「実家を相続したものの、誰も住む予定がない」
「転居してから以前の家を空き家のままにしている」
「売るべきか残すべきか決められず、数年が経ってしまった」
このような空き家の悩みは、決して珍しいものではありません。
少子高齢化や人口減少、相続などを背景として、日本では空き家が増加しています。
特に相続によって突然不動産を所有することになった場合、「とりあえずそのままにしておこう」と考えてしまう方も多いでしょう。
しかし、空き家は誰も住んでいなくても、固定資産税や維持管理費などがかかります。
さらに、建物の老朽化や庭木・雑草の繁茂、害虫、不法侵入、近隣トラブルなどにつながる可能性もあります。
つまり、空き家は「使っていないから何もしなくていい不動産」ではありません。
所有し続けるのであれば管理が必要ですし、今後利用する予定がなければ、売却・賃貸・解体なども含めて早めに方向性を考える必要があります。
この記事では、空き家問題の現状から、空き家を放置するリスク、所有している空き家の選択肢、売却を考えるタイミングまで詳しく解説します。
大阪市内や豊中市・吹田市・箕面市など北摂エリアで空き家を所有している方も、今後どうするべきか考えるための参考にしてください。
日本で深刻化する空き家問題の現状
日本の空き家は増加を続けています。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月1日時点の全国の空き家数は約900万戸となり、過去最多を記録しました。
2018年の約849万戸から約51万戸増加しており、総住宅数に占める空き家率も13.8%と過去最高です。
単純計算すると、日本国内の住宅のおよそ7戸に1戸が空き家という状況です。
さらに注目したいのが、賃貸用・売却用・別荘などを除いた空き家です。
こうした利用目的が明確ではない空き家は約385万戸あり、2018年の約349万戸から約37万戸増加しています。
空き家問題というと地方の過疎地域をイメージする方もいるかもしれませんが、大都市圏においても無関係ではありません。
大阪市でも空き家対策が進められており、適切に管理されていない空き家への対応や、空き家の利活用などが行政上の課題となっています。
なぜ空き家は増え続けているのか
空き家が増えている背景には、複数の要因があります。
代表的なのが人口減少と高齢化です。
住宅そのものが存在していても、そこに住む人が減れば、当然ながら使われない住宅が増えていきます。
さらに大きなきっかけになるのが「相続」です。
たとえば、大阪市内の実家で一人暮らしをしていた親が亡くなり、子どもが家を相続したとします。
しかし、子どもはすでに別の場所に自宅を所有している。
この場合、実家へ戻って暮らす予定がなければ、その住宅は空き家になる可能性があります。
また、
- 親が高齢者施設へ入居した
- 転勤や転居によって以前の住宅を使わなくなった
- 相続人同士で話し合いが進まない
- 思い入れがあり売却を決断できない
- 荷物や家財が残っていて整理できない
といった事情から空き家になるケースもあります。
筆者として特に注意していただきたいのは、「まだ急がなくてもいい」という判断です。
不動産は、そのまま置いておけば状態が維持されるとは限りません。
人が住まなくなった住宅ほど異常を発見する機会が減り、小さな劣化が大きな修繕につながることがあります。
【吹き出し①:この位置に設置】
「空き家で一番避けたいのは、“何も決めないまま数年経ってしまうこと”だと私は考えています。売る・貸す・残すのどれを選ぶとしても、まず現状を把握することが大切です。」
空き家を放置するとどうなる?知っておきたい7つのリスク
「誰も住んでいないだけなら、そのままでも問題ないのでは?」
そう思う方もいるでしょう。
しかし、空き家を放置すると、所有者が想像している以上にさまざまな問題が発生する可能性があります。
建物の老朽化が早く進む
住宅は、人が住まなくなると状態の変化に気づきにくくなります。
たとえば、
- 雨漏り
- 屋根の破損
- 外壁のひび割れ
- 給排水設備の異常
- 窓や建具の破損
- 湿気やカビ
- シロアリ被害
などが発生しても、空き家では発見が遅れがちです。
大阪市も、空き家は住家と比較して建物の傷みが進行しやすいため、定期的な点検や必要に応じた改修が重要だとしています。
数万円程度の修繕で済んだはずの不具合でも、数年間放置することで大規模な補修が必要になるケースがあります。
資産価値が低下する可能性がある
不動産価格は土地だけで決まるわけではありません。
戸建ての場合、建物の状態も売却条件を左右します。
空き家になってから適切な管理を行わず、
「雨漏りしている」
「床が傷んでいる」
「室内に強いカビ臭がある」
「庭が荒れている」
といった状態になると、買主から見た印象も悪くなります。
結果として、売却前に修繕や残置物撤去が必要になったり、価格交渉を受けたりする可能性があります。
特に「いつか売ろう」と考えているのであれば、建物が傷んでから売却を始めるより、状態が比較的良いうちに検討したほうが選択肢を残しやすいといえます。
固定資産税などの負担が続く
誰も住んでいない住宅であっても、所有している限り固定資産税などの負担があります。
さらに、
- 火災保険料
- 電気・水道等の基本料金
- 草刈り・庭木剪定費用
- 清掃費
- 修繕費
- 空き家管理サービス費
- マンションの場合は管理費・修繕積立金
などが発生することもあります。
月単位ではそれほど大きな金額に感じなくても、5年、10年と所有すれば相当な負担になる可能性があります。
空き家について考えるときは、「今いくらかかっているか」だけではなく、「今後何年間所有し、その間いくら負担することになるか」という視点が重要です。
防犯上の問題が発生することがある
人が出入りしていない住宅は、外から見ても空き家だと分かる場合があります。
郵便物がたまっている、雑草が伸びている、夜間に照明がつかないといった状態が続くことで、不法侵入や不法投棄などのリスクが高まる可能性があります。
また、放火などの犯罪リスクについても注意が必要です。
遠方に住んでいて頻繁に確認できない場合は、定期的に現地を訪れる、管理を依頼するなどの対応を考えなければなりません。
庭木や雑草などによる近隣トラブル
戸建てや土地の場合に多いのが、植栽や雑草に関する問題です。
庭木の枝が隣地へ越境したり、雑草が道路側まで伸びたりすれば、近隣住民に迷惑をかける可能性があります。
害虫や害獣が発生するケースもあります。
所有者自身が遠方に住んでいると状況に気づきにくいため、近隣から連絡を受けて初めて問題を知ることも珍しくありません。
倒壊や外壁落下などの危険性が高まる
老朽化した空き家では、屋根材や外壁材などが落下する危険があります。
さらに劣化が進めば、建物そのものの安全性にも影響します。
台風や地震などの災害時には特に注意が必要です。
空き家の一部が落下して第三者や近隣の建物などに損害を与えれば、所有者の責任が問題になる可能性があります。
「誰も住んでいない家だから安全」ということではなく、「誰も住んでいないからこそ異常を発見しにくい」と考えておく必要があります。
「管理不全空家」「特定空家」の対象になる可能性がある
空き家を所有している方が知っておきたい制度が「管理不全空家」と「特定空家」です。
2023年12月に改正空家法が施行され、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家について、「管理不全空家」として行政が指導・勧告できる仕組みが設けられました。
管理状態が悪化してから対応するだけではなく、その前段階から改善を促す方向へ制度が強化されたといえます。
「管理不全空家」と「特定空家」とは?
空き家を所有しているのであれば、この2つの違いを理解しておきましょう。
管理不全空家とは
管理不全空家とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すると特定空家になるおそれがある状態の空き家です。
つまり、危険性などが深刻化する「一歩手前」の段階と考えると分かりやすいでしょう。
窓や壁などが破損している、管理されず劣化が進行しているといった状況では注意が必要です。
行政から指導を受けても改善せず、勧告を受けた場合には、固定資産税などに関する住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。
特定空家とは
特定空家は、たとえば次のような状態にある空き家です。
- 放置すると倒壊など保安上危険となるおそれがある
- 放置すると衛生上有害となるおそれがある
- 適切に管理されず著しく景観を損なっている
- その他、周辺の生活環境を守るため放置することが不適切である
特定空家に対しては、行政による助言・指導、勧告、命令などが行われる場合があります。
状況によっては行政代執行による除却などに至る可能性もあるため、「古くなったら考えればいい」と先送りするのはおすすめできません。
空き家の固定資産税はどうなる?
空き家を所有する方にとって、特に気になるのが税金でしょう。
住宅が建っている土地には「住宅用地特例」があり、一定の条件を満たすことで固定資産税の課税標準が軽減されています。
200㎡以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が6分の1となります。
200㎡を超える部分については、一般住宅用地として3分の1です。
しかし、管理不全空家や特定空家について行政から勧告を受けると、この住宅用地特例の対象から外れる場合があります。
「建物を残しておけば税金が安いから、空き家のまま置いておこう」という判断が必ずしも有効とは限らなくなっているのです。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 価格×1/6 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 価格×1/3 |
| 勧告を受けた管理不全空家・特定空家の敷地 | 住宅用地特例の対象外となる可能性 |
なお、実際の税額は土地の評価額や所在地、課税状況などによって異なります。
個別の税額については納税通知書などを確認しましょう。
所有している空き家はどうするべき?主な5つの選択肢
空き家を所有しているからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
重要なのは「目的を決めること」です。
大きく分けると、次の5つの選択肢があります。
自分や家族が住む
将来的に自分や家族が利用する予定が明確なのであれば、所有を継続する選択肢があります。
たとえば、
「数年後に大阪へ戻る予定がある」
「将来、子どもが住む可能性が高い」
といったケースです。
ただし、「いつか誰かが住むかもしれない」という曖昧な予定だけで長期間保有することには注意しましょう。
利用開始まで5年、10年とかかるのであれば、その間の税金や維持管理費、建物の劣化まで考える必要があります。
賃貸として活用する
立地や建物の状態によっては、賃貸住宅として活用する方法があります。
賃料収入を得ながら不動産を保有できる点はメリットです。
一方で、空き家をそのまま貸せるとは限りません。
築年数が古ければ、
- リフォーム
- 設備交換
- ハウスクリーニング
- 耐震性の確認
- 家財の撤去
などが必要になる可能性があります。
また、入居者募集を行っても必ず借り手が見つかるとは限りません。
賃貸経営を始めるのであれば、初期投資と想定賃料、空室リスク、管理費用などを比較して判断することが重要です。
空き家のまま適切に管理する
事情があり、すぐには売却や賃貸にできない場合は、空き家として保有しながら適切に管理する方法があります。
定期的に確認したいポイントとしては、
- 屋根・外壁に破損がないか
- 雨漏りがないか
- 室内にカビや異臭がないか
- 窓や扉が破損していないか
- 郵便物がたまっていないか
- 庭木や雑草が伸びていないか
- 害虫・害獣の痕跡がないか
- 不法投棄されていないか
などがあります。
所有者が遠方に住んでいる場合には、家族や管理サービスなどに定期確認を依頼する方法もあります。
ただし、管理を続ける限り費用と手間は発生します。
そのため、「何年間管理するのか」を決めておくことをおすすめします。
スタッフ植松“とりあえず空き家のまま”という選択にも、実はコストがあります。固定資産税だけでなく、管理・修繕・保険などを含めて年間いくら必要なのか、一度計算してみるのがおすすめです。
建物を解体して土地として活用する
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体して更地にする方法もあります。
土地として売却したり、駐車場など別用途への活用を検討したりできます。
ただし、解体には費用がかかります。
建物の構造、面積、接道状況、残置物、アスベストの有無などによって解体費用は大きく異なります。
さらに、住宅を解体すると住宅用地特例が適用されなくなることがあり、土地の固定資産税負担が変わる可能性があります。
そのため、「古いから先に解体しよう」と自己判断するのではなく、
「古家付きで売る」
「解体して更地で売る」
「活用する」
という複数の方法を比較することが大切です。
空き家を売却する
今後自分や家族が利用する予定がなく、賃貸として活用する計画もないのであれば、売却は有力な選択肢になります。
売却すれば、原則としてその後の固定資産税や建物管理の負担から離れることができます。
また、売却によって得た資金を、
- 生活資金
- 住宅ローン返済
- 老後資金
- 相続人間での分配
- 別の資産運用
などに充てることもできます。
「使っていない不動産」という動かしにくい資産を現金化できることは、空き家売却の大きな特徴です。
空き家はいつ売るべき?判断したい6つのタイミング
空き家売却で難しいのが「いつ売るか」です。
将来価格が上がる可能性もあれば、下がる可能性もあります。
だからこそ、相場だけでタイミングを判断するのではなく、自分自身の利用予定や維持コストなども含めて考える必要があります。
今後住む予定がないと分かったとき
最も分かりやすい判断基準です。
自分も家族も利用する予定がないのであれば、所有し続ける目的を確認してみましょう。
「親から相続したから」
「思い出があるから」
という理由で残したくなる気持ちは自然なものです。
しかし、不動産は保有しているだけでも費用がかかります。
感情面と経済面を分けて考えることも必要です。
管理の負担が大きくなってきたとき
大阪市内に空き家があり、所有者が近くに住んでいるのであれば比較的管理しやすいでしょう。
一方、東京や地方など遠方に住んでいる場合、定期的に大阪まで確認に来るだけでも時間と交通費がかかります。
親が管理していた家を子どもが相続した結果、「年に数回しか見に行けない」というケースもあります。
管理が負担になってきたのであれば、売却を検討するタイミングの一つです。
修繕費が増えてきたとき
築年数が経過すると、さまざまな部分で修繕が必要になります。
屋根、外壁、給排水設備など大きな修繕が必要になる前に、
「今後も費用をかけて維持する価値があるか」
を考えてみましょう。
将来的に使用する予定がないにもかかわらず、何十万円、何百万円と修繕費をかけるのであれば、売却した場合との比較が必要です。
相続したとき
相続は、空き家の方向性を考える大きなタイミングです。
実家を相続したものの、
「兄弟の誰も住まない」
「すでに全員が持ち家を持っている」
「遠方なので管理できない」
という場合には、早い段階で相続人同士で話し合うことをおすすめします。
時間が経つほど問題が複雑になるケースがあります。
さらに次の相続が発生すれば、権利関係が複雑化する可能性もあるためです。
固定資産税や維持費が負担に感じ始めたとき
空き家の保有コストを「年間」で計算してみると、判断しやすくなります。
たとえば、
固定資産税等+保険+管理費+修繕費+交通費
という形で、実際に年間いくら支払っているかを確認します。
仮に年間20万円かかっているのであれば、5年間で100万円です。
その間に大規模修繕が必要になれば、さらに負担は増えます。
「売却するか迷っている」という場合には、売却価格だけを見るのではなく、保有し続けるコストまで比較しましょう。
建物が大きく劣化する前
建物は、劣化してから時間を戻すことができません。
そのため、将来的に売却する可能性が高いのであれば、状態が悪化する前に査定を受けておくことも一つの方法です。
査定を受けたからといって、必ず売らなければならないわけではありません。
現在のおおよその価値を把握したうえで、
「今売る」
「2年後まで保有する」
「賃貸を検討する」
と比較できるようになります。
空き家を売るなら「古家付き」と「更地」どちらがいい?
戸建ての空き家では、「建物を解体してから売ったほうがいいですか?」という疑問がよくあります。
結論からいうと、物件によって異なります。
古家付きのまま売却するメリット
建物を残したまま売却できれば、所有者が先に解体費用を負担する必要がありません。
買主が建物を利用したい場合には、中古戸建てとして検討してもらえる可能性もあります。
また、建物の状態が悪くても、土地を探している買主が「購入後に自分で解体する」という条件で検討することがあります。
そのため、古い家だからといって必ず先に解体する必要はありません。
更地にして売却するメリット
老朽化が著しく、建物を利用することが難しい場合には、更地にすることで土地の状態が分かりやすくなります。
買主にとっては、購入後すぐに新築計画を進めやすいこともメリットです。
一方、所有者には解体費用が発生します。
さらに住宅用地特例との関係もあるため、解体する時期には注意が必要です。
私は、売却を前提としている空き家については「査定前に解体しない」ことを基本的におすすめします。
まず古家付きの状態で市場価値を確認し、解体費用と更地にした場合の想定価格を比較してから判断するほうが合理的だからです。
大阪市内の空き家で特に考えておきたいこと
大阪市内では、同じ「古い空き家」であっても物件ごとに条件が大きく異なります。
土地の広さだけでなく、接道状況、用途地域、建ぺい率・容積率、周辺の取引状況などによって評価が変わるためです。
土地の価値が建物より重要になるケースがある
築年数が古い戸建ての場合、建物より土地を中心に評価されることがあります。
特に大阪市内の住宅地では、新築戸建て用地などとして需要が見込める場所もあります。
そのため、
「築50年だから売れないだろう」
と決めつける必要はありません。
建物の築年数と不動産全体の価値は別問題です。
接道条件を確認する
土地の売却では、道路との関係が重要です。
現在建物が建っていても、建て替えの際にさまざまな制限を受ける土地があります。
接している道路の種類や幅員、接道距離などによって買主の利用方法が変わる可能性があります。
古い住宅が多い地域では、特に確認しておきたいポイントです。
長屋・連棟住宅は単独で判断しにくいことがある
大阪市内では長屋や連棟住宅も見られます。
こうした物件では、単独の戸建てとは異なり、解体や切り離しについて隣接建物との関係を考えなければならない場合があります。
「古いから取り壊して土地として売ろう」と簡単には判断できないケースがあるため、現況を確認したうえで売却方法を検討することが重要です。
豊中市・吹田市・箕面市など北摂の空き家で考えたいポイント
北摂エリアでも、相続をきっかけとした空き家は珍しくありません。
豊中市、吹田市、箕面市には戸建て住宅地が多く、親世代が長年住んでいた戸建てを子世代が相続するケースがあります。
敷地が広い戸建ては土地としての活用可能性も確認する
北摂の戸建てでは、大阪市中心部と比較して敷地にゆとりのある物件もあります。
その場合、既存住宅としての価値だけでなく、土地としてどのような需要が考えられるかを確認することが重要です。
建物が古いから価値が低いと判断するのではなく、「土地+建物」全体で評価する必要があります。
駅距離だけで判断しない
不動産価格に駅からの距離は大きく影響します。
ただし、北摂ではバス利用を前提とした住宅地や、車移動との相性が良い地域もあります。
学校区、周辺環境、土地面積、道路条件なども含めて評価されるため、「駅から遠い=売れない」と単純に判断することはできません。
相続後に長期間放置しない
北摂に実家を残したまま、相続人が大阪府外で暮らしているケースもあります。
こうした場合は特に注意が必要です。
現地へ行く機会が少ないほど建物の異常を発見しにくくなるからです。
利用予定がないのであれば、相続後の比較的早い段階で、
「保有する」
「貸す」
「売る」
の方向性を家族で話し合うことをおすすめします。
空き家を売却するときの基本的な流れ
空き家を売却する場合、一般的には次のような流れで進みます。
所有者・登記状況を確認する
まず確認したいのが、「誰の名義になっているか」です。
特に相続した空き家では、亡くなった親や祖父母の名義のままになっているケースがあります。
登記事項証明書などで現在の登記状況を確認します。
相続登記が必要な場合には、司法書士などの専門家への相談も検討しましょう。
権利証や関係書類を確認する
売却に備えて、
- 登記識別情報・権利証
- 固定資産税納税通知書
- 購入時の売買契約書
- 建築確認関係書類
- 測量図
- 境界関係資料
などが残っていないか確認します。
すべて揃っていなくても売却を検討できる場合はありますが、早めに資料を確認しておくと手続きが進めやすくなります。
空き家の査定を受ける
次に、現在どの程度で売却できそうなのかを確認します。
査定では、
- 所在地
- 土地面積
- 建物面積
- 築年数
- 建物状態
- 接道状況
- 周辺成約事例
- 市場動向
などをもとに価格を検討します。
空き家の場合は「中古戸建てとして売れるか」「古家付き土地として考えるべきか」「解体したほうがよいか」なども同時に確認するとよいでしょう。
スタッフ植松空き家の査定は、“売ると決めた人だけがするもの”ではありません。私はむしろ、売るか残すか迷っている段階こそ、現在の価値を知って判断材料を増やすことが大切だと思います。
売却方法と売出価格を決める
査定結果を確認したら、どのような条件で売り出すかを決めます。
早期売却を重視するのか、価格を重視するのかによって戦略は異なります。
また、残置物を撤去するか、現状のまま売るかなども検討します。
売却活動を開始する
物件情報を公開し、購入希望者を探します。
問い合わせや内覧が入れば対応し、条件がまとまれば売買契約へ進みます。
空き家の場合、所有者が遠方に住んでいることも多いため、鍵の管理や内覧方法なども事前に確認しておくとスムーズです。
売買契約・引き渡し
買主との条件がまとまれば売買契約を締結します。
その後、契約内容に沿って残代金の受領や所有権移転、物件の引き渡しなどを行います。
相続物件では必要書類の準備に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って進めることが重要です。
空き家を売る前に片付けやリフォームは必要?
空き家を売却するとき、
「家の中を全部片付けてから査定を依頼したほうがいい?」
「リフォームしたほうが高く売れる?」
と考える方は多いでしょう。
しかし、必ずしも先に費用をかける必要はありません。
家財が残っていても査定できることがある
相続した実家では、大量の家具や家電、衣類などが残っているケースがあります。
すべて処分しようとすると、時間も費用もかかります。
査定の段階であれば、家財が残った状態でも価格を確認できるケースは少なくありません。
そのため、
「片付けが終わっていないから査定できない」
と考えて売却検討を先延ばしにする必要はありません。
まず査定を行い、その後でどこまで片付けるか考える方法もあります。
リフォームは費用を回収できるとは限らない
たとえば300万円かけてリフォームしたからといって、売却価格が必ず300万円以上上昇するわけではありません。
購入者の中には、「安く購入して自分好みにリノベーションしたい」という人もいます。
売却を目的としたリフォームは、需要や価格帯を見ながら慎重に判断すべきです。
特に古い空き家では、リフォームより古家付き土地として販売したほうが適しているケースもあります。
空き家を所有し続けるなら最低限やっておきたい管理
すぐに売却しない場合でも、放置は避ける必要があります。
国の管理指針でも、一定の頻度で点検し、不具合が見つかった場合には修繕などを行うことが重要とされています。
定期的に建物の状態を確認する
外壁、屋根、窓、雨樋などに異常がないか確認しましょう。
台風や大雨の後には特に注意が必要です。
室内についても、雨漏りやカビなどがないか確認します。
庭木や雑草を管理する
庭付き戸建ての場合は、草木の管理も必要です。
枝が隣地へ越境していないか、道路へはみ出していないかなどを定期的に確認しましょう。
郵便物を放置しない
郵便受けにチラシや郵便物が大量にたまっていると、長期間人が住んでいないことが外部から分かりやすくなります。
定期的に回収するなどの対応が必要です。
災害後はできるだけ早く確認する
台風、地震、大雨などが発生した後は、建物に被害が出ていないか確認しましょう。
屋根材や外壁の一部が破損している場合、周囲へ被害を及ぼす可能性もあります。
遠方に住んでいて確認できない場合は、現地確認を依頼できる体制を整えておくことも大切です。
空き家は「持ち続けるリスク」と「売るメリット」を数字で比較する
空き家を売るべきか迷ったときは、感覚だけで判断せず数字に置き換えてみましょう。
たとえば次の項目を書き出します。
| 確認項目 | 内容 |
| 現在の想定売却価格 | 査定で確認 |
| 年間の固定資産税等 | 納税通知書で確認 |
| 年間管理費 | 清掃・草刈り・巡回など |
| 保険料 | 火災保険等 |
| 今後必要な修繕 | 屋根・外壁・設備等 |
| 利用予定 | 何年後に誰が利用するか |
| 賃貸可能性 | 想定賃料・改修費を確認 |
仮に年間の保有コストが25万円で、今後10年間使用する予定がないのであれば、単純計算でも250万円です。
さらに修繕が発生すれば負担は増えます。
一方、売却すればその資金を別の用途に使うことができます。
もちろん、将来的に土地価格が上昇する可能性もあります。
だからこそ重要なのは、「将来値上がりするかもしれない」という期待だけで保有するのではなく、現在価値、保有コスト、利用予定をセットで比較することです。
「いつか考える」ではなく、空き家の出口を決めておく
空き家問題で最も避けたいのは、判断を先送りし続けることです。
売却することだけが正解ではありません。
将来住む予定があるのであれば適切に管理する。
収益性が見込めるのであれば賃貸活用を検討する。
建物を利用しないのであれば土地として活用する。
今後使う予定がなければ売却する。
大切なのは、自分の空き家に「出口」を設定することです。
特に相続した実家は感情的な価値が大きく、すぐには判断できないこともあるでしょう。
その場合でも、
「3年間は保有して、その時点で再検討する」
「年間維持費が○万円を超えたら売却を検討する」
「家族の誰も住まないことが確定したら売却する」
など、判断する時期や条件を決めておくことをおすすめします。
空き家は、時間が経過すれば自動的に問題が解決する不動産ではありません。
むしろ、建物は少しずつ古くなり、所有者自身も年齢を重ねます。
大阪市でも空き家の適正管理や利活用が進められており、管理不全空家・特定空家への対応も行われています。
大阪市内はもちろん、豊中市・吹田市・箕面市など北摂エリアに空き家を所有している場合も、「まだ売ると決めていないから」と何もしないのではなく、まず現在の状態と資産価値を確認してみることが第一歩です。
査定価格、年間維持費、将来の利用予定。
この3つが分かるだけでも、「残す」「貸す」「売る」の判断はかなり具体的になります。
