親が亡くなり、大阪にある実家を相続することになったとき、家族にとって大きな不安になるのが住宅ローンの問題です。
「実家にはまだ住宅ローンが残っているらしいけれど、子どもが返済しなければならないのだろうか」
「父親が亡くなったら、住宅ローンは自動的になくなると聞いたことがある」
「実家には誰も住む予定がないので売却したいけれど、ローンが残っていても売れるのだろうか」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
大阪市内や豊中市・吹田市・箕面市に実家があり、相続人自身は別の場所で生活している場合、住宅ローンの返済を引き継いでまで実家を所有し続けるべきか悩むこともあるでしょう。
結論からいうと、住宅ローンが残っている実家でも、条件を整理すれば売却することは可能です。
ただし、相続した実家の住宅ローンは、通常の住宅売却とは確認する順番が異なります。
まず調べたいのが、亡くなった親が団体信用生命保険に加入していたかどうかです。
団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が死亡するなど所定の条件に該当した場合、保険金によって住宅ローンの残債を返済する仕組みです。
保障が適用されれば、住宅ローンの残高がなくなる可能性があります。
一方、団体信用生命保険に加入していなかった場合や、保障の対象外だった場合には、住宅ローンの返済義務が相続の問題として残ることがあります。
そのため、親が亡くなったからといって、住宅ローンが必ずなくなるわけでも、相続人が必ず返済を引き継ぐわけでもありません。
大切なのは、住宅ローンの契約内容、団信の保障、相続人の状況、実家の現在価値を順番に確認することです。
この記事では、相続した実家に住宅ローンが残っていた場合の対応と、売却する前に確認したいポイントを、大阪の不動産事情も交えながら詳しく解説します。
相続した実家に住宅ローンが残っていたらどうなる?
住宅ローンが残っている実家を相続した場合、最初に理解しておきたいのは、不動産の所有権と住宅ローンの返済義務は別の問題だということです。
親が所有していた土地や建物は相続財産になりますが、親が金融機関から借りていた住宅ローンも、団信などによって返済されなければ相続上の債務として問題になります。
相続では預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も考える必要があります。
たとえば、父親が所有していた大阪市内の戸建てに住宅ローンが800万円残っていたとします。
父親が亡くなった時点で団信の保障が適用され、800万円が完済されれば、相続人はその住宅ローンについて返済を続ける必要がなくなるのが通常です。
しかし、団信が付いていなかった場合には、800万円の借入金が残る可能性があります。
この場合、実家の所有者を誰にするかという話し合いと、住宅ローンの債務をどう処理するかという問題を分けて考える必要があります。
相続人が複数いる場合には、さらに注意が必要です。
「長男が実家を相続するから、住宅ローンも長男だけが負担する」と家族で決めても、その合意だけで金融機関に対する他の相続人の責任が当然になくなるとは限りません。
相続人間の取り決めと金融機関との契約関係は別だからです。
住宅ローンが残っていることが分かったら、まず借入先と契約内容を確認しましょう。
最初に確認したいのは団体信用生命保険への加入状況
相続した実家に住宅ローンが残っている場合、売却価格を調べるより先に確認したいのが団体信用生命保険です。
一般的に団信と呼ばれるこの保険は、住宅ローン契約者が死亡するなど、契約で定められた保険事故が発生したときに、保険金で住宅ローンを返済する仕組みです。
金融機関の住宅ローンでは団信への加入が条件になっている商品も多くあります。
ただし、すべての住宅ローンに同じ保障が付いているわけではありません。
借入時期や金融機関、住宅ローンの商品によって条件が異なります。
親が何十年も前に住宅ローンを組んでいる場合には、現在の商品と保障内容が違う可能性もあります。
また、住宅ローンの契約者が複数いる場合には、誰が団信の保障対象になっているのか確認する必要があります。
そのため、親が亡くなったことを金融機関へ連絡し、団信の加入状況と必要な手続きを確認することが重要です。
団信が適用されれば住宅ローンはどうなる?
亡くなった親が団信に加入しており、死亡が保障対象となる場合には、所定の手続きによって保険金が住宅ローンの返済に充てられます。
たとえば住宅ローン残高が1,200万円あったとしても、団信によって全額が返済されれば、その住宅ローンの残債はなくなります。
その結果、相続した実家を売却する際には、住宅ローンの残債を売却代金から返済する必要がなくなります。
ただし、ここで注意したいのは、団信の手続きが完了する前に住宅ローンがなくなったと判断しないことです。
金融機関による確認や必要書類の提出など、所定の手続きがあります。
また、団信によって住宅ローンが完済された場合でも、登記簿に設定されている抵当権を抹消する手続きが必要になることがあります。
つまり、団信が適用される場合でも、金融機関との確認と登記関係の整理は必要です。
売却活動を始める前に、住宅ローンの完済状況と抵当権の状態を確認しておきましょう。
団信に加入していなかった場合はどうなる?
団信に加入していない場合や、保障の対象にならない場合には、住宅ローンが残る可能性があります。
この場合、相続人は相続の方法について判断しなければなりません。
実家の価値が住宅ローン残高を上回っているなら、売却代金でローンを完済できる可能性があります。
一方、実家の価値より住宅ローン残高の方が大きい場合には、売却するだけでは借入金を完済できないことがあります。
また、住宅ローン以外にも借金が残っている場合には、実家だけを見て相続するかどうか決めるのは危険です。
預貯金や有価証券、不動産などのプラスの財産と、住宅ローンやその他の借入金などのマイナスの財産を整理する必要があります。
団信が適用されないと分かった場合には、相続財産全体を調査し、必要に応じて弁護士などへ相談しましょう。
スタッフ植松「相続した実家に住宅ローンが残っていると聞くと、すぐに『家を売らなければ』と考えてしまう方もいるでしょう。しかし、私は売却の判断より先に団信の確認を優先すべきだと考えています。団信で完済されるかどうかによって、相続人の負担も売却後の手取りも大きく変わるためです。」
住宅ローンの残高はどうやって調べる?
親が住宅ローンについて詳しく話していなかった場合、相続人が借入先や残高を把握していないことがあります。
まずは実家に残されている住宅ローン関係の書類を確認しましょう。
借入時の金銭消費貸借契約書や返済予定表、金融機関からの通知書などがあれば、借入先を特定する手掛かりになります。
また、親の預金通帳や取引明細を確認すると、毎月の住宅ローン返済先が分かる場合があります。
実家の登記事項証明書も重要です。
登記簿の権利部には、抵当権が設定されている場合、その内容が記録されています。
抵当権者として記載されている金融機関などを確認することで、借入先を調べる手掛かりになります。
ただし、登記簿に記載された債権額は、現在の住宅ローン残高そのものではありません。
すでに完済されていても抵当権が抹消されていない場合もあります。
正確な残高は金融機関へ確認する必要があります。
親の預金口座から引き落としが続いている場合
親が亡くなった後も、住宅ローンの引き落とし予定が残っている場合があります。
このとき、相続人が自己判断で返済を止めたり、反対に何も確認せず自分の資金で返済を続けたりすることは避けたいところです。
団信の手続き中であっても、金融機関によって返済の取扱いが異なる場合があります。
まず死亡の事実を金融機関へ伝え、団信の請求手続き、返済の取扱い、必要書類について確認しましょう。
また、相続放棄を検討している場合には、遺産の処分や債務の取扱いが相続の承認に影響する可能性があります。
返済が必要かどうかだけでなく、誰の資金で、どのような法的立場で対応するのかも確認することが重要です。
住宅ローンが残っていても相続放棄はできる?
親の住宅ローンが多額に残っている場合、相続放棄を検討することがあります。
相続放棄とは、家庭裁判所で所定の手続きを行い、被相続人の財産や債務を相続しないことを選択する制度です。
住宅ローンなどの借金を引き継ぎたくない場合に検討できますが、実家だけを放棄して預貯金だけを受け取ることはできません。
相続放棄をすると、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も引き継がないことになります。
たとえば実家の価値が1,000万円で住宅ローンが2,000万円残っているとしても、親に別の預貯金や資産があるかもしれません。
実家だけで判断せず、相続財産全体を確認する必要があります。
相続放棄には原則3か月の期限がある
相続放棄を検討する場合、特に注意したいのが期限です。
相続人は原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを判断します。
この期間は熟慮期間と呼ばれます。
財産調査が終わらず判断できない場合には、家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられる制度もあります。
しかし、申立てをすれば必ず認められるわけではありません。
親が亡くなってから住宅ローンの存在に気付いた場合には、できるだけ早く借入先や残高、団信の状況を確認しましょう。
「実家を売却できるか調べてから相続放棄を考えよう」と時間をかけすぎると、判断期限に影響する可能性があります。
限定承認という選択肢もある
相続財産にどの程度の借金があるか分からない場合には、限定承認という制度もあります。
限定承認は、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を負担する制度です。
ただし、共同相続人がいる場合には原則として全員で行う必要があり、手続きも複雑です。
また、税務上の取扱いにも注意が必要です。
そのため、住宅ローンが残っているからといって安易に限定承認を選ぶのではなく、相続財産の内容を確認し、専門家の助言を受けながら検討することが重要です。
相続した実家を売却するには抵当権の確認が必要
住宅ローンを利用して購入した住宅には、通常、金融機関の抵当権が設定されています。
抵当権は、住宅ローンの返済が滞った場合などに、金融機関が担保不動産から優先的に債権を回収するための権利です。
相続した実家に抵当権が残っている場合、一般的な売買では、引渡しまでに抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
住宅ローンの残高があるからといって、売却活動を始められないわけではありません。
売却代金を利用して住宅ローンを完済し、決済時に抵当権を抹消する方法もあります。
ただし、金融機関への完済手続きには事前の連絡や日程調整が必要です。
買主が決まってから初めて確認するのではなく、査定段階から残債と抵当権の状況を把握しておきましょう。
団信で完済しても抵当権が自動的に消えるとは限らない
団信によって住宅ローンが完済されると、借入金の返済問題は解消されます。
しかし、登記簿に設定された抵当権が自動的に抹消されるとは限りません。
金融機関から必要書類を受け取り、抵当権抹消登記を行う必要があります。
抵当権が残ったままでは、買主や買主側の金融機関から抹消を求められることが一般的です。
売却予定がある場合には、団信による完済の確認とあわせて、抵当権抹消に必要な書類や手続きを確認しておきましょう。
住宅ローンが残る実家の売却価格はどう考える?
住宅ローンが残っている場合、売却できるかどうかを判断するためには、実家の現在価値を把握する必要があります。
ここで重要なのは、親が購入した当時の価格ではありません。
現在の不動産市場で、いくらで売却できる可能性があるかです。
たとえば親が4,000万円で購入した大阪市内のマンションでも、現在の売却価格が3,000万円とは限りません。
築年数や立地、広さ、管理状態、周辺の成約事例などによって価格は変わります。
一方、購入当時より土地価格が上昇し、想定以上の価格で売却できる可能性もあります。
まず現在価格を確認し、その価格から住宅ローン残高と売却費用を差し引いて考えましょう。
売却代金で住宅ローンを完済できる場合
実家の売却価格が住宅ローン残高を上回っている場合には、比較的売却を進めやすくなります。
たとえば、住宅ローン残高が1,000万円で、実家が3,000万円で売却できるとします。
この場合、売却代金から住宅ローン1,000万円を返済できるため、抵当権を抹消する資金を確保できる可能性があります。
ただし、3,000万円から1,000万円を差し引いた2,000万円が、そのまま相続人の手元に残るわけではありません。
仲介手数料や登記関係費用、残置物処分費、必要に応じた測量費などが発生することがあります。
また、売却によって譲渡所得が生じる場合には、税金の確認も必要です。
売却価格とローン残高の差だけでなく、最終的な手取りを計算することが重要です。
売却代金で住宅ローンを完済できない場合
住宅ローン残高が実家の売却価格を上回る状態は、一般にオーバーローンと呼ばれます。
たとえば住宅ローン残高が2,500万円あり、実家の売却価格が2,000万円だった場合、売却代金だけでは500万円不足します。
さらに売却費用も必要になるため、実際の不足額は500万円より大きくなる可能性があります。
この場合、通常の売却では不足分を自己資金などで補い、住宅ローンを完済する必要があります。
自己資金で補えない場合には、金融機関との協議が必要です。
返済が困難な状況では任意売却などを検討することもありますが、金融機関の同意が必要であり、売却後も残債が残る場合があります。
住宅ローンを完済できないからといって、必ず任意売却になるわけではありません。
まず残高と売却可能価格を確認し、不足額を具体的に計算することが先決です。
売却価格がローン残高を上回っていても注意が必要
住宅ローン残高が1,800万円で、実家の査定価格が1,900万円だったとします。
数字だけを見ると100万円余裕があるように感じるかもしれません。
しかし、査定価格は実際の成約価格を保証するものではありません。
購入希望者との交渉によって価格が下がる可能性があります。
さらに仲介手数料や登記関係費用なども発生します。
そのため、査定価格が住宅ローン残高をわずかに上回っている場合でも、資金が不足する可能性があります。
重要なのは、住宅ローン残高と査定価格の差だけではなく、売却に必要な費用まで含めた資金計画です。
住宅ローンの残高と完済に必要な金額は違うことがある
住宅ローンの残高証明書に記載されている金額と、実際に決済日に完済するための金額が一致しない場合があります。
返済日までの利息や金融機関所定の手数料などが関係するためです。
売却代金で完済する予定なら、決済日を前提とした完済必要額を金融機関へ確認しましょう。
また、完済手続きには事前申込みが必要な場合があります。
買主との売買契約が決まってから慌てないように、早めに金融機関へ手続きの流れを確認しておくと安心です。
相続した実家を誰の名義にするかも重要
住宅ローンが残っている実家を売却する場合、相続登記についても確認が必要です。
親名義の不動産を売却するには、原則として相続による所有権移転登記を行い、売主となる相続人の名義にする必要があります。
相続人が一人であれば比較的整理しやすい場合もありますが、兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合には、遺産分割協議が必要になることがあります。
実家を長男が取得するのか、兄弟で共有するのかによって、売却手続きも変わります。
ただし、相続登記によって不動産の所有者を決めることと、住宅ローンの債務を誰が負担するかは別問題です。
相続登記だけで金融機関に対する債務関係が整理されるとは限りません。
兄弟で相続した場合、住宅ローンは誰が払う?
兄弟で実家を相続する場合には、住宅ローンの負担について意見が分かれることがあります。
たとえば長男が実家に住み続けたい一方、次男は売却して現金で分けたいと考えるケースです。
長男が実家を取得する代わりに住宅ローンも負担すると家族で決めたとしても、その合意だけで金融機関に対する債務者が当然に長男一人になるとは限りません。
一般に、相続された金銭債務の取扱いは、債務の性質や契約内容、法定相続分などによって検討されます。
特定の相続人へ債務を集中させるには、金融機関の承諾が必要になる場合があります。
そのため、兄弟間で実家の所有者を決めるときには、住宅ローンの取扱いも金融機関へ確認しておく必要があります。
共有名義のまま売却する場合
相続した実家を兄弟で共有名義にした場合、不動産全体を売却するには共有者全員の合意が必要です。
たとえば長男と次男が2分の1ずつ所有している場合、長男だけの判断で実家全体を売却することはできません。
売却価格や売却時期、残置物の処分方法などについて、共有者全員で意思をそろえる必要があります。
住宅ローンが残っている場合には、売却代金から返済する金額も確認します。
実家を売却してローンを完済した後に残る金額を、どのように分けるのかについても整理しておきましょう。
共有持分と相続人間の実際の負担が一致しない場合には、税務上の問題が生じる可能性もあるため、必要に応じて専門家へ確認することが重要です。
親が連帯債務者だった場合はさらに注意する
住宅ローンには、単独で借りる方法だけでなく、複数人が債務を負担する契約もあります。
たとえば父親と母親が連帯債務者になっている場合です。
この場合、父親が亡くなったからといって、住宅ローン全体が必ずなくなるとは限りません。
団信の保障対象が誰なのか、どの範囲まで保障されるのかによって結果が異なります。
また、親子で住宅ローンを組んでいる場合も同様です。
亡くなった人の債務について団信が適用されても、他の債務者の返済義務が残ることがあります。
相続した実家に住宅ローンが残っている場合には、単に残高だけを見るのではなく、契約者と団信の保障対象を確認することが大切です。
親子リレーローンの場合はどうなる?
親子リレーローンは、親と子が連携して返済する住宅ローンです。
親が一定期間返済し、その後は子どもが返済を引き継ぐ仕組みの商品があります。
ただし、具体的な契約内容や団信の保障は商品によって異なります。
親が亡くなった場合に住宅ローンがどうなるかは、契約内容を確認しなければ判断できません。
特に相続した実家を売却する予定があるなら、子ども自身が債務者となっている可能性にも注意しましょう。
住宅ローンの返済義務がある人と不動産の所有者が異なる場合には、売却手続きが複雑になることがあります。
金融機関と司法書士などへ早めに確認することが重要です。
実家に住宅ローンが残っていても住み続けられる?
相続した実家に家族が住み続けたいと考える場合もあります。
たとえば母親が引き続き実家で生活するケースです。
団信によって住宅ローンが完済されれば、返済負担がなくなった状態で住み続けられる可能性があります。
一方、住宅ローンが残る場合には、返済をどうするか金融機関との確認が必要です。
住宅ローンは原則として契約上の居住目的や利用条件があります。
相続人が住み続ける場合でも、借入条件や債務者変更などについて確認が必要になることがあります。
「家族が住んでいるから、これまでどおり返済すれば問題ない」と自己判断せず、金融機関へ相談することが大切です。
実家を売るか残すかは家族の生活も考える
相続した実家を売却するかどうかは、住宅ローンの残高だけでは決まりません。
母親が住んでいる場合には、売却後の住まいを考える必要があります。
兄弟の一人が実家に住んでいる場合には、その人の生活にも影響します。
一方、誰も住む予定がなく、住宅ローンの返済と空き家管理だけが続いているなら、早期売却を検討する意味があります。
住宅ローンを返済しながら空き家を所有し続ける場合、返済額に加えて固定資産税や保険、修繕費などが発生するためです。
売却するか残すかを決めるときには、現在の住宅ローン残高と実家の価値に加え、今後の利用予定を整理しましょう。
大阪市内のマンションを相続した場合
大阪市内のマンションを相続した場合、住宅ローンの残債と現在の売却価格を比較することが重要です。
マンションの価格は、購入時の価格や住宅ローン残高だけで決まるわけではありません。
駅距離、築年数、広さ、階数、方角、管理状態、周辺の成約事例などによって評価が変わります。
たとえば住宅ローンが1,500万円残っていても、現在の売却価格が3,500万円なら、売却代金で完済できる可能性があります。
一方、購入当時より価格が下がっている場合には、ローン残高との差が小さいこともあります。
また、マンションでは住宅ローンとは別に管理費や修繕積立金が発生します。
相続後に誰も住まないのであれば、保有費用も考えたうえで売却時期を判断することが重要です。
大阪市内の築古戸建てを相続した場合
大阪市内の築古戸建てでは、建物より土地の価値が売却価格に大きく影響することがあります。
特に築40年、50年と経過した住宅では、買主が建物をそのまま利用するのか、リフォームするのか、解体して建替えるのかによって評価が変わります。
住宅ローンが残っている場合には、土地としての価値も確認しておきたいところです。
ただし、古い戸建てだからといって、先に解体するのは慎重に判断しましょう。
大阪市内には前面道路が狭い土地や長屋・連棟住宅など、解体や再建築に条件がある物件もあります。
解体費をかけた結果、想定していた価格で売却できない可能性もあります。
まず古家付きの状態で査定し、必要に応じて更地にした場合の価格と比較することが大切です。
豊中市・吹田市・箕面市の実家を相続した場合
北摂エリアの戸建てを相続した場合も、住宅ローン残高と現在価値の比較が基本です。
ただし、豊中市・吹田市・箕面市では、住宅地によって土地条件が異なります。
駅からの距離だけでなく、前面道路、駐車場、土地の広さ、高低差、擁壁などが売却価格に影響する場合があります。
たとえば広い土地を持つ築古戸建てなら、建物が古くても土地として需要が期待できることがあります。
一方、道路や擁壁に問題がある場合には、建替え費用を買主が考慮する可能性があります。
相続した実家の住宅ローンが残っている場合には、単純に近隣の売出価格を見るのではなく、その物件の土地条件や建物状態を踏まえて売却価格を考える必要があります。
スタッフ植松「住宅ローンが残っている実家の売却では、私は『親がいくらで買った家か』より『今いくらで売れる家か』を重視すべきだと考えています。購入当時の価格は参考になりますが、現在の住宅ローンを完済できるかどうかは、今の市場で売れる価格によって決まるからです。」
相続した実家の売却で残置物はどうする?
親が亡くなった後の実家には、家具や家電、衣類、食器、写真などが残っていることがあります。
相続人が遠方に住んでいる場合、片付けだけで何度も大阪へ行かなければならないこともあります。
しかし、売却査定を受けるために、必ずすべての荷物を処分しなければならないわけではありません。
残置物がある状態でも査定できる場合があります。
むしろ、住宅ローンが残っている場合には、処分費用をかける前に売却価格を確認した方が合理的です。
たとえば残置物処分に50万円かかるとして、その費用をかけることで売却価格がどの程度変わるのかを確認します。
また、不動産会社による買取では、残置物がある状態で検討できるケースもあります。
ただし、残置物の処分条件は契約によって異なるため、事前確認が必要です。
売却前にリフォームする必要はある?
相続した実家が古い場合、売却前にリフォームした方が高く売れるのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、住宅ローンが残っている状況で多額のリフォーム費用をかけることには慎重になる必要があります。
たとえば300万円をかけてリフォームしても、売却価格が300万円以上高くなるとは限りません。
買主によっては、自分の好みに合わせてリフォームしたいと考えることもあります。
築古戸建てなら、建物を解体して土地として利用したい買主もいるでしょう。
そのため、まず現況で査定し、リフォームした場合の想定価格と比較することが重要です。
住宅ローンを完済するために手取りを確保したい場合ほど、売却前の追加支出は慎重に判断しましょう。
仲介と買取ではどちらがよい?
住宅ローンが残っている実家を売却する方法には、一般の買主へ販売する仲介と、不動産会社などが直接購入する買取があります。
仲介は市場価格に近い価格で売却できる可能性がありますが、買主が見つかるまで時間がかかる場合があります。
一方、買取は短期間で売却できる場合がありますが、一般的には仲介より価格が低くなる傾向があります。
住宅ローン残高が少なく、売却を急いでいない場合には、仲介で販売する選択肢があります。
一方、相続人が遠方に住んでいる場合や、残置物が多い場合、建物の状態が悪い場合には、買取も比較する意味があります。
ただし、住宅ローンが残っている場合には、買取価格で完済できるかどうかが重要です。
買取価格が低く、ローンを完済できないのであれば、別途資金を用意する必要が生じることがあります。
売却まで住宅ローンを払い続ける負担も考える
住宅ローンが残っている実家を売却する場合、売れるまでの期間にも返済負担が発生することがあります。
たとえば毎月の返済額が8万円だった場合、売却まで6か月かかれば48万円の支払いになります。
さらに固定資産税や保険、空き家管理費なども必要です。
ただし、住宅ローン返済額の全額が経済的な損失になるわけではありません。
返済には元金部分と利息部分があり、元金返済によって借入残高は減少します。
それでも、相続人にとって毎月の資金負担が発生することは重要です。
売却を急ぐかどうかは、売却価格だけでなく、売却までの資金繰りも含めて判断しましょう。
住宅ローンを滞納している場合はどうなる?
親が亡くなる前から住宅ローンを滞納していた場合や、死亡後に返済が止まっている場合には、早めの対応が必要です。
滞納が続くと、金融機関から督促を受けたり、契約内容によって期限の利益を失ったりする可能性があります。
さらに状況が進めば、担保不動産の競売などにつながるおそれもあります。
ただし、滞納があるからといって、直ちに競売になるわけではありません。
団信の適用可能性や債務の状況を確認し、金融機関と対応を協議することが重要です。
相続放棄を検討している場合には、債務への対応が法的判断に影響することもあるため、早めに専門家へ相談しましょう。
任意売却を検討する場合
住宅ローンを売却代金で完済できず、自己資金による不足額の補填も難しい場合には、任意売却を検討することがあります。
任意売却は、金融機関などの債権者と協議し、抵当権の抹消について同意を得たうえで不動産を売却する方法です。
ただし、金融機関の同意が必要であり、必ず利用できるわけではありません。
また、任意売却によって不動産を売却できても、住宅ローンの残債がなくなるとは限りません。
売却後に残る債務について、返済方法などを協議する必要がある場合があります。
相続した実家がオーバーローンだからといって、すぐ任意売却を選ぶのではなく、団信、相続放棄の可能性、他の相続財産、自己資金、金融機関との協議を含めて判断することが重要です。
相続登記と住宅ローンの手続きは別々に確認する
相続した実家を売却する場合、相続登記が必要になります。
2024年4月1日から相続登記は義務化されており、原則として相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
2024年4月1日より前の相続についても対象となり、一定の経過措置があります。
ただし、相続登記が完了したからといって、住宅ローンの問題まで解決するわけではありません。
相続登記は不動産の所有者を登記する手続きです。
一方、住宅ローンの返済や債務者の取扱いは金融機関との契約に関する問題です。
さらに、住宅ローンが完済されていても抵当権抹消登記が必要になる場合があります。
売却前には、所有権の登記、住宅ローンの返済、抵当権の抹消という三つを分けて確認しましょう。
相続した実家を売却した場合の税金
住宅ローンが残っている実家を売却した場合でも、譲渡所得が発生すれば税金の確認が必要です。
ここで注意したいのは、住宅ローンの返済額を売却価格からそのまま差し引いて譲渡所得を計算するわけではないということです。
不動産の譲渡所得は、基本的に売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算します。
住宅ローンの元金返済は、原則として譲渡所得を計算する際の取得費や譲渡費用にはなりません。
たとえば住宅ローンを1,000万円返済したからといって、譲渡所得が1,000万円減るわけではありません。
売却後の手取り計算と税金の計算は別に考える必要があります。
親が購入したときの取得費を引き継ぐ
相続した実家を売却する場合、取得費の計算では、原則として亡くなった親が購入したときの取得費を引き継ぎます。
また、所有期間についても、原則として親が取得した時期を引き継ぎます。
そのため、親が何十年も前に購入した不動産なら、相続後すぐに売却しても、譲渡所得の所有期間判定では長期譲渡所得となる場合があります。
ただし、建物の取得費は減価償却費相当額を差し引くなど、土地とは異なる計算が必要です。
親が購入したときの売買契約書や領収書が残っていれば、取得費を確認する重要な資料になります。
実家を片付ける際には、古い不動産関係書類をすぐに処分しないようにしましょう。
取得費が分からない場合
親が何十年も前に購入した実家では、購入時の売買契約書が見つからないことがあります。
取得費が分からない場合などには、売却価格の5%を概算取得費として計算できる制度があります。
たとえば実家を3,000万円で売却した場合、概算取得費は150万円です。
ただし、実際の取得費がもっと高かったとしても、資料がなければ税金の計算で不利になる可能性があります。
購入時の契約書だけでなく、当時の領収書や建築関係書類なども確認しておきましょう。
相続空き家の3,000万円特別控除を確認する
相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば、被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。
この制度は、相続した空き家などを売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
ただし、すべての相続住宅が対象になるわけではありません。
建築時期や被相続人の居住状況、相続後の利用状況、売却価格、売却期限など、複数の要件があります。
また、相続人が3人以上の場合には、控除上限が1人当たり2,000万円となるケースがあります。
住宅ローンが残っているかどうかだけで特例の適用が決まるわけではありません。
団信によって住宅ローンが完済された場合でも、売却によって譲渡所得が発生するなら、税制上の特例を確認する意味があります。
相続税を納めた場合は取得費加算も確認する
相続によって実家を取得し、その相続について相続税を納めた場合には、相続財産を一定期間内に売却することで、相続税額の一部を譲渡所得の取得費へ加算できる特例を利用できる可能性があります。
この制度にも期限や要件があります。
また、相続空き家の3,000万円特別控除との適用関係にも注意が必要です。
住宅ローンが残っている実家を売却する場合、売却代金からローンを返済した後の手取りが重要になります。
税金によって手取りが変わる可能性があるため、利用できる特例を早めに確認しておきましょう。
相続した実家を売る前に確認したい書類
住宅ローンが残っている実家を売却する場合には、通常の売却書類に加え、住宅ローンや相続に関する資料が必要になります。
まず住宅ローンの契約書や返済予定表、残高に関する書類を確認します。
団信については加入状況と保障内容を確認します。
次に土地と建物の登記事項証明書を確認し、所有者と抵当権の状態を把握します。
相続に関しては、戸籍関係書類や遺言書、遺産分割協議書などが必要になる場合があります。
さらに、親が購入したときの売買契約書や重要事項説明書、測量図、建築関係書類なども探しておきましょう。
すべての書類が最初から揃っていなければ査定できないわけではありません。
ただし、早い段階で書類を確認しておくと、売却までの手続きを進めやすくなります。
売却前に確認したいポイントを整理する
| 確認項目 | 確認する内容 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 団体信用生命保険 | 加入状況と保障内容 | 死亡によって必ず全額完済されるとは限らない |
| 住宅ローン残高 | 現在の借入残高と完済必要額 | 売却価格との差だけでなく費用も考える |
| 借入契約 | 債務者・連帯債務者・保証人 | 誰に返済義務があるか確認する |
| 抵当権 | 登記上の設定状況 | 完済後も抹消登記が必要になる場合がある |
| 相続人 | 相続人の人数と相続方法 | 共有者がいる場合は意思統一が必要 |
| 相続登記 | 所有権の登記状況 | 売却前に必要な手続きを確認する |
| 実家の現在価値 | 想定成約価格 | 購入時の価格では判断できない |
| 売却費用 | 仲介手数料・登記費用等 | ローン完済後の手取りに影響する |
| 税金 | 譲渡所得と利用可能な特例 | ローン返済額は原則として譲渡費用ではない |
| 建物状態 | 修繕・解体の必要性 | 費用をかける前に現況査定を検討する |
このように確認項目を分けておくと、住宅ローンが残っている実家でも、売却に向けた課題を整理しやすくなります。
相続した実家を売却する流れ
まず、住宅ローンの借入先を確認します。
次に団信の加入状況と保障の適用可能性を確認し、金融機関へ必要な手続きを問い合わせます。
団信によって完済される場合には、完済の確認と抵当権抹消に必要な手続きを進めます。
団信が適用されず債務が残る場合には、相続財産全体を確認し、相続の方法を検討します。
その後、相続人と登記名義を整理し、実家の現在価値を査定します。
査定価格と住宅ローン残高を比較し、売却費用まで含めた資金計画を作ります。
売却代金で完済できる見込みがあれば、販売活動を進めます。
買主が決まったら、金融機関と完済日程を調整し、決済時に住宅ローンの返済と抵当権抹消を進めます。
売却後は譲渡所得の有無や利用できる特例を確認し、必要に応じて確定申告を行います。
この順番で進めれば、売却活動を始めてから住宅ローンの問題が発覚するリスクを減らしやすくなります。
売却するか残すか迷っている場合
相続した実家に住宅ローンが残っているからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
団信によって完済される場合には、住宅ローンの返済負担がなくなる可能性があります。
家族が住み続ける予定なら、実家を残す選択肢もあります。
一方、誰も住む予定がなく、住宅ローンの返済や空き家管理が続く場合には、早期売却を検討する意味があります。
重要なのは、住宅ローン残高だけで判断しないことです。
実家の現在価値、家族の利用予定、年間維持費、税金、建物状態などを整理し、売却する場合と保有する場合を比較しましょう。
スタッフ植松「住宅ローンが残っている実家を相続したとき、私は『いくら借金が残っているか』だけでなく、『売却したら最終的にいくら残るか』まで確認することが重要だと考えています。団信で完済されるのか、売却代金で返済できるのか、費用を差し引いた手取りはいくらなのか。この数字が分かれば、売るか残すかを感情だけで決めずに済みます。」
相続した実家の住宅ローンは売却前に整理しておく
相続した実家に住宅ローンが残っている場合、最初に確認したいのは団体信用生命保険です。
団信の保障が適用されれば、住宅ローンが完済される可能性があります。
一方、団信が適用されない場合には、相続人の債務負担や相続の方法を検討する必要があります。
そのため、住宅ローンが残っていると分かった段階で、借入先、残高、団信、債務者、抵当権の状態を確認しておきましょう。
また、相続した実家を売却する場合には、現在の不動産価値を把握することが重要です。
住宅ローンが1,000万円残っていても、実家が3,000万円で売却できるなら、売却代金で完済できる可能性があります。
反対に、住宅ローンが2,500万円残っていて、売却価格が2,000万円なら、通常の売却では不足額への対応が必要になります。
大阪市・豊中市・吹田市・箕面市では、マンション、築古戸建て、土地など物件によって売却価格に影響する条件が異なります。
そのため、親が購入した当時の価格ではなく、現在の市場価格を確認することが大切です。
さらに、住宅ローンを完済できるかどうかだけでなく、売却費用や税金まで含めた最終手取りを考える必要があります。
相続した実家に住宅ローンが残っている場合でも、正しい順番で確認すれば、売却に向けた選択肢を整理できます。
まず団信を確認し、次に相続関係と住宅ローン残高を整理し、そのうえで実家の現在価値と売却後の手取りを比較することが重要です。
