事故物件は売却できる?告知義務・相場・売却のコツを解説

「家族が自宅で亡くなった家でも売却できる?」

「事故物件になったら、相場より大幅に安くしないと売れない?」

「何年前の出来事まで買主へ伝える必要がある?」

不動産を売却するとき、過去にその物件で人が亡くなっていると、このような不安を感じる方は少なくありません。

特に大阪市内のマンションや戸建て、豊中市・吹田市・箕面市など北摂エリアの住宅を相続し、

「親が家の中で亡くなっていた」

「孤独死があった」

「過去に自殺があったと聞いている」

「事件が起きた住宅を相続した」

という場合、

「事故物件だから売れないのでは?」

と考えてしまうことがあります。

しかし、過去に人が亡くなった不動産だからといって、売却そのものができなくなるわけではありません。

また、一般に「事故物件」と呼ばれている不動産でも、亡くなった原因や場所、発見までの期間、特殊清掃の有無、事件性、社会的な影響などによって取引上の考え方は異なります。

特に注意したいのが、

「人が亡くなった物件=すべて同じ告知義務がある」

というわけではないことです。

反対に、

「何年か経過すれば、どの事故物件でも何も伝えなくてよい」

というわけでもありません。

事故物件の売却では、

何が起きたのか。

どこで起きたのか。

いつ起きたのか。

自然死なのか。

自殺・他殺などなのか。

特殊清掃が行われたのか。

買主の購入判断にどの程度影響する事案なのか。

を整理したうえで売却方法を考えることが重要です。

この記事では、大阪市や豊中市・吹田市・箕面市などで事故物件、あるいは人の死があった住宅の売却を検討している方に向けて、告知義務の考え方、価格への影響、売却方法、売却前にやるべきこと・避けたいことまで詳しく解説します。

目次

事故物件とは?

「事故物件」という言葉は、不動産広告やニュースなどでもよく使われています。

一般的には、

自殺。

他殺。

孤独死。

事故死。

その他、人の死などによって買主・借主が心理的な抵抗を感じる可能性がある不動産。

などを指して使われることがあります。

しかし、重要なのは「事故物件」という名称そのものではありません。

不動産取引では、

その出来事が買主の契約判断へ重要な影響を及ぼすものなのか

という観点が重要になります。

人が亡くなった家はすべて事故物件になる?

ここは非常に誤解されやすいところです。

住宅の中で人が亡くなったからといって、すべて同じように取り扱われるわけではありません。

例えば高齢者が自宅で病気によって亡くなることは、日常生活の中で起こり得ます。

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」でも、対象不動産で発生した自然死や日常生活の中での不慮の死について、原則として告げなくてもよいケースが示されています。

自然死とは?

自然死として考えられるものには、

老衰。

病死。

などがあります。

高齢の親が自宅で家族に看取られて亡くなったケースと、事件が発生したケースを同じように考える必要はありません。

日常生活の中での不慮の死とは?

例えば、

自宅内で転倒した。

階段から転落した。

食事中に誤嚥した。

入浴中に事故が起きた。

など、日常生活の中で発生する事故があります。

こうした死亡についても、国土交通省のガイドラインでは一定の場合に原則として告げなくてもよいとされています。

孤独死はすべて同じではない

「孤独死があった家=必ず事故物件」

と考えている方もいますが、孤独死という言葉だけでは判断できません。

例えば病気による自然死で、すぐに発見された場合があります。

一方で、死亡後長期間発見されず、

室内に臭いや汚損が発生。

特殊清掃を実施。

床や壁などを撤去。

というケースもあります。

同じ自然死でも、発見までの状況や特殊清掃の有無などによって、取引上の考え方が変わる可能性があります。

スタッフ植松

「人が亡くなった=全部同じ事故物件」と考えないことが大切だと私は思います。まず確認したいのは、死因・発生場所・発見までの状況・特殊清掃の有無です。それを整理して初めて、告知や価格への影響を考えられます。

事故物件は売却できる?

結論から言えば、事故物件であっても売却は可能です。

法律上、

「過去に自殺があった住宅は売買禁止」

「孤独死があったマンションは所有し続けなければならない」

というものではありません。

問題になるのは、

買主が見つかるのか。

どの程度価格へ影響するのか。

どこまで告知する必要があるのか。

どのような売り方が適しているのか。

という点です。

事故物件でも買う人がいる理由

事故物件に対する感じ方は人によって異なります。

「どれだけ安くても絶対に買いたくない」

という人もいれば、

「過去の出来事より立地と価格を重視する」

という人もいます。

特に不動産価格が高いエリアでは、

駅から近い。

希望する学校区。

職場に近い。

専有面積が広い。

土地が広い。

眺望が良い。

価格が予算内。

といった条件を優先する買主もいます。

投資家が購入するケースもある

自宅として購入する人だけが買主ではありません。

賃貸運用を目的とする投資家の場合、

購入価格。

想定賃料。

リフォーム費。

管理費。

修繕費。

空室リスク。

将来の売却価格。

などを総合的に計算します。

事故物件という事情が価格へ適切に反映されていれば、収益性を重視して購入を検討する人が現れる可能性があります。

事故物件の告知義務とは?

事故物件の売却で特に気になるのが「告知義務」です。

国土交通省は、過去に人の死が生じた居住用不動産の取引について、宅地建物取引業者がどのように対応するべきかを整理したガイドラインを公表しています。

基本的な考え方として、

人の死に関する事案が取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、告げる必要がある

とされています。

そのため、

「事故物件と呼ばれたら全部告知」

「自然死なら絶対告知不要」

という二択ではありません。

原則として告げなくてもよいケースがある

国土交通省のガイドラインでは、売買・賃貸借取引において、対象不動産で発生した自然死や日常生活の中での不慮の死については、原則として告げなくてもよいとされています。

例えば、

高齢の親が自宅で老衰により亡くなった。

自宅で病気によって亡くなった。

日常生活中の転倒事故などで亡くなった。

といったケースです。

ただし、すべて機械的に「告知不要」と判断するのは適切ではありません。

特殊清掃が行われた場合は注意

自然死であっても、長期間発見されなかったことで特殊清掃や大規模な消臭・除去作業などが必要になるケースがあります。

このような場合は単純な自然死とは事情が異なります。

例えば、

夏場に一人暮らしの所有者が病死。

数週間後に発見。

床などに汚損。

特殊清掃を実施。

床材も交換。

というケースです。

売却する際には、こうした経緯も含めて個別に告知の必要性を判断することになります。

自殺・他殺などは買主の判断に影響しやすい

自殺や他殺などは、一般的に購入者の心理的抵抗が大きくなりやすい事案です。

そのため売買取引では、買主の判断に重要な影響を及ぼすものとして告知が必要になるケースがあります。

特に、

事件性が高い。

報道された。

地域で広く知られている。

社会的な影響が大きい。

といった事情がある場合は慎重な対応が必要です。

「3年経てば告知しなくていい」は売買では注意

事故物件について検索すると、

「3年経過すれば告知義務がなくなる」

という情報を見かけることがあります。

しかし、これを不動産売買にも一律に当てはめるのは適切ではありません。

国土交通省のガイドラインでは、一定の死亡事案について「概ね3年間」という期間が示されているのは主として賃貸借取引です。

売買取引について、自殺・他殺などを一律に「3年経てば告げなくてよい」とする期間基準は設けられていません。

ここは事故物件を売却するときに特に注意したいポイントです。

10年前・20年前の事故なら告知しなくていい?

これも、

「○年以上なら絶対に不要」

と一律に決められるものではありません。

例えば、

何十年も前。

建物も建て替わっている。

周囲でもほとんど知られていない。

という事案と、

過去に大きく報道された重大事件。

現在でも事件名を検索すると物件が特定される。

地域住民にも広く知られている。

という事案では事情が異なります。

事件性、周知性、社会的影響などを含めて個別に判断する必要があります。

買主から質問された場合はどうする?

重要なのが、購入希望者から、

「この家で過去に誰か亡くなっていますか?」

「事件や自殺はありませんでしたか?」

と質問された場合です。

国土交通省のガイドラインでは、買主・借主から事案の有無について問われた場合などには、一定のケースで経過期間や死因にかかわらず告げる必要があるとされています。

売主側の判断だけで、

「昔のことだから言わなくていいだろう」

と回答するのは避けるべきです。

告知する内容は必要以上に詳しくするものではない

告知が必要だからといって、亡くなった方の個人情報や詳細な死の状況を必要以上に説明するものではありません。

取引相手の判断に必要な範囲で、

事案の種類。

発生時期。

発生場所。

特殊清掃等が行われた場合はその事実。

などを伝えることが基本となります。

亡くなった方や遺族の名誉・プライバシーにも配慮する必要があります。

売主は知っている事実を整理して伝える

不動産売却では、売主が告知書・物件状況報告書などへ物件の状況を記載することがあります。

過去に人の死が発生したことを知っている場合には、

いつ。

どこで。

どのようなことが起きたのか。

特殊清掃をしたのか。

リフォームしたのか。

など、わかる範囲で情報を整理しておきます。

わざと隠して売却するのは避ける

事故物件で最も避けたいのが、

「伝えたら価格が下がるから黙っておこう」

という判断です。

本来伝えるべき重要な事実を故意に伝えず、買主が購入後に知った場合、トラブルになる可能性があります。

契約解除や損害賠償など民事上の問題へ発展することも考えられます。

売却時の数十万円・数百万円を守ろうとして、売却後にさらに大きな問題を抱えるのは避けたいところです。

スタッフ植松

事故物件では「どうすれば告知しなくて済むか」より、「何をどこまで正確に伝えれば、買主が納得して契約できるか」を考える方が重要だと私は考えています。隠して高く売るより、条件を整理して適正な価格で売る方が売却後のリスクも抑えやすくなります。

事故物件の売却相場はどのくらい下がる?

事故物件について、

「相場より30%下がる」

「半額になる」

といった情報を見ることがあります。

しかし、

事故物件なら必ず○%安くなるという公的な一律基準はありません。

価格への影響は物件ごとに異なります。

価格への影響を左右する主な要素

事故物件の価格を考える場合、主に次のような要素があります。

要素価格への影響を考えるポイント
死因自然死・事故死・自殺・他殺など
発見までの期間早期発見か長期間経過したか
特殊清掃実施の有無
発生場所専有部分・敷地・共用部分など
経過期間いつ発生した事案なのか
周知性周辺住民やインターネット等で知られているか
事件性社会的影響の大きさ
物件種別マンション・戸建て・土地など
立地駅距離・人気エリア・利便性
建物状態リフォーム・修繕状況
市場需要同エリアで購入希望者が多いか

自然死と重大事件では価格への影響が違う

例えば、

高齢者が自宅で病死し、その日のうちに家族が発見した住宅。

と、

重大事件が起こり、テレビやインターネットで物件所在地まで広く知られた住宅。

では、買主が感じる心理的抵抗は大きく異なる可能性があります。

そのため「事故物件」というひとつのカテゴリーで値引き率を決めることはできません。

大阪市内なら立地が価格を支えることもある

例えば大阪市内の駅近マンションで、

同じマンションの通常住戸:5,000万円前後

過去に死亡事案がある住戸:要個別査定

だったとします。

心理的要因による価格調整が必要になる可能性はありますが、

駅徒歩3分。

梅田へのアクセスが良い。

人気の間取り。

高層階。

眺望が良い。

管理状態が良い。

などの強い条件があれば、物件そのものへの需要は残ります。

「事故物件だから土地・建物の価値がゼロになる」という考え方は適切ではありません。

戸建てなら土地価値も重要

大阪市や豊中市・吹田市・箕面市の戸建ての場合、建物だけでなく土地にも価値があります。

例えば築40年の戸建てで過去に死亡事案があったとしても、

駅に近い。

土地面積が広い。

接道条件が良い。

整形地。

建て替え可能。

住宅需要がある地域。

といった土地なら、土地利用を目的とした需要が期待できることがあります。

事故物件を売却する主な5つの方法

事故物件の状態や事情によって売り方を変えることが重要です。

主な方法は次の5つです。

  1. 現状のまま仲介で売却する
  2. 必要な清掃・原状回復をして売却する
  3. リフォームして売却する
  4. 土地としての需要を狙う
  5. 不動産事業者への売却を検討する

方法1 現状のまま仲介で売却する

室内の状態に問題がなく、死亡事案による物理的な汚損などもない場合には、そのまま販売する方法があります。

例えば過去の事案について必要な告知を行い、その事情を踏まえた価格設定で一般市場から買主を探します。

事故物件に抵抗が少ない買主と出会えれば、売却できる可能性があります。

方法2 特殊清掃や原状回復を行ってから売却する

孤独死などで室内に臭い・汚損が残っている場合、そのままでは購入希望者が物件を検討しにくくなります。

必要に応じて、

特殊清掃。

消臭。

汚染物の除去。

床材の交換。

クロス交換。

害虫対策。

などを行います。

ただし、清掃したから過去の事案を告知しなくてよくなるわけではありません。

「物理的な状態を改善すること」と「告知の必要性」は分けて考えます。

方法3 リフォームして売却する

室内の印象を改善するためリフォームする方法もあります。

しかし大規模リフォームを先に行うべきかは慎重に判断しましょう。

例えば、

現状なら2,500万円。

500万円リフォームすると2,800万円。

なら、

2,800万円-500万円=2,300万円

です。

単純計算では現状売却の方が手取りが多くなります。

事故物件だからこそ、

「きれいにすれば高く売れるはず」

という感覚だけで工事をしないことが重要です。

方法4 古家付き土地・土地としての需要を考える

古い戸建てなら、建物ではなく土地価値を重視する買主を探す方法があります。

例えば買主が、

購入後に解体。

新築住宅を建築。

という計画なら、既存建物の利用を前提とする買主とは判断軸が異なります。

ただし、

「建物を壊せば事故の事実も消える」

と単純に考えることはできません。

過去の事案の内容や土地を含む取引への影響などを踏まえて、告知の必要性を個別に確認することが重要です。

方法5 不動産事業者へ売却する

事故物件の取り扱い経験がある事業者などが購入するケースがあります。

一般個人への仲介売却より価格が低くなる可能性がありますが、

早く現金化したい。

相続後すぐ整理したい。

遠方に住んでいる。

特殊清掃が必要。

残置物が多い。

建物が古い。

などの場合には比較対象になります。

仲介と買取は「価格」だけで比較しない

例えば、

仲介想定価格:3,000万円

買取価格:2,500万円

だったとします。

これだけ見ると仲介が500万円高く見えます。

しかし実際には、

売却までの期間。

清掃費。

リフォーム費。

残置物処分費。

仲介手数料。

保有中の固定資産税。

マンションなら管理費・修繕積立金。

売却後の契約条件。

なども比較する必要があります。

事故物件では特に、

最終的な手取りと売却条件

で判断することが大切です。

売却前に特殊清掃は必要?

室内に汚損や臭いが残っている場合は、特殊清掃を検討することがあります。

通常のハウスクリーニングだけでは、

体液。

臭い。

害虫。

床下への浸透。

などへ十分対応できない場合があります。

専門業者による作業が必要になるケースもあります。

特殊清掃の記録を残しておく

特殊清掃を行った場合、

実施した会社。

作業日。

作業内容。

交換した床・壁など。

消臭作業。

などの記録を残しておくとよいでしょう。

売却時に、

「どのような処置を行ったのか」

を説明しやすくなります。

大規模リフォームを急がない

事故物件を相続すると、

「内装を全部新品にしないと売れない」

と思うことがあります。

しかし買主の中には、

自分好みにリノベーションしたい。

建物を解体したい。

投資用に最低限だけ直したい。

という人もいます。

売主が500万円かけてリフォームしても、買主がその価値を500万円分評価してくれるとは限りません。

まず現状価格を確認してから工事を判断する方が合理的です。

事故物件でやってはいけないこと

売却を急ぐあまり、次のような行動は避けましょう。

告知すべき事実を意図的に隠す

最も避けたい行為です。

売却後に発覚すると大きなトラブルにつながる可能性があります。

「3年経ったから絶対大丈夫」と自己判断する

売買と賃貸ではガイドライン上の考え方が異なります。

インターネット上の短い解説だけで判断しないことが重要です。

必要以上に詳細な個人情報を広告へ掲載する

告知が必要だからといって、亡くなった人の氏名や詳細な事情まで広告で公開する必要があるとは限りません。

プライバシーへの配慮が必要です。

相場を確認せず極端に安くする

事故物件だからといって、最初から通常相場の半額などにする必要があるとは限りません。

まず、

事故の影響がない場合の市場価格。

事案による価格への影響。

建物状態。

立地。

需要。

を整理して価格を考えます。

事故物件の査定では「通常価格」を先に考える

事故物件の査定で重要なのは、

事故がなかった場合ならいくらなのか

という基準を持つことです。

例えば通常なら4,000万円程度と考えられる住宅について、

事案の内容。

発生時期。

周知性。

建物状態。

買主需要。

などを踏まえて価格への影響を考えます。

最初から、

「事故物件だから2,000万円」

と根拠なく決めるのではありません。

周辺の成約事例を確認する

マンションなら、

同じマンション。

同じ棟。

近い階。

似た面積。

同じ間取り。

などの成約事例が参考になります。

戸建てなら、

同じ町内。

近い土地面積。

同程度の築年数。

同じ駅距離。

などを比較します。

通常の市場価値を把握してから、心理的要因を考える方が価格の根拠を作りやすくなります。

大阪市のマンションで事故物件を売る場合

大阪市内のマンションでは、物件ごとの価格差が大きくなります。

例えば、

北区。

中央区。

西区。

福島区。

天王寺区。

などでは、駅距離や築年数、マンションブランド、階数などによって価格が大きく異なります。

事故物件だからという理由だけでなく、

そのマンション自体にどの程度の購入需要があるのか

を確認することが重要です。

マンションでは「どこで発生したか」も重要

例えば、

専有住戸の室内。

バルコニー。

エントランス。

共用廊下。

階段。

エレベーター。

隣の住戸。

など、発生場所によっても事情が異なります。

国土交通省のガイドラインでも、対象不動産そのもの、日常的に使用する共用部分、隣接住戸、通常使用しない共用部分などを区別して考えています。

「同じマンション内で人が亡くなった」という情報だけでは判断できません。

大阪市・北摂の戸建てで事故物件を売る場合

戸建ての場合は、建物だけでなく土地価値が大きなポイントです。

大阪市や豊中市・吹田市・箕面市では、

駅距離。

土地面積。

接道。

間口。

土地形状。

用途地域。

建ぺい率・容積率。

建て替え可能性。

周辺の住宅需要。

などを確認します。

建物の心理的要因と土地そのものの価値を分けて考えることが重要です。

建物を解体すれば高く売れる?

事故物件の古い戸建てでは、

「家を取り壊して更地にすれば売りやすくなるのでは?」

と考えることがあります。

確かに土地として購入したい買主にとっては、更地の方が検討しやすい場合があります。

しかし必ずしも売主が先に解体する必要はありません。

解体前に手取りを比較する

例えば、

古家付き:3,000万円

更地:3,300万円

解体費:400万円

なら、

3,300万円-400万円=2,900万円

です。

単純計算では古家付きで売る方が100万円多く残ります。

さらに解体期間や固定資産税等の条件も考える必要があります。

建物を壊しても告知問題が必ずなくなるわけではない

ここは重要です。

「事故があった建物を取り壊せば、もう事故物件ではないから何も言わなくていい」

と自己判断するのは避けましょう。

事案の内容や取引への影響によって判断が必要です。

重大な事件で社会的な影響が大きい場合などは、建物の有無だけで単純に考えられません。

相続した事故物件を売るときの流れ

親などから相続した物件の場合、次のような順番で整理すると進めやすくなります。

  1. 相続関係を確認する
  2. 不動産の名義を確認する
  3. 過去の死亡事案を整理する
  4. 特殊清掃・修繕履歴を確認する
  5. 現在の物件状態を確認する
  6. 通常の場合の市場価格を確認する
  7. 事案を踏まえた売却価格を検討する
  8. 売却方法を決める
  9. 必要な告知を行って販売する
  10. 売買契約・引き渡しを行う

相続人が詳しい事情を知らない場合は?

相続した家について、

「親から昔ここで何かあったと聞いただけ」

「近所の人から事故があったらしいと言われた」

など、情報が曖昧なケースがあります。

この場合、知らない事実を推測して説明するのではなく、

わかっていること。

わからないこと。

確認できた資料。

などを整理することが大切です。

宅地建物取引業者の調査についても、国土交通省のガイドラインでは売主・貸主への告知書等による確認を通常の情報収集として位置づけています。

古い物件なら購入時の資料も探しておく

事故物件かどうかとは別に、相続した古い家を売却する場合は、

購入時の売買契約書。

建築請負契約書。

領収書。

仲介手数料の資料。

なども探しておきましょう。

売却後に譲渡所得を計算するとき、取得費を確認するためです。

事故物件を売ったときにも税金はかかる?

事故物件だから特別な売却税率になるわけではありません。

土地・建物を売却して譲渡所得が生じた場合は、通常の不動産売却と同様に税金を検討します。

基本的には、

譲渡価額-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除

などをもとに課税される譲渡所得を計算します。

取得費がわからない場合

古い相続物件などでは、

「親が40年前に購入したので契約書がない」

というケースがあります。

取得費がわからない場合などには、売却価額の5%相当額を概算取得費として計算できる制度があります。

例えば3,000万円で売却した場合、

3,000万円×5%=150万円

です。

実際の取得費を証明できる資料がある方が有利になるケースもあるため、昔の書類だからといって処分しないようにしましょう。

事故物件の売却で必要になりやすい費用

主な費用には次のようなものがあります。

費用内容
仲介手数料仲介で成約した場合
印紙税課税文書となる売買契約書を作成する場合
登記関連費用抵当権抹消などがある場合
特殊清掃費汚損・臭いなどへの対応
残置物処分費家財などが残っている場合
リフォーム費必要に応じて実施
解体費戸建てを解体する場合
測量費土地の境界確認などが必要な場合
譲渡所得税等譲渡所得が発生する場合など

「いくらで売れるか」より「いくら残るか」で比較する

例えば、

現状売却:2,500万円

リフォーム後売却:2,900万円

リフォーム費:500万円

なら、

現状:2,500万円

リフォーム後:2,400万円

という単純比較になります。

実際には売却費用や税金などもあります。

事故物件では心理的に、

「きれいにしないと売れない」

と思いやすいですが、工事費を回収できるとは限りません。

必ず手取りで比較しましょう。

事故物件を高く売るために意識したい7つのポイント

事故物件だからこそ、次のポイントを意識します。

1.通常ならいくらの物件なのか把握する

まず事故・死亡事案がないと仮定した市場価格を把握します。

2.事案の内容を正確に整理する

いつ、どこで、どのようなことがあったのかを確認します。

3.必要な清掃・消臭を行う

物理的な汚損や臭いが残っているなら適切に対処します。

4.リフォームをやりすぎない

買主が自分でリフォームしたい可能性も考えます。

5.事故以外の魅力をきちんと伝える

駅距離。

土地の広さ。

眺望。

間取り。

日当たり。

学校区。

周辺環境。

など、その不動産本来の価値を伝えます。

6.ターゲットを狭めすぎない

実需だけでなく、投資家や事業者、土地利用を目的とする買主なども検討対象になります。

7.最初から極端に安くしない

適切な市場価格を確認してから、事案による影響を価格へ反映します。

スタッフ植松

事故物件を売るときは、事故の事実ばかりに目が向きがちです。しかし買主が購入するのは「事故」ではなく不動産です。立地、土地、間取り、利便性など本来の価値を正しく評価したうえで、心理的要因を価格に反映することが大切だと考えています。

売却期間を短くしたい場合の考え方

事故物件では、

高値を狙って時間をかける。

市場価格を調整して早期成約を狙う。

事業者への売却を検討する。

など複数の選択肢があります。

空き家の場合は売却までの期間もコストです。

戸建てなら、

固定資産税。

火災保険。

草木の管理。

建物の換気。

雨漏り等の確認。

防犯。

マンションならさらに、

管理費。

修繕積立金。

駐車場代など。

が続く場合があります。

半年高く売るために待った結果、保有費用が増えれば、必ずしも手取りが増えるとは限りません。

空き家のまま長期間放置しない

死亡事案があった住宅は心理的に入りづらく、

「しばらくそのままにしておこう」

となることがあります。

しかし空き家のまま放置すると、

湿気。

カビ。

害虫。

雨漏り。

設備故障。

庭木の繁茂。

防犯上の問題。

などが発生する可能性があります。

もともとの死亡事案に加えて建物状態まで悪化すると、さらに売却条件が厳しくなります。

大阪市・北摂で事故物件を売却するときはエリア需要まで見る

事故物件の売却価格を考えるとき、

「事故があったから○%値下げ」

だけで考えるのではなく、エリア需要を見ることが重要です。

大阪市内なら、

駅への距離。

梅田・なんば・本町などへのアクセス。

マンション需要。

土地需要。

賃貸需要。

再開発や周辺環境。

などがあります。

豊中市・吹田市・箕面市など北摂エリアなら、

駅距離。

大阪市内へのアクセス。

学校区。

土地面積。

住環境。

ファミリー需要。

などが価格へ影響します。

同じ事故物件でも売却結果は変わる

例えば同じ「過去に自殺があった戸建て」でも、

A物件

駅徒歩5分。

整形地。

土地30坪。

建物状態良好。

周辺需要が高い。

B物件

駅徒歩25分。

接道条件が悪い。

建物老朽化。

雨漏りあり。

需要が少ない。

なら、売却のしやすさは異なります。

事故の内容だけで価格を決めることはできません。

事故物件の売却前チェックリスト

販売を始める前に、次の項目を確認しておくと整理しやすくなります。

  1. 人の死が発生した時期
  2. 死因として把握している内容
  3. 発生場所
  4. 発見までの状況
  5. 特殊清掃の有無
  6. 特殊清掃・修繕の記録
  7. 現在の臭いや汚損
  8. 過去のリフォーム内容
  9. 報道・周知性など把握している事情
  10. 土地・建物の名義
  11. 住宅ローン残高
  12. 通常の場合の市場価格
  13. 周辺の成約事例
  14. 売却に必要な費用
  15. 現状売却・修繕後売却・買取等の手取り比較

事故物件の売却は「隠す」のではなく「整理する」ことが重要

事故物件であっても、不動産を売却することは可能です。

大切なのは、

「事故物件だから売れない」

と最初から決めつけないことです。

そして同じくらい重要なのが、

「時間が経ったから黙って売ればいい」

と考えないことです。

まず、

どのような死亡事案だったのか。

自然死なのか。

日常生活上の不慮の死なのか。

自殺・他殺などなのか。

特殊清掃は行われたのか。

どこで発生したのか。

どの程度時間が経過しているのか。

社会的な影響や周知性はどうなのか。

を整理します。

そのうえで告知の必要性を判断し、

通常の市場価格。

事案による心理的な影響。

現在の建物状態。

立地。

土地価値。

買主需要。

を踏まえて売却価格を考えます。

事故物件の価格に、

「必ず相場の30%引き」

「必ず半額」

といった一律のルールがあるわけではありません。

大阪市内の駅近マンションなら、心理的要因があっても立地を重視する買主がいる可能性があります。

豊中市・吹田市・箕面市などの戸建てなら、建物だけでなく土地価値やファミリー需要を評価する買主もいます。

古い戸建てなら、土地として購入したい人も考えられます。

投資家なら、購入価格と賃料のバランスを重視することもあります。

つまり事故物件を売るときは、

「誰も買わない物件」と考えるのではなく、「どの買主なら、この条件を踏まえて価値を感じるのか」を考えることが重要です。

また売却前に、

高額な全面リフォームをする。

建物をすぐ解体する。

極端に価格を下げる。

といった対応を急ぐ必要はありません。

まず現状の価格を確認し、

現状のまま売った場合。

清掃して売った場合。

リフォームした場合。

古家付き土地として売った場合。

事業者へ売却した場合。

それぞれについて、

売却価格-売却前にかける費用-売却費用-保有コスト

という視点から手取りを比較することが大切です。

そして何より、告知が必要となる事実を隠して売却することは避けるべきです。

事故物件の売却では、過去の出来事そのものを変えることはできません。

しかし、

事実関係を整理する。

必要な清掃を行う。

物件本来の価値を把握する。

適切な価格を設定する。

適切な買主へ届ける。

必要な情報を正確に伝える。

という売却戦略は変えられます。

「事故物件だから安く処分する」のではなく、まず通常の価値と事案の影響を分けて考える。

これが、事故物件の売却で手取りと安全性の両方を考えるための重要なポイントです。

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