「昔、1階の和室を広げたけれど登記した記憶がない」
「親から相続した家を売ろうとしたら、増築部分が登記されていないと言われた」
「登記簿では80㎡なのに、実際の家はもっと広い」
大阪市内や豊中市・吹田市・箕面市などで築年数の経過した戸建てを売却すると、こうした「増築部分の未登記」が見つかることがあります。
結論からいうと、増築部分が未登記だからといって、その時点で不動産の売却が絶対にできなくなるわけではありません。
大阪市も、未登記家屋について売買などで所有者が変わった場合の「家屋変更届出書」を用意しています。つまり、未登記という状態と、不動産を売買できるかどうかは分けて考える必要があります。
しかし、実際の売却では「売買契約ができるか」だけで判断してはいけません。
増築部分が未登記のままだと、登記簿に記載されている床面積と現況が一致しません。買主が住宅ローンを利用するときの確認、建物の評価、契約時の説明、将来の売却などに影響する可能性があります。
さらに、増築部分について建築確認などの資料が残っていないケースでは、「未登記」という問題だけでなく、その増築がどのように行われたのかまで調べる必要があります。
そのため売主として大切なのは、未登記部分を見つけた瞬間に慌てて工事をしたり、反対に「昔からこの状態だから大丈夫」と放置したりすることではありません。
まず、
「登記上はどうなっているのか」
「実際の建物はどうなっているのか」
「固定資産税上はどう扱われているのか」
「増築時の資料は残っているのか」
「売却前に変更登記をした方がよいのか」
を順番に整理することが重要です。
ここでは、増築した家に未登記部分がある場合の売却方法を、売主の立場から詳しく解説します。
増築部分の「未登記」とはどのような状態?
建物の登記には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積など、その建物の物理的な状況が記録されています。
日本土地家屋調査士会連合会も、建物を増築した場合には建物の表示変更登記を行うと案内しています。
たとえば、新築時には延床面積80㎡だった2階建て住宅があるとします。
その後、1階部分を20㎡増築して実際には100㎡になったにもかかわらず、登記簿上の床面積が80㎡のままになっていれば、増築による現況の変化が登記へ反映されていない可能性があります。
売主本人が増築したのであれば事情を把握しているかもしれません。
ところが中古住宅では、所有者自身が未登記に気付いていないケースがあります。
特に注意したいのが相続した実家です。
親が20年前、30年前に増築していて、子どもは詳しい経緯を知らないことがあります。
「子どもの頃からこの間取りだったので、これが元の家だと思っていた」
というケースも珍しくありません。
売却準備で登記事項証明書や固定資産税関係資料、建物図面などを確認した結果、初めて床面積の違いに気付くことがあります。
よくある未登記増築のパターン
未登記というと、大規模な増築を想像するかもしれませんが、実際にはさまざまなケースがあります。
たとえば、リビングの外側へ部屋を広げている住宅があります。
1階部分に洋室を追加している住宅もあります。
ベランダやバルコニーだった場所を室内化していることもあります。
敷地内に離れや物置、車庫などを後から建てている場合もあります。
二世帯住宅へ改修する際に床面積が増えているケースも考えられます。
ただし、「屋根がある」「壁がある」という見た目だけで、すべて同じ登記上の扱いになるわけではありません。
建物としてどのように認定されるのか、床面積へ算入されるのか、母屋の増築なのか附属建物なのかは個別に確認する必要があります。
自己判断で「これは小さな増築だから登記不要だろう」と決めつけないことが大切です。
未登記部分があっても売買自体が直ちに不可能とは限らない
「未登記の増築部分がある家は売れない」と思われがちですが、未登記部分が存在することだけを理由として、あらゆる売買が一律に不可能になるわけではありません。
実際、大阪市では未登記家屋について、売買などによって所有者が変わった場合に提出する家屋変更届出書を設けています。
ただし、ここで注意したいのが、
「契約できる」と「一般の買主へ問題なく売りやすい」は違う
という点です。
買主が現金で購入するなら検討できるケースでも、住宅ローンを利用する買主では金融機関や保証会社などの確認が必要になる可能性があります。
また、買主からすると、
「登記簿の床面積と実際の建物が違うのはなぜ?」
「増築はいつ行われた?」
「建築確認の資料はある?」
「購入後に登記しなければならない?」
という不安が生まれます。
不安材料が増えれば、購入判断が慎重になるのは当然です。
だからこそ売主は、「未登記でも売れるか」だけではなく、「どの状態まで整理すれば買主が安心して購入できるか」という視点を持つ必要があります。
スタッフ植松「未登記部分が見つかったとき、私は『売れない家だ』とすぐ判断する必要はないと考えています。重要なのは未登記という言葉そのものではなく、登記と現況にどんな差があり、なぜその差が生まれたのかを確認することです。原因が分かれば、登記してから売るのか、現況を説明したうえで売るのかという次の判断ができます。」
最初に「登記簿」と「現況」を比較する
増築した家を売却するなら、最初に現在の登記事項証明書を確認します。
見るポイントは、建物の種類、構造、床面積などです。
次に実際の住宅と比較します。
たとえば登記簿には、
木造瓦葺2階建
1階50㎡
2階30㎡
合計80㎡
と記載されているのに、現在の間取りを見ると1階部分が明らかに広く、固定資産税関係資料では100㎡程度として扱われているのであれば、増築が登記へ反映されていない可能性があります。
ただし、資料ごとの面積表示が違うからといって、必ず未登記増築と断定できるわけではありません。
床面積の算定方法などを確認する必要があるため、疑問がある場合には土地家屋調査士へ相談するのが適切です。
固定資産税の課税明細書も確認する
次に確認したいのが、毎年送付される固定資産税・都市計画税の納税通知書や課税明細書です。
大阪市では、固定資産税は毎年1月1日現在の土地・家屋などの所有者に課税されます。また、家屋については登記簿だけでなく家屋補充課税台帳に所有者として登録されているケースもあります。
ここで知っておきたいのは、
「未登記だから固定資産税も課税されていない」とは限らない
ということです。
大阪市は、未登記家屋を新築または増改築した場合には家屋届出書を提出するよう案内しています。市は法務局からの登記通知や所有者からの届出に加え、外観調査や航空写真なども活用して家屋の異動状況の把握に努めています。
したがって、
「固定資産税を払っているから登記も済んでいる」
という判断も、
「登記されていないから税金はかかっていない」
という判断も適切ではありません。
登記と固定資産税上の登録は分けて確認する必要があります。
増築したら固定資産税が変わる可能性がある
家屋の固定資産税評価では、新築や増改築は価格を見直す要因になります。
大阪市も、据置年度であっても増改築などの特別な事情がある場合は価格を据え置かず、増改築した家屋について使用されている資材や施工量などをもとに評価するとしています。
つまり、増築は登記だけの問題ではありません。
固定資産税上の家屋評価にも関係します。
昔の増築について届出状況が分からない場合には、課税明細書などを確認し、必要に応じて不動産所在地を担当する市税事務所へ確認するとよいでしょう。
売却前に探しておきたい増築関係の資料
未登記部分が見つかったら、増築当時の資料を探します。
特に相続した住宅では、押し入れや物置に古い住宅関係書類がまとめて保管されていることがあります。
建築確認関係書類。
工事請負契約書。
工事代金の領収書。
設計図面。
工事完了時の書類。
増築前後の間取り図。
施工会社の資料。
固定資産税関係の届出書類。
こうした資料があれば、いつ、どのような工事を行ったのかを確認しやすくなります。
大阪市が未登記家屋の新築・増改築に関する家屋届出書で、建築確認通知書や工事完了引渡証明書などを提出書類として案内していることからも、工事関係資料を残しておく重要性が分かります。
「未登記」と「違法建築」は同じ意味ではない
ここは非常に重要です。
増築部分が未登記だからといって、それだけで直ちに「違法建築」と断定できるわけではありません。
未登記は、登記上の建物情報が現況に合わせて変更されていないという問題です。
一方、増築工事について建築基準法上必要な手続きが行われていたか、建ぺい率や容積率などに問題がないかという点は、別に確認する必要があります。
逆にいえば、
「登記すればすべて解決する」
とも限りません。
登記上の床面積を現況へ合わせたとしても、増築工事そのものについて別の確認事項が残っている可能性があります。
売却時にはこの二つを混同しないことが重要です。
建ぺい率・容積率への影響も確認する
増築によって建物面積や延床面積が増えている場合、建ぺい率や容積率との関係も確認したいところです。
新築時には基準内だった住宅でも、その後の増築によって現在の建物規模が変わっている可能性があります。
特に大阪市内の住宅密集地では、敷地が小さい戸建てや長屋なども多くあります。
限られた敷地に増築している場合には、単に「10㎡増えただけ」と考えず、敷地条件、用途地域、指定建ぺい率・容積率、接道状況などを含めて確認します。
ここで問題が見つかった場合には、通常の中古住宅とは売却戦略を変える必要が出ることがあります。
昔の増築だから大丈夫とは限らない
「30年前に親が増築したから、今さら問題にはならないだろう」
と考える方もいます。
しかし売却では、買主が現在の状態でその不動産を購入することになります。
増築した本人がすでに亡くなっていても、現在の所有者として分かる範囲で状況を整理する必要があります。
むしろ古い増築ほど資料が残っていないことがあります。
施工会社が廃業していることもあります。
だからこそ、売却を決めてから慌てて調べるのではなく、査定段階から未登記の可能性を伝えて調査を始めることが重要です。
未登記部分があると住宅ローンに影響する?
一般の個人へ戸建てを売却する場合、買主が住宅ローンを利用するケースは多くあります。
金融機関は融資判断にあたり、購入対象となる不動産の内容を確認します。
このとき登記上の建物と現況に明確な差があれば、追加資料や状況整理を求められる可能性があります。
対応は金融機関や物件の状況によって異なるため、「未登記なら絶対に住宅ローンが通らない」と断定することはできません。
しかし売主から見れば、買主の融資手続きで問題になる可能性がある状態を、事前に整理しておく意味は大きいでしょう。
せっかく購入申込みが入っても、その後の融資審査で未登記部分が問題になり、売買条件の見直しが必要になると、売却期間が延びる可能性があります。
買主に未登記部分を隠して売るのは避ける
「言わなければ分からないのでは?」
という考え方は避けるべきです。
売却後に買主が登記と現況の違いを知れば、トラブルにつながる可能性があります。
特に買主が将来その住宅を売却するときや、融資を受けようとするときに未登記部分が問題になれば、「購入時に説明されていなかった」という話になりかねません。
売主として重要なのは、問題がある不動産を「問題がないように見せる」ことではありません。
何が分かっていて、何が確認できていないのかを整理し、必要な説明を行ったうえで売却することです。
未登記部分があること自体より、説明が不十分な状態で契約する方が将来のトラブルを大きくする可能性があります。
売却前に変更登記をした方がいい?
増築によって建物の床面積などが変わっているのであれば、建物の表示に関する変更登記を検討します。
日本土地家屋調査士会連合会も、建物を増築した場合には建物表示変更登記を行うと案内しています。
実際の手続きでは土地家屋調査士へ依頼するケースが一般的です。
ただし、売却前に何をどこまで行う必要があるかは、建物の状態によって異なります。
単純な増築の未反映なのか。
附属建物が未登記なのか。
増築時の資料が残っているのか。
現況を調査する必要があるのか。
建築上の別の問題があるのか。
こうした条件によって必要な対応が変わります。
したがって、まず現況確認と査定を行い、土地家屋調査士などへ相談したうえで売却スケジュールを組む方が現実的です。
土地家屋調査士は何をする専門家?
建物の表題登記や増築による変更登記など、建物の物理的状況に関する登記では土地家屋調査士が専門家になります。
日本土地家屋調査士会連合会は、増築時の建物表題部変更登記を土地家屋調査士へ相談できる業務として案内しています。
売却する不動産に未登記部分が見つかった場合には、
現在の登記内容。
現況の建物。
増築部分の位置や面積。
既存資料。
必要となる登記。
などを確認してもらいます。
不動産会社と土地家屋調査士では役割が違います。
不動産会社は「いくらで、誰に、どのように売るか」を考え、土地家屋調査士は「建物の表示に関する登記をどう整理するか」を扱います。
必要に応じて両方を連携させることが重要です。
登記を直してから査定するべき?
必ずしも「登記を直すまで査定してはいけない」ということではありません。
むしろ、売却を検討しているのであれば、現況のまま先に査定する意味があります。
なぜなら、
「未登記部分を整理した場合にどの程度で売れそうか」
「現況のままでは買主がどの程度限定されるか」
「登記手続きにかかる費用と時間に対して、売却条件がどれだけ改善しそうか」
を比較できるからです。
売却前に費用をかけるなら、その費用が売却にどのような効果を与えるのかを考えたいところです。
これは増築登記だけでなく、解体、測量、リフォームなどでも同じです。
まず査定。
次に必要な調査。
その結果を見て、費用をかけるか判断する。
この順番の方が、売主の手取りを考えやすくなります。
スタッフ植松「未登記部分が見つかると、『とにかく登記を直してから不動産会社へ相談しよう』と思う方もいます。しかし売却が目的なら、私は先に現況査定を取る方法も有効だと考えています。登記を整理した場合と現況のまま売った場合で、価格・期間・買主層がどう変わるかを確認してから費用を使う方が、手取りを判断しやすいからです。」
登記費用だけでなく売却後の手取りで考える
仮に未登記増築を整理するために費用が必要になったとします。
大切なのは「その費用が高いか安いか」だけではありません。
たとえば現況のままなら2,000万円程度でしか売れない可能性がある一方、必要な整理を行うことで一般の買主が住宅ローンを利用しやすくなり、2,300万円前後での売却を狙えるとします。
この場合には、手続き費用をかける意味があるかもしれません。
逆に、土地価格が中心となる築古住宅で、買主が購入後に解体する可能性が高いなら、費用をかけて建物を整える効果が限定的なケースも考えられます。
物件ごとに判断が違います。
だからこそ「未登記なら必ず登記してから売る」という一律の考え方ではなく、売却価格と費用の差を比較することが重要です。
築古戸建てなら「建物」より「土地」が評価されることもある
大阪市内の築40年、築50年といった古い戸建てでは、買主が建物をそのまま使用するとは限りません。
立地によっては、古家付き土地として購入し、建物を解体して新築することを考える買主もいます。
この場合、売却価格の中心が土地価値になることがあります。
ただし、
「どうせ壊すから未登記でも何も確認しなくていい」
ということではありません。
現況の建物がどのような状態なのか。
解体する場合にどの程度の費用が必要か。
隣家と接近していないか。
長屋や連棟住宅ではないか。
接道条件に問題はないか。
再建築できる土地なのか。
こうした別の確認が必要になります。
特に大阪市内では、狭小地や住宅密集地、長屋などもあるため、増築部分だけを見て売却方法を決めるのは危険です。
増築部分を壊して元に戻せばいい?
未登記部分が問題なら、「増築した部分だけ解体して元の状態へ戻せばよい」と考えることがあります。
確かに、物件によっては増築部分を撤去する方法が選択肢になることもあります。
しかし、査定前に解体を決めるのはおすすめできません。
解体費用がかかります。
建物の使い勝手が悪くなる可能性もあります。
増築部分を撤去しても、登記上の手続きや建築上の確認が別途必要になることもあります。
さらに、増築した部屋が現在の住宅価値に寄与しているケースでは、撤去によって売却価格が下がる可能性もあります。
まず、
現況のまま売る場合。
登記を整理して売る場合。
必要に応じて増築部分を撤去する場合。
建物全体を古家として土地中心で売る場合。
を比較した方が合理的です。
相続した家は特に早めに確認する
未登記増築が見つかりやすいのが相続不動産です。
親が所有していた大阪市内の実家を相続し、売却しようとして初めて登記を確認したところ、現況と違っていたというケースです。
親が工事をした時期を知っている兄弟がいるなら、早めに話を聞いておきましょう。
「平成初期に台所を広げた」
「昔の車庫を部屋にした」
「地元の工務店へ頼んだ」
といった情報だけでも、資料探しの手掛かりになります。
また、親が保管していた契約書や図面を、相続後すぐに処分しないことも大切です。
古い書類が登記や建築状況を確認する重要な資料になる可能性があります。
相続登記と増築部分の登記は別に整理する
相続した住宅では、「名義が親のまま」という問題と「増築部分が登記へ反映されていない」という問題が同時に存在することがあります。
この場合、一つずつ整理します。
所有権については相続登記。
建物の物理的状況については表示に関する登記。
それぞれ役割が異なります。
「相続登記をしたから増築部分も自動的に登記された」ということにはなりません。
売却前には現在の登記内容を確認し、所有者と建物の現況の両方がどうなっているかを見る必要があります。
固定資産税を払っている未登記部分なら問題ない?
これもよくある誤解です。
増築部分を含めた床面積について固定資産税が課税されていたとしても、それだけで法務局の登記内容まで現況と一致していることにはなりません。
大阪市では未登記家屋について家屋補充課税台帳による管理が行われる場合があり、固定資産税上の登録と不動産登記は別の制度です。
そのため、
課税明細書。
登記事項証明書。
現況。
この3つを照合することが重要です。
面積がそれぞれ違う場合には、その理由を専門家へ確認しましょう。
売買契約書では現況を正確に整理する
未登記部分がある状態で売却する場合には、契約条件の整理が非常に重要です。
売主と買主の双方が、
どの部分が未登記なのか。
現在の登記面積はいくらなのか。
現況はどうなっているのか。
誰が、いつまでに、どの手続きを行うのか。
現況のまま引き渡すのか。
を理解した状態で契約する必要があります。
たとえば「売主負担で決済までに変更登記を行う」という条件にする場合と、「買主が現況を理解したうえで購入する」という条件では意味が大きく違います。
曖昧なまま契約すると、決済直前になって「登記が終わっていないので融資できない」「この状態では買えない」といった問題につながる可能性があります。
買主が現金購入ならそのまま売りやすい?
住宅ローンを利用しない現金購入の買主であれば、金融機関の担保評価という問題は少なくなります。
そのため、未登記部分がある物件でも検討してもらえる可能性はあります。
ただし、現金購入だから何でも問題なく売れるという意味ではありません。
買主自身が将来売却するときには、同じ未登記問題に直面する可能性があります。
建築上の問題があれば、それも引き継ぐことになります。
したがって、現金買主であっても未登記部分について十分に説明し、契約条件を明確にする必要があります。
不動産会社による買取という選択肢
一般の個人へ売却しにくい場合には、不動産会社による買取を比較する方法があります。
買取では、事業者が物件の問題点を確認したうえで購入を検討するため、未登記部分がある築古住宅などでも相談できるケースがあります。
ただし、買取価格は一般の個人へ仲介で売却する場合の成約価格より低くなる可能性があります。
そのため、
一般仲介ならいくらで売れそうか。
登記を整理したらいくらになりそうか。
現況買取ならいくらなのか。
を比較します。
売却価格だけでなく、登記費用、調査費用、売却までの期間などを含めた手取りで判断することが大切です。
大阪市内の住宅密集地では隣家との関係も確認する
大阪市内には、隣家との距離が非常に近い戸建てや長屋が残る地域があります。
増築部分が敷地境界付近にある場合には、境界や越境についても確認しておきたいところです。
屋根や雨樋が隣地へ出ていないか。
外壁が境界付近まで迫っていないか。
増築部分が隣家と接続していないか。
建物だけを見ていても分からない問題があります。
未登記増築をきっかけに現況を調べた結果、境界や越境など別の問題が見つかることもあります。
その場合は、問題を一つずつ整理して売却方法を考えます。
豊中市・吹田市・箕面市の戸建ても同様に確認する
北摂エリアでも、長期間所有されてきた戸建てでは増築履歴があることがあります。
子どもの成長に合わせて部屋を増やした住宅。
二世帯住宅化した住宅。
車庫や物置を追加した住宅。
サンルームなどを設置した住宅。
住宅街の戸建てでは、こうした改修が何十年にもわたって行われていることがあります。
特に親世代から相続した住宅では、所有者本人が工事内容を把握していないこともあります。
売却を決めた段階で登記事項証明書、固定資産税資料、建築関係資料をまとめて確認しておくと、その後の販売計画を立てやすくなります。
リフォームしてから売る前に未登記を確認する
築古住宅を売るときに、室内をリフォームしてから売却しようと考える方もいます。
しかし増築部分が未登記なら、先にその状態を確認した方がよいでしょう。
数百万円をかけて内装をきれいにした後で、未登記や建築上の問題が見つかり、一般の買主への販売が難しくなると、リフォーム費用を売却価格で回収できない可能性があります。
まず権利関係と建物現況を確認する。
次に査定する。
そのうえで必要な登記や調査を行う。
最後にリフォームの必要性を検討する。
この順番の方が、不要な先行投資を避けやすくなります。
査定時には未登記の可能性を最初から伝える
不動産会社へ査定を依頼するとき、
「増築したかもしれない」
「登記面積と固定資産税の面積が違う」
「親が昔リフォームしたが詳しい内容は分からない」
という情報があれば、最初から伝えましょう。
未登記であることを隠して高い査定額を出してもらっても、販売開始後に問題が分かれば価格や売却方法を見直すことになります。
売主に必要なのは、問題を除外した理想的な査定額ではありません。
現在の状態を前提として、
どの程度で売れそうなのか。
何を整理すれば価格が改善するのか。
どの程度の期間が必要なのか。
を知ることです。
査定価格は2パターンで考えると分かりやすい
未登記増築がある家では、一つの査定価格だけを見るより、複数のケースを比較すると判断しやすくなります。
たとえば、
現況のまま売却した場合
想定成約価格2,300万円。
買主が限定される可能性があり、販売期間も読みづらい。
必要な登記等を整理した場合
想定成約価格2,550万円。
一般の個人も検討しやすくなる可能性がある。
仮に整理のために30万円かかるのであれば、単純な差額だけを見ると220万円です。
もちろん実際には物件ごとに金額は異なります。
重要なのは、「30万円かかるからやらない」ではなく、「30万円を使うことで最終的な手取りがどれだけ変わるか」を考えることです。
売却期間もコストとして考える
手取りを比較するときには時間も重要です。
住宅ローンが残っている家なら、売却まで毎月返済が続きます。
空き家でも固定資産税、火災保険、管理費、庭木の手入れなどが必要になることがあります。
たとえば月10万円の住宅ローン負担があり、未登記問題によって売却が6か月延びれば、それだけで60万円の返済が続きます。
もちろんローン返済の全額がそのまま損失という意味ではありませんが、家計から資金が出続けることに変わりはありません。
登記を整理することで売却期間を短縮できる可能性があるなら、その効果も判断材料になります。
住宅ローンが残っている売主は残債も確認する
増築した家に売主自身の住宅ローンが残っている場合には、現在のローン残高も確認します。
たとえば査定価格2,500万円に対して住宅ローン残高が1,500万円なら、売却代金でローンを完済できる可能性があります。
一方、ローン残高が2,600万円あり、未登記の影響で現況売却価格が2,300万円程度なら、売却代金だけでは完済できない可能性があります。
登記を整理して売却価格が上がれば完済できる可能性が出るのか。
自己資金が必要なのか。
こうした資金計画まで含めて考える必要があります。
未登記問題だけを単独で見るのではなく、住宅ローンと売却後の手取りを一緒に確認しましょう。
「売却価格」ではなく「手取り」を比較する
増築部分の未登記がある家では、次のように比較すると判断しやすくなります。
現況のまま仲介で売る。
登記を整理してから仲介で売る。
現況のまま不動産会社へ売る。
必要に応じて増築部分を撤去して売る。
古家付き土地として売る。
それぞれについて、
想定成約価格。
登記・調査費用。
解体や撤去費用。
仲介手数料などの売却費用。
売却までの期間。
住宅ローン残高。
税金。
を比較します。
一番高い査定価格を選ぶのではなく、最終的に売主の手元へいくら残るのかを見ることが重要です。
未登記増築を理由に安易な値下げをしない
未登記部分が見つかると、「問題物件だから500万円くらい安くしないと売れないのでは」と不安になる方がいます。
しかし、未登記部分が売却価格へ与える影響に全国一律の値下げ率があるわけではありません。
小さな増築を適切に整理できるケースと、建築上の問題まで抱えているケースでは意味が違います。
買主が現金で購入して解体する予定の築古住宅と、住宅ローンでそのまま居住する築浅住宅でも影響は違います。
そのため、未登記という言葉だけで値下げ額を決めないことが大切です。
まず問題の内容を調査し、その問題によって買主層や資産価値がどの程度変わるのかを判断します。
増築を「プラス査定」にできるとは限らない
売主からすると、「20㎡も増築して家が広くなっているのだから、その分高く売れるはず」と思うかもしれません。
しかし中古住宅市場では、工事費をかけた分だけ売却価格が上がるとは限りません。
増築によって使いやすい間取りになっていれば評価される可能性があります。
一方で、登記や建築上の問題が残っていれば、買主にとってはリスクになります。
また、増築によって部屋数は増えていても、採光や動線が悪くなっている場合には市場評価が上がらないこともあります。
「増築費用1,000万円だから家の価値も1,000万円上がった」とは考えず、現在の中古市場でどのように評価されるかを見る必要があります。
買主が気にするのは「購入後に困らないか」
売主は過去の工事費や思い入れを重視しがちですが、買主が見ているのは未来です。
この家を購入して問題なく住めるのか。
住宅ローンを利用できるのか。
将来リフォームできるのか。
将来売却するときに困らないのか。
こうした不安が解消されれば、未登記増築があった住宅でも検討しやすくなります。
反対に「昔のことなので分かりません」「たぶん大丈夫です」という説明しかできないと、買主はリスクを大きく見積もります。
売却前の調査は、単に書類を整えるためだけではありません。
買主の不安を減らし、住宅の市場性を高めるための作業でもあります。
増築部分がある家を売るときの実務的な順番
最初に、登記事項証明書を取得して現在の建物情報を確認します。
次に、固定資産税の課税明細書などを確認します。
そのうえで実際の建物と資料を比較し、面積や構造に違いがないかを確認します。
増築の可能性があれば、建築確認関係書類、工事契約書、図面、領収書などを探します。
次に不動産査定を行い、現在の市場価値を把握します。
同時に必要に応じて土地家屋調査士へ相談し、変更登記などの必要性を確認します。
建築上の確認事項があれば、建築士など適切な専門家へ確認します。
その結果をもとに、
登記を整理して一般の買主へ売る。
現況を説明して売る。
買取を利用する。
古家付き土地として売る。
といった販売方法を比較します。
この順番なら、必要以上に費用をかけることを避けながら売却戦略を決めやすくなります。
スタッフ植松「未登記増築のある家で大切なのは、『きれいな状態に直してから売る』ことではなく、『買主が判断できる状態まで情報を整理して売る』ことだと思います。登記を直すべき物件もあれば、現況を十分説明して売却方法を工夫する方が合理的な物件もあります。売主の目的は登記そのものではなく、最終的に納得できる条件で安全に売却することです。」
売却前にチェックしたい項目
増築した家を売却する前には、登記上の床面積と現況が一致しているか確認します。
固定資産税の課税明細書に記載された面積も見ておきます。
増築した時期が分かるか確認します。
増築時の建築確認や工事資料が残っていないか探します。
土地家屋調査士へ相談する必要があるか判断します。
建ぺい率や容積率など、建築上の確認事項がないか調べます。
住宅ローンが残っている場合には残高を確認します。
そして、現況売却と登記整理後の売却で査定条件がどの程度変わるか比較します。
ここまで整理すれば、「未登記だから売れない」という漠然とした不安から、「何をすれば売却できる可能性が高まるのか」という具体的な判断へ進めます。
未登記部分がある家は「そのまま売れるか」より「どう売れば有利か」を考える
増築した住宅に未登記部分が見つかったとしても、それだけで売却を諦める必要はありません。
大阪市も未登記家屋の新築・増改築や、売買による所有者変更に関する届出制度を設けています。
一方で、未登記部分を何も確認せずに通常の中古住宅として販売するのも適切とはいえません。
まず登記事項証明書を確認し、現在の登記内容を把握します。
次に固定資産税の課税明細書などを確認します。
そして実際の建物と比較します。
増築による床面積の違いがあるなら、土地家屋調査士へ相談し、必要となる表示変更登記などを確認します。日本土地家屋調査士会連合会も、建物を増築した場合には建物の表示変更登記を行うと案内しています。
ただし、売却前に重要なのは登記だけではありません。
増築工事がどのように行われたのか。
建築関係資料が残っているのか。
現在の建ぺい率や容積率などに確認事項がないか。
買主が住宅ローンを利用する場合にどのような対応が必要になるのか。
こうした項目を総合的に確認する必要があります。
また、「固定資産税を払っているから大丈夫」と考えるのも避けましょう。
大阪市では登記簿に記載された家屋だけでなく、家屋補充課税台帳に登録された家屋も固定資産税の対象となります。したがって、固定資産税が課税されていることと、法務局の登記内容が現況と一致していることは同じではありません。
売却方法についても一つではありません。
必要な登記を整理してから一般の買主へ仲介で売る方法があります。
未登記部分の状況を説明し、現況を理解してくれる買主へ売る方法もあります。
築年数が古ければ、古家付き土地として土地価値を中心に販売する方法も考えられます。
一般の個人への販売が難しければ、不動産会社による現況買取を比較することもできます。
どれが最適かは、建物の築年数、増築規模、土地価値、住宅ローン残高、売却期限などによって変わります。
たとえば、登記を整理することで一般の住宅ローン利用者まで買主候補を広げられ、売却価格の上昇が期待できるのであれば、売却前に費用をかける意味があるでしょう。
反対に、建物が非常に古く、土地としての売却が中心になる物件では、建物へ多額の費用をかけても売却価格に十分反映されない可能性があります。
だからこそ最初から、
「未登記だから登記してから売る」
「古い家だから解体して売る」
「面倒だから安く買取してもらう」
と決めつけないことが重要です。
まず現在の状態で査定します。
次に必要な調査と登記の費用を確認します。
そのうえで整理後の想定価格も確認します。
最後に、
売却価格-売却費用-登記・調査費用-住宅ローン残高-必要な税金
という視点から、最終的な手取りを比較します。
増築した家に未登記部分があることは、確かに通常の住宅より確認事項が増える要因です。
しかし、問題の内容を一つずつ整理すれば、売却方法を検討できるケースはあります。
特に大阪市内や豊中市・吹田市・箕面市で、親から相続した築古戸建てや長年住んできた住宅を売却する場合には、所有者自身が知らない増築履歴が残っていることがあります。
売却直前になって問題を発見するより、査定の段階で登記と現況を確認しておく方が、販売計画を立てやすくなります。
未登記部分がある家を売るときに必要なのは、「問題があるから安く売る」という発想ではありません。
何が未登記なのかを確認する。
必要な手続きを確認する。
現況の価値を査定する。
整理した場合の価値も査定する。
費用と売却期間を比較する。
そのうえで最も手取りと条件のバランスが良い方法を選ぶ。
この順番で考えることが、増築した住宅を納得できる条件で売却するための重要なポイントです。
