でも方角によって景色が大きく違うことがあります。
河川、公園、都市景観などが見える住戸には、その眺望を好む買主が現れる可能性があります。
一方、購入時には眺望が良かったものの、周辺開発によって景色が変化していることもあります。
そのため、購入時のパンフレットや新築価格表だけを基準に査定するのではなく、売却時点の現況を見る必要があります。
大阪市内のマンションは周辺環境が変化する可能性もあるため、「購入したときに高かった方角」という理由だけで現在も同じ評価になるとは限りません。
豊中市・吹田市・箕面市では高層階以外の魅力も見る
北摂エリアのマンションでも、階数や方角は査定ポイントになります。
ただし、都心のタワーマンションとは買主が重視する条件が異なる場合があります。
豊中市、吹田市、箕面市などでは、駅距離、周辺の住環境、学校へのアクセス、専有面積、間取りなどを重視するファミリー層も多くなります。
そのため、低層階だから大きく不利になるとは限りません。
たとえば駅に近い80㎡の3LDKで、南向き、目の前が公園という条件なら、階数が低くても検討される可能性があります。
地域と購入者層によって、どの条件を重視するかが変わることを理解しておきましょう。
売出価格を決めるときは「階数差を二重評価」しない
査定で注意したいのが、同じ条件を重複して評価することです。
たとえば高層階だから価格を上げ、さらに眺望が良いから価格を上げる場合、その眺望の良さがそもそも高層階によって生まれているのであれば、同じメリットを二重に評価している可能性があります。
反対に、低層階だから価格を下げ、さらに眺望が悪いから価格を下げる場合も同様です。
査定では、階数そのものの市場評価と、そこから生じる眺望・日照・プライバシーなどのメリットを整理して考える必要があります。
単純な加点・減点だけでは、実際の市場価格から離れてしまうことがあります。
査定価格に幅が出たら何を確認する?
同じマンションを3社へ査定して、
A社 4,800万円
B社 5,050万円
C社 5,500万円
という結果になることがあります。
このとき、最高額だけを見てC社を選ぶのではなく、階数・方角・眺望をどの程度評価したのかを確認しましょう。
C社が「高層階だから」という理由だけで大きく価格を上げているなら、その価格で成約した事例があるか確認します。
反対にA社が、同じマンションの低層階事例だけを参考にしているのであれば、高層階の価値を十分評価できていない可能性があります。
重要なのは査定額の高低ではなく、条件補正の根拠です。
成約事例が少ないマンションでは近隣物件も比較する
小規模マンションなどでは、同じ建物内の売買が数年に一度しかないことがあります。
その場合には、近隣の築年数や駅距離、規模、専有面積などが似たマンションの成約事例を参考にします。
ただし、別のマンションを比較するときには管理状態やブランド、共用施設なども異なります。
そのため、近隣事例の価格をそのまま自分の住戸へ当てはめることはできません。
複数の事例から相場の範囲を把握し、その中で自分の住戸の階数・方角・眺望を評価していきます。
売却価格を知りたいなら「坪単価」だけでは不十分
マンション相場では、「坪単価○万円」という表現がよく使われます。
同じマンション内の価格を比較するうえで便利ですが、坪単価だけでは階数や方角の違いが見えにくくなります。
たとえば同じマンションで坪単価250万円の取引と280万円の取引があった場合、その差が市況変化によるものなのか、高層階だからなのか、角部屋だからなのか、リフォーム済みだからなのかを確認する必要があります。
平均坪単価だけを自分の専有面積へ掛けると、住戸固有の価値を見落とす可能性があります。
リフォームより眺望を生かした販売方法が有効なこともある
高層階や眺望の良い住戸では、売却前に高額なリフォームをするより、現在の魅力をしっかり見せる方が効果的な場合があります。
たとえば室内を整理し、窓ガラスを清掃して、リビングから景色が見える状態にします。
内覧時間も、景色や日当たりが最も魅力的に見える時間帯を意識できます。
夕景や夜景が魅力なら、買主の希望によって夕方の内覧を調整する方法もあります。
売主が変更できない「階数・方角・眺望」という条件だからこそ、販売時にその価値を正しく伝えることが重要です。
低層階では「弱点を隠す」より別の魅力を見せる
低層階の売主が、高層階との差を気にしすぎることがあります。
しかし、階数を変えることはできません。
大切なのは、低層階だから値下げすることではなく、その住戸を購入する理由を作ることです。
駅から近い、専有面積が広い、室内状態が良い、管理状態が良い、価格が高層階より抑えられているなど、買主が比較する材料は複数あります。
高層階の眺望と競争するのではなく、「同じマンションにこの予算で住める」という価値を明確にする方法もあります。
売却価格は「購入価格との差」ではなく現在の市場で考える
「購入時に高層階だから500万円高かった」という情報は参考になりますが、売却価格は現在の市場で決まります。
購入から10年経っていれば、その間にマンション相場が変化している可能性があります。
周辺に新しいマンションが完成しているかもしれません。
駅周辺が再開発されて利便性が上がっていることもあります。
反対に、前方に建物が完成して眺望が変わっている可能性もあります。
そのため、購入時価格へ単純に値上がり率や値下がり率を掛けるのではなく、現在の成約事例を基準に考えます。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、中古マンション等の取引価格・成約価格情報を確認できます。こうした公的な取引情報も、現在の市場を把握する材料になります。
売却価格だけでなく「売却期間」も考える
高層階や眺望の良い住戸だからといって、相場を大きく上回る価格で販売すると、売却期間が長くなる可能性があります。
たとえば現実的な成約価格が5,000万円前後と考えられる住戸を、「高層階だから」という理由で5,800万円から販売したとします。
買主が周辺物件と比較して割高と感じれば、問い合わせ自体が少なくなる可能性があります。
一方、売却期限に余裕があり、希少性の高い住戸なら、高値から反応を見る戦略もあります。
重要なのは、最初の売出価格と想定成約価格を分けて考えることです。
高値でスタートする場合には、「何週間反応を見るのか」「問い合わせが何件以下なら価格を見直すのか」を事前に決めておくと判断しやすくなります。
階数・方角・眺望は「手取り」まで考えて評価する
マンションを高く売りたいと考えると、階数や眺望による価格差ばかりに目が向きます。
しかし、最終的には売却価格から必要な費用を差し引いた手取りを確認することが重要です。
たとえば高層階という希少性を生かして5,300万円で販売を開始し、最終的に5,100万円で成約したとします。
別の販売方法なら5,000万円で早く成約できたかもしれません。
100万円高く売れたとしても、販売期間が長くなれば、その間の管理費、修繕積立金、住宅ローン、固定資産税などの負担が続きます。
住み替え先を先に購入していれば、二重に住宅費が発生する場合もあります。
高く売ることと、最終的な手取りを増やすことは必ずしも同じではありません。
価格と売却期間のバランスを見ることが重要です。
同じマンションの「売出価格」だけで査定しない
売主自身が相場を調べるとき、不動産ポータルサイトで同じマンションを検索することがあります。
非常に参考になる方法ですが、掲載されている価格は基本的に売出価格です。
5,500万円で掲載されているからといって、5,500万円で成約するとは限りません。
その物件が数か月後に5,200万円へ値下げされる可能性もあります。
最終的に5,000万円で成約するかもしれません。
そのため、査定では現在の競合物件と過去の成約事例の両方を確認します。
現在の売出価格は「今、買主が比較している価格」、成約価格は「実際に市場で合意された価格」として役割を分けて見ると分かりやすくなります。
階数・方角・眺望を正しく評価するための査定手順
マンション売却では、最初に同じマンション内の成約事例を探します。
次に、その住戸と自分の住戸について、専有面積、階数、方角、眺望、角部屋かどうか、室内状態などを比較します。
同じマンション内の事例が少なければ、近隣の類似マンションへ比較範囲を広げます。
そのうえで現在同じマンションや近隣で販売されている競合物件を確認します。
ここまで整理すると、「自分の部屋ならどの価格帯で買主が比較するのか」が見えやすくなります。
最後に売却期限を考えます。
時間に余裕があるなら、住戸の希少性を生かして少し高めの価格から市場反応を見ることができます。
売却期限が決まっているなら、競合住戸より割高に見えない価格設定を優先することもあります。
スタッフ植松「マンション売却で大切なのは、『高層階だから高い』『北向きだから安い』とラベルだけで判断しないことです。同じマンションの成約事例を基準に、実際の眺望、日当たり、競合住戸、室内状態まで確認すると、その部屋ならではの価格が見えてきます。平均相場より、自分の住戸に近い事例を探すことを優先したいところです。」
高層階を売るときに意識したいこと
高層階の住戸では、階数だけを広告の強みにするのではなく、その高さによって得られる具体的なメリットを伝えます。
眺望が開けているなら、バルコニーやリビングからの写真を掲載します。
周囲からの視線が入りにくいなら、プライバシー性も生活イメージにつながります。
角部屋で複数方向に窓があるなら、採光や通風も確認します。
夜景が魅力なら、昼間の写真だけでは価値を十分伝えられない可能性があります。
一方で、希少性を理由に相場から大きく離れた価格を付ける場合には注意が必要です。
「高層階」という条件を買主がいくらまで評価するかは市場が決めます。
販売開始後の閲覧数、問い合わせ数、内覧数を確認しながら価格の妥当性を判断しましょう。
低層階を売るときに意識したいこと
低層階では、高層階に勝とうとして眺望を強調する必要はありません。
エレベーターへの依存が少ない、専用庭がある、価格を抑えて同じマンションに住めるなど、別の価値があります。
また、実際には低層階でも前方が開けているケースがあります。
「3階だから景色は悪いだろう」と買主に思われないよう、写真で実際の状況を見せることが効果的です。
室内が明るければ、その明るさが伝わる時間帯に撮影します。
低層階という一つの条件だけで必要以上に価格を下げるのではなく、同じマンションの高層階との価格差を見ながら競争力を作ることが重要です。
南向き以外の住戸を売るときに意識したいこと
東向き、西向き、北向きの住戸では、「南向きではない」という説明から始める必要はありません。
その住戸で実際にどのような生活ができるのかを伝えます。
東向きなら朝の明るさ、西向きなら午後の採光や夕景、北向き高層階なら安定した明るさや眺望など、物件ごとの特徴があります。
もちろん、実際には日当たりが弱い場合に「明るい住戸」と誤解させる表現は避けなければなりません。
重要なのは、方角という記号ではなく、現地で確認できる住環境を正確に伝えることです。
眺望が変わったマンションは購入時価格にこだわらない
購入当時は目の前が空き地で、非常に眺望が良かったものの、その後マンションが建ったというケースがあります。
売主としては「購入時は眺望プレミアムを含んだ価格だった」と考えたくなるでしょう。
しかし、現在の買主が評価するのは売却時点の住環境です。
新築購入時に5,000万円だったから5,000万円以上で売れるとは限りません。
反対に、購入後に駅前開発が進み、地域全体のマンション相場が上昇していれば、眺望が多少変化していても購入価格を上回る可能性があります。
過去の購入価格と現在価値を切り離して考えることが重要です。
「何階が一番有利か」より、自分の住戸がどう評価されるかを知る
マンションを売るなら、一般的には高層階、南向き、角部屋、眺望の良い住戸が評価されやすい傾向があります。
ただし、それだけで売却価格が決まるわけではありません。
低層階でも目の前が公園で開放感がある住戸があります。
東向きでも眺望が良く、朝の日当たりを好む買主がいます。
北向きでもタワーマンションの高層階で景色が良ければ、その住戸を選びたい人が現れる可能性があります。
反対に高層階・南向きでも、目の前に別の建物があれば期待したほど価格差が付かないことがあります。
そのため、売却を考えるときに確認したいのは、「一般的に何階が高いのか」ではなく、「同じマンションで自分の住戸と近い条件の部屋はいくらで売れたのか」です。
同じマンションの成約事例があれば、まずそこを基準にします。
その住戸より自分の部屋が上層階なのか低層階なのか、方角はどう違うのか、眺望はどちらが良いのか、角部屋なのか中住戸なのかを比較します。
さらに現在販売されている競合住戸を確認します。
過去の成約事例が5,000万円だったとしても、現在同じマンションで条件の良い住戸が4,900万円で販売されていれば、5,300万円で売るのは難しくなる可能性があります。
逆に、同じマンションで売出物件がなく、自分の住戸と似た条件の部屋を待っている買主がいれば、希少性を生かせる可能性があります。
マンション売却では、階数・方角・眺望を単独で点数化するのではなく、立地、専有面積、築年数、管理状態、室内状態、競合状況と組み合わせて評価する必要があります。
特に大阪市内のタワーマンションや大規模マンションでは、同じ建物の中でも価格差が大きくなることがあります。
だからこそ「このマンションの平均坪単価は○万円だから」という計算だけで売出価格を決めるのではなく、住戸単位で比較することが重要です。
また、売主としては、自分の住戸のメリットを過小評価しないことも大切です。
低層階だから、北向きだからという理由だけで最初から大幅に価格を下げる必要はありません。
市場にどのような競合があり、どのような買主が検討するのかを確認してから価格を決めます。
同時に、高層階や南向きという条件を過大評価しないことも重要です。
買主は同じマンションだけではなく、周辺のマンションも比較します。
同じ予算で、より広い部屋や築浅マンションを購入できるなら、そちらへ流れる可能性があります。
売却価格は、売主が考える住戸の価値と、買主が比較する市場価格が交わるところで決まります。
マンションの階数・方角・眺望は、その価格を左右する重要な材料です。
しかし、「15階だから5階より○%高い」「南向きだから北向きより○万円高い」と全国共通の数字へ当てはめるより、同じマンションの実際の取引から判断する方が現実的です。
自分の住戸に最も近い成約事例を探し、階数、方角、眺望、角部屋かどうか、室内状態の違いを整理する。
そのうえで現在の競合物件と比較し、売出価格と想定成約価格を決める。
この手順を踏むことで、「高層階だからもっと高く売れるはず」「低層階だから安くしなければならない」といった思い込みを避けながら、その住戸の特徴を生かした売却価格を考えやすくなります。
