親が亡くなり、大阪市内にある実家や土地を兄弟で相続したものの、その後の処分方法が決まらない。
「自分は売りたいけれど、兄は残したいと言っている」
「姉が実家に住んでいるので、売却の話を進められない」
「兄弟の一人と連絡が取りにくく、話し合い自体が進まない」
「固定資産税や建物の維持費だけを払い続けている」
相続した不動産では、このような共有名義の問題が起こることがあります。
兄弟3人で相続し、それぞれ3分の1ずつ所有している土地・建物なら、誰か一人が「売却したい」と考えても、その人だけの判断で土地・建物全体を第三者へ売却することはできません。
ここで知っておきたいのが、「不動産全体の売却」と「自分の共有持分の売却」は別の話だということです。
不動産全体を売却するには共有者全員の意思をそろえる必要がありますが、自分が所有している共有持分については、その持分を処分するという選択肢があります。
これが「持分売却」です。
ただし、「兄弟が反対しているなら、自分の持分だけ売れば簡単に解決できる」と考えるのも危険です。
共有持分だけを購入する一般の買主は限られやすく、不動産全体を通常の方法で売却する場合と比較して価格面で不利になる可能性があります。
さらに、共有者の一人が実際に建物へ居住しているケース、住宅ローンや抵当権が残っているケース、相続登記が終わっていないケース、共有者間で費用負担を巡る争いがあるケースなどでは、確認すべき事項が増えます。
そのため持分売却は、共有トラブルを解消するための有力な選択肢の一つではありますが、最初からそれだけに絞るのではなく、「全体売却」「共有者による買取り」「持分売却」「共有物分割」などを比較して考えることが重要です。
この記事では、大阪市内をはじめ、豊中市・吹田市・箕面市などで兄弟と土地・建物を共有している方に向けて、共有名義の不動産が売れない理由、自分の持分だけを売却する方法、価格が下がりやすい理由、兄弟へ持分を売る方法、第三者への持分売却で注意したいこと、税金や相続登記まで詳しく解説します。
兄弟で相続した不動産が「共有名義」になるとは?
父親が大阪市内に土地と戸建てを所有しており、その父親が亡くなったとします。
相続人が長男・次男・長女の3人で、遺産分割などによってそれぞれ3分の1ずつ取得した場合、土地と建物を3人で共有している状態になります。
ここで誤解されやすいのが、「土地を3等分して、それぞれ自分の場所を所有している」というイメージです。
共有持分3分の1だからといって、土地の右側3分の1が長男、中央3分の1が次男、左側3分の1が長女という意味ではありません。
一つの不動産について、それぞれが持分割合に応じた権利を持っている状態です。
そのため、共有状態のまま土地・建物全体を売却する場合には、一人だけで売買を決めることはできません。
ここが単独名義の不動産との大きな違いです。
単独所有なら所有者本人が「売る」と判断すれば売却手続きを進められます。
しかし共有不動産では、「自分は売りたい」「兄は残したい」「妹はどちらでもいい」と意見が分かれるだけで、全体売却が止まってしまうことがあります。
なぜ兄弟の共有不動産はトラブルになりやすい?
兄弟で不動産を共有した直後は、特に問題を感じないことがあります。
ところが数年経つと、それぞれの生活状況が変わります。
大阪市内の実家を兄が使用している一方、弟は東京で生活しているかもしれません。
兄にとって実家は「住む場所」ですが、弟にとっては「使っていない相続財産」です。
当然、考え方が違ってきます。
弟は「売却して現金化したい」と考える一方、兄は「このまま住み続けたい」と考えるでしょう。
さらに固定資産税、火災保険、建物修繕、草木の管理、空き家管理などの費用が発生すると、「誰がどれだけ負担するのか」という問題も出てきます。
最初は良好だった兄弟関係でも、お金と不動産が絡むと話し合いが難しくなるケースがあります。
特に不動産は現金のように簡単に人数分へ分けられません。
これが共有不動産の難しさです。
不動産全体を売るなら共有者全員の意思確認が重要
兄弟3人で共有している大阪市の土地・建物を、一つの不動産として第三者へ売却する場合を考えてみましょう。
長男と次男が売却に賛成していても、長女が反対しているなら、「3人のうち2人が賛成だから多数決で売却する」という単純な進め方はできません。
不動産全体の売却は、共有者全員の権利に影響するからです。
したがって、通常の仲介で土地・建物全体を売却するのであれば、まず共有者全員で方向性をそろえる必要があります。
ここで重要なのは、最初から「売るか、売らないか」だけを争わないことです。
現在の査定価格を確認してから話し合う方法があります。
たとえば兄は「親が5,000万円で買った家だから、今でも5,000万円以上の価値がある」と思っている一方、弟は「築40年だから2,000万円程度ではないか」と考えているかもしれません。
この状態では感情論になりやすくなります。
実際の査定価格や売却後の手取りを確認すれば、「売却した場合に一人あたりどの程度になるのか」という具体的な話ができます。
スタッフ植松「共有不動産で話し合いが進まないときほど、私は最初に『売る・売らない』を決めようとしない方がよいと考えています。まず現在価値、売却費用、各共有者の持分、売却後の手取りを数字にしてみる。感情だけで話していた問題を数字に置き換えることで、兄弟間の選択肢を整理しやすくなるからです。」
自分の「共有持分」と不動産全体は別に考える
共有名義の不動産を理解するときに最も重要なのが、土地・建物全体と自分の共有持分を分けて考えることです。
兄弟3人が各3分の1を所有している場合、自分が持っているのは「土地の特定部分」ではなく、その不動産に対する3分の1の共有持分です。
不動産全体を第三者へ売却する場合には共有者全員の意思をそろえる必要がありますが、自分の共有持分については、自分の財産として処分を検討できます。
つまり、兄弟全員が全体売却へ同意してくれない場合でも、「自分だけ共有関係から抜けたい」という目的で持分売却を検討できるのです。
これが共有不動産トラブルで持分売却が注目される理由です。
ただし、自分の持分だけを売却すると、買主は兄弟など他の共有者と不動産を共有する立場になります。
ここが一般的な不動産売買とは大きく異なります。
「持分売却」とは何を売るのか
たとえば大阪市内に市場価値6,000万円程度の土地・建物があり、兄弟3人で3分の1ずつ共有しているとします。
この場合、自分の持分は3分の1です。
しかし、
6,000万円÷3=2,000万円
だから、「3分の1持分なら必ず2,000万円で売れる」とは限りません。
共有持分だけを購入しても、買主が土地・建物全体を自由に使用したり、自由に建て替えたり、単独で全体を売却したりできるわけではないからです。
買主は購入後も他の共有者との関係を考える必要があります。
そのため一般の個人が「大阪市の土地の3分の1だけ買いたい」と考えるケースは多くありません。
共有持分の市場性は、不動産全体とは異なります。
この違いを理解しないまま「持分割合を掛ければ価格が出る」と考えると、査定を受けたときに想像以上の価格差を感じることがあります。
持分価格は「不動産全体の価格×持分割合」とは限らない
仮に土地・建物全体を6,000万円で売却できるとして、自分の持分が2分の1なら、全体売却が成立した場合の自分の取り分は単純計算で3,000万円が基準になります。
しかし、自分の2分の1持分だけを第三者へ売却する場合、同じ3,000万円で買ってくれるとは限りません。
買主から見ると、3,000万円を支払っても不動産全体を単独所有できないからです。
さらに他の共有者が居住している場合には、利用関係も確認しなければなりません。
共有者同士で紛争が起きているなら、購入後に話し合いや法的手続きが必要になる可能性もあります。
そのリスクや手間が価格へ反映されることがあります。
したがって持分査定では、不動産全体の価値を調べたうえで、持分割合、利用状況、他の共有者の人数、占有状態、権利関係などを確認する必要があります。
まず検討したいのは「兄弟全員で不動産全体を売る」方法
共有不動産を処分したい場合、経済的には不動産全体を通常の市場で売却できる方が有利になりやすいと考えられます。
一般の買主は土地・建物を100%取得できるため、購入後の利用方法を考えやすいからです。
たとえば大阪市内の土地を住宅用地として探している人なら、共有持分3分の1だけではなく、土地全体を購入したいでしょう。
戸建てを探している人も同様です。
そのため、兄弟間の関係が完全に壊れていないのであれば、まず全体売却について話し合う価値があります。
このとき、「売った方が得だから売ろう」と説得するだけではなく、複数の選択肢を数字で比較します。
全体売却した場合の想定価格。
仲介手数料などを差し引いた手取り。
それぞれの持分に応じた分配額。
売らずに保有した場合の年間維持費。
これらを並べることで判断しやすくなります。
兄弟の一人に自分の持分を買ってもらう方法
全体売却に反対している兄弟が、その不動産を残したいと考えているのであれば、その兄弟に自分の持分を買い取ってもらう方法があります。
たとえば兄と弟が2分の1ずつ所有しており、兄が実家へ住み続けたい一方、弟は共有関係を解消したいとします。
兄に資金力があれば、弟の2分の1持分を兄が買い取り、兄の単独所有にすることができます。
この方法なら第三者を共有関係へ入れずに済みます。
兄にとっては住み続けられ、弟にとっては不動産を現金化して共有関係から抜けられるため、双方の希望が一致する可能性があります。
ただし、最大の問題は価格です。
兄は「身内だから安くしてほしい」と考えるかもしれません。
弟は「不動産全体の半分の価値を受け取りたい」と考えるでしょう。
ここで感情的な交渉になると新しいトラブルにつながります。
不動産全体の査定を取り、そのうえで持分価格を話し合う方が整理しやすくなります。
他の共有者へ持分を売る場合も価格根拠を残す
兄弟間の売買だからといって、口約束だけで進めるのは避けたいところです。
売買価格、支払時期、登記手続き、費用負担などを明確にします。
また、親族間の取引では、著しく低い価格など税務上の論点が生じる可能性もあるため、価格設定に不安がある場合には税理士などの専門家へ確認することも重要です。
「兄弟だから簡単」と考えるのではなく、むしろ将来のトラブルを避けるために第三者間売買と同様に書面と価格根拠を残す意識が必要です。
兄弟が買い取れないなら第三者への持分売却を検討する
他の共有者に買い取る意思がない、または資金的に買い取れない場合には、第三者へ自分の共有持分を売却する方法が選択肢になります。
ただし、通常の住宅や土地を売るときと買主層が異なります。
一般の個人が共有持分だけを購入して自宅を建てることは難しいため、持分の購入を検討するのは共有持分を扱う事業者などが中心になるケースがあります。
そのため、通常の仲介市場で不動産全体を売却する場合と比較して、価格条件が厳しくなる可能性があります。
一方、「兄弟と何年話し合っても解決しない」「毎年固定資産税だけ負担している」「今後も共有関係を続けたくない」という人にとっては、価格だけでは測れないメリットがあります。
共有関係から離れられること自体に価値があるからです。
持分売却のメリットは「共有関係から離れられること」
持分売却の大きなメリットは、他の共有者との合意がまとまらない状況でも、自分の持分の処分を検討できることです。
共有不動産を所有している限り、固定資産税、修繕、管理、将来の処分などについて他の共有者との関係が続きます。
さらに共有者の一人が亡くなれば、その人の持分が次の相続人へ引き継がれ、共有者が増えることがあります。
兄弟3人の共有だったものが、次世代では甥や姪を含めて5人、6人になることも考えられます。
人数が増えるほど意思統一が難しくなる可能性があります。
そのため、「価格を最大化すること」だけでなく、「今の世代で共有関係を整理すること」を優先する考え方もあります。
持分売却のデメリットは価格だけではない
持分売却で最も分かりやすいデメリットは、不動産全体を売却した場合の持分相当額より低い価格になる可能性があることです。
しかし、注意点はそれだけではありません。
第三者へ持分を売却すると、その第三者が新しい共有者になります。
つまり、これまで兄弟だけだった共有関係へ外部の人や事業者が入ることになります。
他の兄弟からすると、「知らないうちに共有者が変わった」と感じ、関係が悪化する可能性があります。
法的に可能かどうかだけではなく、その後の人間関係まで考えて判断した方がよいでしょう。
特に実家へ兄弟の一人が住んでいるケースでは慎重な検討が必要です。
スタッフ植松「持分売却は、共有トラブルを終わらせる有力な手段ですが、『売れるならすぐ売る』と決める前に全体売却と比較したいところです。全体売却なら自分の取り分がいくらになるのか、兄弟買取ならいくらなのか、第三者への持分売却ならいくらなのか。3つの手取りを並べて初めて、本当に自分に合った出口が見えてきます。」
「持分専門の買取」と通常の不動産売却は違う
共有持分を専門に購入する事業者もあります。
通常の不動産買取と似て見えますが、購入後の目的が異なる場合があります。
共有持分を購入した事業者は、他の共有者との話し合いによって持分をまとめたり、共有関係を整理したりすることを前提に価格を算出することがあります。
そのため、一般の市場価格から持分割合を単純に掛けた金額とは異なる査定になりやすいのです。
持分買取を利用する場合には、「なぜこの価格なのか」「諸費用を差し引いた手取りはいくらなのか」「契約後に追加費用が発生しないか」などを確認する必要があります。
価格だけを比較するのではなく、契約条件まで確認しましょう。
共有持分の査定で確認されるポイント
共有持分を査定するときは、まず不動産全体の価値を確認します。
大阪市内の土地なら、所在地、面積、用途地域、接道、土地形状、建ぺい率・容積率などを調べます。
戸建てなら建物の築年数、構造、面積、状態なども確認します。
マンションなら専有面積、階数、方角、管理状態などが査定材料になります。
そのうえで共有持分の割合を確認します。
さらに重要なのが、誰が使用しているかという点です。
空き家なのか。
共有者の一人が住んでいるのか。
第三者へ賃貸しているのか。
家賃収入があるなら誰が受け取っているのか。
固定資産税や修繕費を誰が負担しているのか。
こうした事情によって、共有持分を取得する側の負担やリスクが変わるため、査定にも影響する可能性があります。
大阪市内の土地は持分だけで評価しない
大阪市内の土地であれば、土地そのものに高い需要がある地域もあります。
しかし、立地が良いから共有持分も必ず高く売れるとは限りません。
たとえば土地全体が5,000万円で、2分の1持分を所有しているとしても、持分だけを購入する人は土地全体を自由に建て替えられるわけではありません。
そのため、「大阪市だから土地需要が高い」という評価と、「共有持分として市場性があるか」という評価を分ける必要があります。
逆に、他の共有者も売却を検討しており、最終的に全員の持分をまとめられる可能性が高いケースなら、持分の評価が変わることも考えられます。
共有持分査定では、不動産そのものの価値だけでなく、共有関係の状況まで含めて見ることが重要です。
豊中市・吹田市・箕面市の相続不動産でも考え方は同じ
北摂の豊中市・吹田市・箕面市でも、親の戸建てや土地を兄弟で相続するケースがあります。
住宅地では、親が長期間所有していた土地の価値が大きくなっている場合があります。
しかし兄弟の一人が実家へ住み続けていると、「土地として売れば価値があるのに売れない」という状態になることがあります。
この場合も、まず全体価格を査定します。
そのうえで、居住している兄弟が他の共有者の持分を買い取れるかを検討します。
資金的に難しい場合には、全体売却や持分売却など別の方法を比較します。
立地が良いからこそ、安易に持分だけを処分する前に、不動産全体を売却した場合の手取りを把握しておきたいところです。
相続登記が終わっているか確認する
相続した不動産を売却するなら、登記状況の確認は欠かせません。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。
法務省によると、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが基本です。また、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象となり、一定の経過措置があります。
兄弟で共有していると思っていても、登記簿を見るとまだ亡くなった父親名義のままというケースがあります。
特に何十年も前に相続した土地では、登記が整理されていないことがあります。
持分売却を検討する前に、まず現在の登記名義と持分割合を確認しましょう。
遺産分割が終わっていない場合は話が違う
「兄弟で相続した」と思っていても、遺産分割協議が終わっていないケースがあります。
この場合、すでに各兄弟の持分が登記されている共有不動産を売るケースとは手続きの整理が異なります。
遺言書があるのか。
遺産分割協議は成立しているのか。
法定相続人は誰なのか。
相続登記はどうなっているのか。
こうした点を最初に確認します。
相続関係が整理されていないまま「自分の3分の1を売りたい」と進めるのではなく、司法書士や弁護士などの専門家と登記・相続関係を確認した方が安全です。
兄弟の一人が実家に住んでいる場合は慎重に考える
共有不動産の中でも難しいのが、共有者の一人が建物へ居住しているケースです。
たとえば兄と弟が2分の1ずつ相続し、兄だけが実家へ住んでいるとします。
弟から見ると、自分も2分の1を所有しているのに使用できず、固定資産税などの負担だけ発生していると感じるかもしれません。
一方、兄からすると「親とずっと暮らしてきた自宅だから、このまま住みたい」という事情があります。
このようなケースでは、法律論だけで一気に解決しようとすると兄弟関係が悪化しやすくなります。
まず兄が弟の持分を買い取れるか。
全体を売却して兄が別の住宅へ移ることが可能か。
一定期間居住した後に売却する方法はないか。
複数の選択肢を比較することが重要です。
共有者と連絡が取れない場合
兄弟の一人が海外へ移住している、長年連絡を取っていないなど、共有者と連絡がつきにくいケースもあります。
不動産全体を売却するには、共有者全員との意思確認や契約手続きが必要になるため、一人と連絡が取れないだけでも売却が難しくなります。
このような場合、自分の共有持分をどうするかという問題とは別に、所在等不明共有者に関する制度などが利用できる可能性があります。
ただし、利用には要件や裁判所の手続きが関係するため、「連絡が取れないから相手の持分を無視して売れる」という話ではありません。
具体的な状況によって対応が異なるため、弁護士や司法書士などへ確認した方がよいでしょう。
共有物分割という解決方法もある
兄弟間で話し合っても共有状態を解消できない場合には、共有物分割という考え方があります。
共有物分割では、共有状態そのものを解消することを目指します。
不動産の条件によっては土地を現物で分けられる場合もありますが、建物がある土地や面積の小さい土地では物理的に分割することが現実的でないケースがあります。
一人が不動産を取得し、他の共有者へ金銭を支払う方法が適する場合もあります。
売却して代金を分配する方向になるケースもあります。
話し合いで解決できなければ裁判手続きが関係する可能性もあるため、ここまで進んだ場合は弁護士への相談を検討する領域です。
持分売却だけが共有解消の唯一の方法ではありません。
土地なら分筆すれば解決できる?
土地を兄弟で共有している場合、「土地を半分に分ければいい」と考えることがあります。
確かに、土地の面積や形状、接道条件などによっては、分筆してそれぞれ単独所有にする方法を検討できるケースがあります。
ただし、単純に面積を半分にすればよいわけではありません。
分筆後の土地が道路へ適切に接しているか、建物を建築しやすい形状か、面積が小さくなりすぎないかなどを確認する必要があります。
大阪市内の狭小地では、分筆によって一つひとつの土地が小さくなり、かえって市場性が低下する可能性があります。
たとえば60坪を30坪ずつに分けるケースと、24坪を12坪ずつに分けるケースでは意味が違います。
分筆費用だけでなく、分筆後の合計価値がどう変わるかまで査定してから判断したいところです。
共有不動産に住宅ローンや抵当権がある場合
相続した不動産でも、抵当権などの登記が残っている場合があります。
住宅ローンが完済されていても抵当権抹消登記が済んでいないケースもあります。
また、共有者の事情によって持分へ担保権などが設定されている可能性もあります。
持分売却を考えるときには、登記事項証明書を取得して権利関係を確認することが重要です。
単に「自分の名義が3分の1ある」という部分だけで判断せず、所有権以外にどのような登記があるのかを確認します。
持分売却にも譲渡所得の税金が関係する
共有持分であっても、不動産を売却して利益が出れば譲渡所得の税金を考える必要があります。
土地・建物の譲渡所得は、基本的に売却代金から取得費と譲渡費用などを差し引いて計算します。
相続不動産の場合に特に注意したいのが取得費です。
「相続したときの評価額が取得費になる」と思われることがありますが、原則として、相続によって取得した土地・建物の取得費は被相続人が取得したときの購入代金などを引き継いで計算します。
取得時期についても、被相続人の取得時期を引き継ぐのが基本です。
親がいくらで購入したのか分からない場合
相続した実家では、「父が40年前に買ったので契約書が見つからない」ということがあります。
取得費が分からない場合、税務上は売却価額の5%相当額を概算取得費として使える制度があります。
たとえば持分を1,000万円で売却し、その取得費を確認できない場合、一定の前提では50万円を概算取得費として扱うことになります。
取得費が小さくなると譲渡所得が大きくなる可能性があります。
そのため、持分売却を決める前に、実家に残っている古い売買契約書、領収書などを探してみる価値があります。
親が住宅ローンを利用していた場合には、当時の資料が残っていないかも確認します。
相続税を払っているなら取得費加算の特例も確認する
相続税を支払って取得した不動産を一定期間内に売却する場合、相続税額のうち一定額を譲渡資産の取得費へ加算できる特例があります。
国税庁によると、相続または遺贈によって財産を取得していること、その財産を取得した人に相続税が課税されていること、一定の期限までに譲渡していることなどが要件です。
相続税を支払った人が大阪の共有不動産を売却するのであれば、持分売却でも税金を計算する前に適用可能性を確認しておきたい制度です。
適用期限があるため、「共有問題が解決するまで何年でも待てばよい」と考えると、税務上の選択肢が変わる可能性があります。
売却価格ではなく「最終的な手取り」で比較する
共有不動産の処分方法を比較するときに、査定価格だけを見るのはおすすめできません。
たとえば自分の選択肢が次の3つだったとします。
兄弟全員で不動産全体を売却する。
兄に自分の持分を買い取ってもらう。
持分を第三者へ売却する。
それぞれ売却価格だけでなく、仲介手数料、登記関係費用、測量費など必要になる費用を確認します。
さらに譲渡所得が発生するなら税金も考えます。
土地・建物の譲渡所得は、売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算します。仲介手数料や、一定の場合の売却のための建物取壊し費用などは譲渡費用に該当することがあります。
大切なのは、「査定2,000万円」と「査定1,500万円」だけを比較しないことです。
最終的に自分の手元へいくら残り、どの程度の期間で共有関係から離れられるのかまで比較します。
早く売りたいからといって最初から持分買取だけに絞らない
兄弟との関係が悪くなると、「もう話したくないから、とにかく持分だけ売りたい」と考えることがあります。
その気持ちは理解できますが、経済的な損失が大きくなる可能性があるなら、一度だけでも他の方法を比較しておきたいところです。
たとえば全体売却なら自分の取り分が2,500万円になる可能性があり、第三者への持分売却では1,500万円という査定だったとします。
差額は1,000万円です。
この差を理解したうえで、「それでも早く共有関係から離れたい」と判断するなら、それは一つの選択です。
しかし、全体売却した場合の価格を知らないまま1,500万円で持分を売ってしまうと、後から判断を後悔する可能性があります。
先に不動産全体の査定を取る理由はここにあります。
持分を売る前に兄弟へ話した方がいい?
法律上の問題と家族関係の問題は分けて考える必要があります。
自分の共有持分を第三者へ売却することを検討できるとしても、突然知らない第三者が共有者になると、他の兄弟が強い不満を持つ可能性があります。
特に兄弟の一人がその不動産に住んでいる場合は影響が大きくなります。
そのため、話し合える関係が残っているなら、
「自分は共有関係を解消したい」
「全体売却が難しいなら持分売却も考えている」
「もし家を残したいなら自分の持分を買い取ってほしい」
という順番で意思を伝える方法があります。
これによって、これまで売却に反対していた兄弟が持分買取を検討することもあります。
「高く売りたい」と「早く共有を解消したい」を分ける
共有不動産の売却では、目的を明確にすることが非常に重要です。
とにかく高く売りたいのか。
半年以内に現金化したいのか。
兄弟との共有関係から早く離れたいのか。
実家をできれば家族内に残したいのか。
目的によって最適な方法は変わります。
価格を最優先するなら、共有者全員の合意を得て不動産全体を売却するための話し合いに時間を使う価値があります。
早期解決を優先するなら、兄弟への持分売却や第三者への持分売却が候補になります。
実家を家族内に残したいなら、居住している兄弟への持分集約を検討します。
「どの方法が一番良いか」は、売主が何を優先するかによって変わります。
共有者が増える前に整理するという考え方
共有不動産を放置するリスクの一つが、次の相続です。
兄弟3人が共有したまま20年経過し、そのうち一人が亡くれたとします。
その持分を配偶者や子どもが相続すれば、共有者が増える可能性があります。
さらに別の共有者にも相続が発生すると、権利関係はより複雑になります。
最初は兄弟同士なので連絡が取れていても、次の世代では従兄弟同士になることがあります。
住んでいる場所も大阪、東京、海外などに分かれるかもしれません。
共有者が増えれば、不動産全体を売却するときの調整も難しくなる可能性があります。
今すぐ売却しないとしても、「この共有状態を次の世代へそのまま残すのか」は一度考えておきたい問題です。
空き家のまま共有している場合は維持費も計算する
兄弟の誰も住んでいない実家を共有している場合、売らずに保有するだけでも費用が発生します。
固定資産税や都市計画税のほか、火災保険、庭木の手入れ、建物修繕、清掃などが必要になることがあります。
遠方に住んでいれば、管理のために大阪まで移動する費用もかかります。
たとえば年間30万円の維持費がかかる不動産を5年間保有すれば、単純計算で150万円です。
その間に建物がさらに老朽化すれば、売却時に解体費用などが必要になる可能性もあります。
「今売ると安いから放置する」という判断をするときには、将来値上がりする可能性だけでなく、保有中のコストも計算する必要があります。
古家付き土地なら解体を急がない
共有している実家が古い場合、「更地にした方が売りやすいのでは」と考えることがあります。
しかし共有不動産では、売却方針が決まる前に解体を進めるのは慎重に考えたいところです。
解体には費用がかかります。
共有者間で費用負担をどうするのかという問題も生じます。
さらに、古家付き土地として売った方がよいのか、更地にした方が高く売れるのかは物件によって異なります。
大阪市内の土地なら、狭小地、長屋、接道条件などによって解体後の利用方法も変わります。
まず現況のまま査定し、更地にした場合の想定価格と解体費を比較してから判断した方がよいでしょう。
共有持分の売却では「誰が買うのか」を確認する
持分を第三者へ売却するときは、金額だけでなく買主も確認します。
個人なのか。
不動産会社なのか。
共有持分を専門的に扱う事業者なのか。
購入後にどのような方針を予定しているのか。
売主が持分を売却すれば共有関係から離れますが、残った兄弟にとっては新しい共有者との関係が始まります。
法律上売却できるかどうかだけでなく、売却後にどのような状況になる可能性があるのかを理解して契約することが大切です。
持分査定は複数の方法を比較する
共有持分を売却する場合も、一つの査定だけで決める必要はありません。
ただし、一般的な不動産査定と持分買取査定では数字の意味が違うため、同じ表に並べるときは注意が必要です。
まず不動産全体を通常売却した場合の想定価格を確認します。
次に、自分の持分割合から全体売却時の取り分の目安を計算します。
そのうえで兄弟への売却価格、第三者への持分買取価格を比較します。
たとえば、
不動産全体の想定成約価格 6,000万円
自分の持分 2分の1
全体売却時の持分相当額 3,000万円
兄弟から提示された買取価格 2,700万円
第三者の持分買取査定 2,000万円
という状態なら、それぞれのメリットとデメリットが見えやすくなります。
もちろん実際には売却費用や税金を考える必要があります。
しかし数字を並べるだけでも、選択肢の違いを整理できます。
大阪の共有不動産で最初に確認したい7項目
兄弟で共有している土地・建物をどうするか迷ったら、最初に登記事項証明書で現在の名義と持分割合を確認します。
次に相続登記が完了しているかを確認します。
そのうえで、誰が不動産を使用しているのか、住宅ローンや抵当権などが残っていないか、固定資産税や修繕費を誰が負担しているかを整理します。
さらに不動産全体の現在価値を査定します。
最後に、他の共有者が「売りたいのか」「残したいのか」「持分を買い取りたいのか」を確認します。
この7項目が整理できれば、全体売却、共有者への持分売却、第三者への持分売却、共有物分割など、どの方法を検討すべきかが見えやすくなります。
スタッフ植松「共有不動産で一番避けたいのは、『面倒だから何もしない』まま次の相続を迎えることです。兄弟3人なら話し合えたものが、甥や姪まで加わると調整相手が一気に増えることがあります。今すぐ売らなくても構いません。ただ、誰が何割持っていて、今後どうする予定なのかだけは、今の世代で整理しておく価値があります。」
持分売却を急がない方がよいケース
他の共有者との話し合いによって全体売却できる可能性が高い場合には、すぐ第三者へ持分を売る必要はありません。
特に大阪市内や北摂など、土地需要が見込める場所では、不動産全体として売却した方が買主層を広げやすいケースがあります。
また、居住している兄弟が持分買取の資金を準備できる可能性があるなら、一定期間待つという判断もあります。
相続したばかりで税務上の特例を検討する必要がある場合にも、税理士などへ確認してから判断した方がよいでしょう。
「持分を売れる」ということと、「今すぐ持分を売るべき」ということは別です。
反対に持分売却を検討しやすいケース
何年話し合っても全体売却に合意できない場合。
他の共有者に持分を買い取る意思も資金もない場合。
自分だけが固定資産税や管理費を負担し続けている場合。
今後も不動産を利用する予定がない場合。
次の世代へ共有関係を残したくない場合。
こうした状況では、持分売却を現実的な選択肢として比較する意味があります。
ただし、売却価格だけで判断せず、全体売却との差額を確認してから決めることが重要です。
共有不動産の売却は「誰が正しいか」ではなく出口を探す
共有名義のトラブルでは、兄弟それぞれに事情があります。
実家へ住み続けたい兄が間違っているわけではありません。
現金化したい弟が間違っているわけでもありません。
思い出のある家を残したい人もいれば、固定資産税や管理負担から離れたい人もいます。
問題は、共有状態のままでは全員の希望を同時に満たせないことがある点です。
だからこそ「誰の意見を通すか」ではなく、「それぞれの希望をどこまで満たせる出口があるか」を考えます。
兄が住み続けたいなら、兄が他の持分を買い取る。
全員が現金化したいなら、不動産全体を売却する。
どうしても合意できず、自分だけ共有関係から離れたいなら持分売却を検討する。
話し合いで共有状態そのものを解消できないなら、専門家へ相談して共有物分割を検討する。
このように段階を踏んで考えると、いきなり兄弟同士で対立する必要がありません。
大阪の共有不動産は「全体価格」と「持分価格」を両方確認してから判断する
兄弟で相続した大阪の土地・建物が売れない場合、「兄弟が反対しているから何もできない」と考えて、そのまま放置してしまうことがあります。
しかし、共有不動産には複数の出口があります。
最も分かりやすいのは、共有者全員が合意して不動産全体を売却し、売却代金を持分などに応じて分ける方法です。
一般の買主へ通常の不動産として販売できるため、まず検討したい方法です。
兄弟の一人が不動産を残したいのであれば、その人が他の兄弟の持分を買い取る方法があります。
これなら実家を家族内に残しながら、共有状態を解消できます。
それでも解決できない場合には、自分の共有持分を第三者へ売却するという選択肢があります。
持分売却なら、自分だけ共有関係から離れることを検討できます。
ただし、ここで最も重要なのは、「持分が2分の1だから、不動産価格の半分で売れる」と思い込まないことです。
共有持分だけを購入する買主は、不動産全体を自由に使えるわけではありません。
他の共有者との関係を引き継ぐことになるため、その制約やリスクが価格へ反映される可能性があります。
だからこそ、持分売却を検討するなら、先に不動産全体の価値を査定しておく必要があります。
たとえば大阪市内の土地・建物全体が6,000万円程度で売却できる可能性があり、自分が2分の1を所有しているとします。
全体売却なら、自分の持分相当額は単純計算で3,000万円が基準になります。
一方、第三者への持分売却査定が2,000万円だったとします。
ここには1,000万円の差があります。
その差を理解したうえで、「それでも共有関係を早く解消する方を優先する」と判断するのか、「1,000万円の差があるなら、もう一度兄弟と全体売却を話し合う」と判断するのか。
これが重要です。
また、相続不動産では税金も忘れてはいけません。
土地・建物を相続した場合、原則として被相続人の取得費や取得時期を引き継いで譲渡所得を計算します。取得費が分からない場合には概算取得費を使用できる制度があり、相続税を支払って一定期間内に売却する場合には取得費加算の特例を利用できる可能性もあります。
さらに、相続登記が終わっているかも確認が必要です。
相続登記は2024年4月から義務化されており、過去の相続も対象です。親名義のまま長期間放置している不動産なら、売却方法を考える前に登記状況を確認しておきましょう。
共有不動産の問題は、時間が経てば自然に解決するとは限りません。
むしろ次の相続によって共有者が増えれば、意思統一がさらに難しくなる可能性があります。
大阪市内や豊中市・吹田市・箕面市に親から相続した土地・建物があり、兄弟との共有状態が続いているのであれば、今すぐ売るかどうかとは別に、一度現在価値と権利関係を整理してみることが重要です。
「全体を売ったらいくらになるのか」
「自分の持分はいくらなのか」
「兄弟に買い取ってもらうことはできるのか」
「第三者へ持分を売った場合、手元にいくら残るのか」
「売らずに5年間保有すると、維持費はいくらかかるのか」
ここまで数字にすれば、感情的になりやすい共有問題を現実的な選択肢として比較できます。
持分売却は、兄弟間の共有トラブルを解決するための「最後の手段」と決めつける必要も、「最も簡単な方法」と考える必要もありません。
全体売却や共有者による買取りと並ぶ、共有関係を整理するための一つの選択肢です。
大切なのは、最初から一つの方法へ決めつけず、不動産全体の市場価値、持分の価値、税金、維持費、売却期間、そして兄弟それぞれの希望を整理したうえで比較することです。
そのうえで、「価格を優先するのか」「解決までの早さを優先するのか」「実家を家族内に残すことを優先するのか」を決めれば、自分に合った出口を選びやすくなります。
